チートがなくても最強です!?〜最弱勇者はハードモードの異世界を策略と悪知恵で必死こいて生きていく〜

ソリダス

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第五章 アストラ編

第四十七話 後は任せた

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 バッタ型モンスターをさくっと倒した俺達は、これは幸先がいいなとその勢いのまま新しい町へ向けて歩いていた。……のだが、ここでまたもや予想外のことが起こった。


 道の脇に生えている茂みがゴソゴソと動きだしたかと思ったら、サッカーボール大の大きさの何かがひとつ、勢いよく飛び出してきたのだ。

 俺は若干のデジャブ感に包まれながらも、それにジトっとした視線を向ける。


 「…………なんだアレ。スライムのパチモンみたいなのがこっち見てるんだが」


 俺たちの目の前にいたのは、身体のフォルムと青い身体だけはドラゴン○エストで有名なあのスライムそっくりの生き物だった。


 だが、残念なことに顔のパーツまでは、可愛らしいあの本家と一緒というわけにはいかなかったらしい。

 このパチモンスライムの顔面は、棒線一本引っ張ったとしか思えない真一文字に結ばれたお口と、適当にマジックペンで書いた2つの黒い点にしか見えない『シンプルイズベスト』を地で行くお目目という中々のクオリティだった。

 思わず「中○のパクリキャラクターとどっこいどっこい」と思ってしまうほどだ。


 しかし、今はそんな呑気なことを考えている場合ではない。この奇妙な生命体と言わざるを得ないパチモンスライムは今、俺たちに明確な敵意を向ける敵である。一体だけとはいえ、相手はモンスターだ。先にやらなければこちらがやられる。


 …………けど、このくらいなら俺でも倒せるだろ。


 そう考えた俺は、スライムを見て身構えるデイモスとヴェルデに静かに言った。


 「……お前ら、ここは俺に任せてくれないか?相手はモンスターの中で最も弱いスライムだろ?この程度ならいくら俺でもサクッと倒せるはずだ」


 「……まぁ、太郎がどれだけ弱ぇのかを改めてヴェルデに説明するちょうどいい機会だし、試しにやってみろや」


 デイモスは少し考えるような素振りを見せた後にそういった。それにヴェルデもこくこくと頷く。


 「確かに太郎が直接モンスターと戦ったところは見たことないし、ちょっと興味あるかも」


 よっしゃ、そうと決まれば早速やってやろう!

 気合いも十分な俺は2人の前に出て、腰に差していた相棒の『ヒノキの棒』を両手で握ってしっかりと構える。


 これはもしかしたら、異世界に来て初めて俺の手でモンスターを倒すことが出来るのではないか!?と興奮しながら、パチモンスライムを真っ直ぐに見据える。

 今まではモンスターとの戦闘は他の人に任せっきりだったが、とうとうこの手で倒す時が来た。……ちなみに、あのバッタモンスターはただ殺虫スプレーを噴射しただけなんでカウントに入れてないです。はい。


 ……いつまでもグダグダ考えてもしょうがない!さあ!さっさとモンスターを倒して理想の勇者ライフをここから始めよう!

 俺はヒノキの棒を両手で強く握り、とうとうスライムに走って突っ込んでいった!


 「だりゃあああああああああああ!!!」


 雄叫びを上げながら接近し、スライムの眉間を狙って思い切りヒノキの棒を振り下ろした。

 その一撃は吸い込まれるように眉間に直撃し、手応えも確かに感じた。今のは会心の一撃だった、と自信を持っていえる。


 俺の予想ではここでスライムが力尽きるはずだったのだが、攻撃をまともに受けたスライムは、何故か平気なツラしてポヨポヨ弾んでやがる。


 「お、俺の本気の一撃が……効かないだと……ッ!?」


 驚愕のあまりセリフがなんだか三下悪役っぽくなってしまったが、まさか本気の一撃を放っても倒せないとは想像もしてなかった俺。途端に生まれたての子鹿のように足をプルプル震わせて後ずさりする。


 だが、現実はさらに非情であった。


 どうやら渾身の一撃をお見舞してやったのが余程イラついたらしく、あの点2つに棒1本の雑な作りの顔面をピクリともさせずに、体当たりをしかけてきた!

 一撃で倒せると思ってた俺は、当然反撃されることなど考えておらず、思った以上に速い動きで繰り出された攻撃をまともに食らっ――――。



 


 


 「――――んあ!!!い、今一瞬完全に意識飛んでた……!」


 体当たりをモロに受けた俺は一瞬だけ意識を失ったが、地面に叩きつけられた衝撃で再び意識を取り戻した。

 ムクッと慌てて起き上がると、攻撃された場所から軽く数メートル吹っ飛ばされていることに気付き、背筋が凍った。


 と同時に今、俺の脳内ではある可能性が浮上していた。

 それは『この世界のスライムは強キャラなのではないか?』というもの。……ほら、よくあるじゃん!パッと見だとそこら辺の雑魚キャラっぽい見た目の奴が、その実はとんでもない強さでその一帯の主だったとか!!


 俺は急いで2人の後ろに隠れ、震える声で尋ねる。


 「ス、スライムって……最弱モンスターだよな……?」


 「そうだぞ。モンスターの中でダントツ弱ぇのがあの種類のスライムだ」


 即答だった。


 ……俺は数秒ほど沈黙した後、無言で数度頷いて2人の肩にポンと手を置く。

 こちらを振り向いて、「え……?」みたいな困惑した表情を浮かべる2人に、俺は静かに微笑みこの言葉を送った。


 「後は任せた」

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