チートがなくても最強です!?〜最弱勇者はハードモードの異世界を策略と悪知恵で必死こいて生きていく〜

ソリダス

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第三章 ゾムベル編

第二十八話 仲間にしますか? ▶︎ はい

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 「―――とは言ったものの、勇者のパーティにアンデッドか………。しかもオッサンのゾンビだし……この時点でハーレムパーティの可能性は消え、他の仲間が見つかるまで腐乱臭漂うオッサンと仲良く二人旅確定なわけだ」


 俺は腕を組んで独り言をぼやきながら、行きで使用したバス停に向かっている。

 その横を怠そうに歩いているのは、ついさっき仲間になったオッサンゾンビだ。オッサンは俺の呟きを聞き、キッと睨み付けてくる。


 「おい、誰が腐乱臭漂うオッサンだ。………そこまで腐ってなくねぇか?」


 「そうだな、そこまで腐ってはいないな。流石に言い過ぎた。せいぜい蝿が集って微生物に分解され始めてるオッサンってところだな」


 「おい、言い方変えても結局意味は変わってねぇじゃねぇかよ。しかもなんかそっちの表現の方が嫌なんだけども。俺、もう死んでるけどその言い方が生理的に受け付けないんだけど」


 自分の服や脇の臭いをクンクンと嗅いでいるオッサンを尻目に、俺は再び進行方向の正面を向き直る。そうしたところで不意に、俺とオッサン両方のこれからに関わってくる非常に大切なことを思い出した。

 これをおっさんに聞かなければ今後の冒険に支障が出てくる可能性がある、というほどの重要な事だ。

 俺は思い出した大切なことについて尋ねる。


 「そういえばよ、オッサンの名前ってまだ聞いてなかったよな。出来れば教えてくれない?これから冒険するんだ、知っておいた方がなにかと都合がいいこともあるだろ。それにさ、どうせ呼び合うんだったら名前の方が良くない?」


 それにオッサンはポカンと口を開けて、


 「………えっ、今更?俺はてっきりそのオッサン呼びが既に定着して、俺の呼び名がオッサンになるのは決定事項と思って諦めてたんだが……」


 「まぁ、オッサンがそれでいいなら別に俺はこのままオッサン呼びでいいk」


 「いや!俺の名前は『デイモス』!デイモスだから!以後デイモスでよろしく頼む!オッサンは嫌だ」


 オッサ……デイモスからのやたらと名前の部分を強調した自己紹介を受け、俺も自己紹介がまだだった事を思い出した。

 なので、簡単にだが俺も自己紹介をする。


 「そういえば俺も名乗ってなかったな。……俺の名前は山田太郎だ。俺の呼び方候補としては『勇者様』『名前を呼んではいけないあの人』『例のアレ』なんかがある。この中から呼びやすいものを選んでいいぞ。……まぁ、そんなわけでよろしく、オッサ……デイモス」


 「んぁ、分かった。よろしくな、タロウ」


 ………流石にハリー○ッターは分かりにくかった……というか、そもそもそれは別の世界の映画作品だから分かるわけないのか。完全に失念してました、ごめんなさい。

 俺の(分かるはずのない)ボケをガン無視した、かつ気の抜けたようなデイモスの返事を聞いて、俺は1度大きく頷いた。


 「よし、それじゃあ早速次の目的地に向かうとするか!……それでなんだけどさ、オッ……デイモス。これからどこに行く?」


 「………は?次の目的地ってもう決まってるんじゃねぇのか?決まってねぇんだとしたら、お前は今どこに向かって歩いてんだよ」


 呆れた様子でデイモスが俺に尋ねる。


 「いやね、とりあえず今はバス停に向かって歩いてるところなんだけどさ、問題はバス停に着いてからなんだよ……。そこからどこに行こうかなってさ……」


 マジで悩みながらポリポリと頭を搔く俺に、デイモスは片手の人差し指をピンと立てこう言った。


 「だったら【ハルマ】に行ってみたらどうだ?」


 「【ハルマ】?そこになんかあるのか?」


 なんで今人差し指を立てたんだろうと、極めてくだらない事に気が逸れながらも肝心な事をしっかりと聞く。

 俺の質問にデイモスは腕を組んでうーんと唸り、


 「いやぁ……、俺も噂でしか聞いたことがないんだがな、どうやらその街に『最強の魔法使い』と呼ばれる奴がいるらしいんだ」


 「最強の魔法使い!?何それすごい!もっと詳しい情報を!お願いします!」


 俺は鼻息を荒くし、デイモスの顔面に詰め寄る。デイモスは迷惑そうに顔をしかめると、無言で俺の顔を押し戻した。


 「そいつに関する詳しい情報は俺はあんまり知らねぇ。強いて挙げるなら、そいつは『ギルド』に所属してて―――」


 「―――この世界にギルドがあるのか!?」


 「あ、あぁ、普通にあるが……いやそこじゃなくて――」


 再びデイモスにズイっと近寄って必要以上の大声で叫んでしまったが……まあ、それは俺がこのファンタジー異世界(笑)に来てから今までの惨状を味わってきたためという理由が大きい。


 だって『ギルド』なんて正統派ファンタジーでしか聞けないような立派な名称を、このなんちゃって異世界の中で聞くことがようやく出来たんだから!

それにまだ旅に出たばかりなので、これまでの旅の中でファンタジーチックな名前のアイテムもあんまり見つけていないし。

 だからつい大きい声を出しちゃったのも仕方がない。そう、仕方がないのだ。


 そんなわけで。


 「よし決めた、早速そこに向かおう。今行こうすぐ行こう異論は認めん」


 「いや、ちょっ、俺の話の途中……」


 何か言いたげなデイモスだったが、この時の俺の脳内天秤は完全に【ハルマ】という街に傾き、頭の中はその事一色になってしまっていた。そのためデイモスの話をゆっくりと聞いてはいられない。


 「ざっくりとした説明ならバスの中でもできらぁ!さあ!これから勇者タロウと愉快な仲間たちの新しい冒険の始まりだ!」


 こんな無理やりな説明をデイモスに投げつけた俺は、狂喜の声をはしたなく喚き散らし、奇行種のようなおぞましい走り方でバス停へと向かった!

 後ろから感じる視線が凄まじいが、そんな事を気にしてはならない。


 さあ!俺たちの冒険はこれからだ!



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