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第ニ話 因果は動き出す
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「で?坂田製鉄所はどうだったのよ、山田。」
社長室の大きな椅子で脚を組みながら、彗は、不機嫌そうに、精神的に山田に詰め寄る。
「・・・お嬢様。約束をお忘れですか?」
男は一つ咳払いをし、社長に対し強気な態度を示す。それほど本名が気にくわないらしい。
「あーあめんどくさい!わかったわよ南!で?!ど・お・だ・っ・た・の?!」
社長は、デスクをバタバタと激しく叩く。ぶっ壊しそうな勢いだ。
「そう、ですね。お嬢様の仰る通り、やはり腑に落ちませんね。」
南は、顎に手をやり、軽く首を傾げた。
「そう。なら・・・南。」
しばらく何かを思案した後、彗はデスクを人差し指で、音を立てずにトントン、と叩いた。
「は。」
「ドレッドの修理費も出させましょう。」
「は。・・・は?」
「ロールアウトしたてのドレッドを、早速傷物にしてくれたのよ。その罪は重いわ。」
「し、しかし社長…いくら何でもやりすぎでは…。」
彗は自らの考えを全く曲げる気がなかった。
それほどまでに「スターウェイブ」に賭け、また愛しているのである。
自分たちが汗と涙を流してようやく漕ぎ着け、完成させたプロジェクトだ。
その集大成と同じようなものが、どこの馬の骨とも知れない者たちの手にあることが、どうしても許せないのであった。
そんな最中、社長室の扉に三つ、ノックの音が響き渡る。
「失礼致しまーっす。ジャックでーっす。」
ノックの返事が起こる前に、悠々と社長室に進入する男がいた。
白いスーツを少し崩して着こなすハーフのような出で立ちの、少しミステリアスなオーラを醸し出すその糸目の男は、フラフラと彗に歩み寄った。
「おやおや、まさか例のロボットの件ですか?社長さぁーん。まぁまぁ落ち着きましょ。今度は僕が行きますから、ね?」
「ジャック・・・どこに行っていたの?それにアナタが自ら出向こうなんて、どういう風の吹き回しかしら。」
この男はジャック=西条。海外に資本を持つ、とされている巨大な財団「MU118」から出向してきた技術者だ。スターウェイブのシステムも、彼らが関わったからこそ実現した、と言っても過言ではない。しかしその実態は未知であり、所謂「謎の組織」といったところであった。
「やぁ、僕も忙しかったんすわー。ほんで、そっちが片付いたから、今回の一連の出来事を僕も調べてみよっかなー、ってね。」
西条は、ヘラヘラと笑い、フラフラと右手を振って見せた。
「ジャック・・・調べる、ってどういうことです?産業スパイの存在を?それとも・・・。」
南は、適当なこの男に呆れたように肩を落としながら
「・・・おかしいと思いませんかぁ?全く同じタイミングで、別の組織が作ったロボットが、3機!全く同じ場所で出くわしたんですよ?すごい確率じゃありません?仮に彼らがデータをこちらから盗み出していたとしても、ねぇ。」
何故か西条は、ニヤニヤと面白そうにしながら発言を続ける。その顔は、好奇心を満たそうとする小さな子どものようであった。
「確かに、うちのレセプションに合わせたように現れたわよね。ドロボー、それに・・・宇宙人も。」
彗もその考察に、少しばかり同調の素振りを見せる。
「・・・つまり、どういうことです?」
イマイチピンと来ていない南は首をかしげる。
「そうですなぁ、一言で言えば、因果でしょうな。もっと大きなことが起こる、そんな気配がするのですよ。」
社長室の大きな椅子で脚を組みながら、彗は、不機嫌そうに、精神的に山田に詰め寄る。
「・・・お嬢様。約束をお忘れですか?」
男は一つ咳払いをし、社長に対し強気な態度を示す。それほど本名が気にくわないらしい。
「あーあめんどくさい!わかったわよ南!で?!ど・お・だ・っ・た・の?!」
社長は、デスクをバタバタと激しく叩く。ぶっ壊しそうな勢いだ。
「そう、ですね。お嬢様の仰る通り、やはり腑に落ちませんね。」
南は、顎に手をやり、軽く首を傾げた。
「そう。なら・・・南。」
しばらく何かを思案した後、彗はデスクを人差し指で、音を立てずにトントン、と叩いた。
「は。」
「ドレッドの修理費も出させましょう。」
「は。・・・は?」
「ロールアウトしたてのドレッドを、早速傷物にしてくれたのよ。その罪は重いわ。」
「し、しかし社長…いくら何でもやりすぎでは…。」
彗は自らの考えを全く曲げる気がなかった。
それほどまでに「スターウェイブ」に賭け、また愛しているのである。
自分たちが汗と涙を流してようやく漕ぎ着け、完成させたプロジェクトだ。
その集大成と同じようなものが、どこの馬の骨とも知れない者たちの手にあることが、どうしても許せないのであった。
そんな最中、社長室の扉に三つ、ノックの音が響き渡る。
「失礼致しまーっす。ジャックでーっす。」
ノックの返事が起こる前に、悠々と社長室に進入する男がいた。
白いスーツを少し崩して着こなすハーフのような出で立ちの、少しミステリアスなオーラを醸し出すその糸目の男は、フラフラと彗に歩み寄った。
「おやおや、まさか例のロボットの件ですか?社長さぁーん。まぁまぁ落ち着きましょ。今度は僕が行きますから、ね?」
「ジャック・・・どこに行っていたの?それにアナタが自ら出向こうなんて、どういう風の吹き回しかしら。」
この男はジャック=西条。海外に資本を持つ、とされている巨大な財団「MU118」から出向してきた技術者だ。スターウェイブのシステムも、彼らが関わったからこそ実現した、と言っても過言ではない。しかしその実態は未知であり、所謂「謎の組織」といったところであった。
「やぁ、僕も忙しかったんすわー。ほんで、そっちが片付いたから、今回の一連の出来事を僕も調べてみよっかなー、ってね。」
西条は、ヘラヘラと笑い、フラフラと右手を振って見せた。
「ジャック・・・調べる、ってどういうことです?産業スパイの存在を?それとも・・・。」
南は、適当なこの男に呆れたように肩を落としながら
「・・・おかしいと思いませんかぁ?全く同じタイミングで、別の組織が作ったロボットが、3機!全く同じ場所で出くわしたんですよ?すごい確率じゃありません?仮に彼らがデータをこちらから盗み出していたとしても、ねぇ。」
何故か西条は、ニヤニヤと面白そうにしながら発言を続ける。その顔は、好奇心を満たそうとする小さな子どものようであった。
「確かに、うちのレセプションに合わせたように現れたわよね。ドロボー、それに・・・宇宙人も。」
彗もその考察に、少しばかり同調の素振りを見せる。
「・・・つまり、どういうことです?」
イマイチピンと来ていない南は首をかしげる。
「そうですなぁ、一言で言えば、因果でしょうな。もっと大きなことが起こる、そんな気配がするのですよ。」
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