転生した悪役第一皇子は第二皇子に思うままにされるが気付かない

くまだった

文字の大きさ
12 / 14
突き抜けた腹黒第二皇子の執着がすぎる点について

11 兄と

しおりを挟む
 「ステファン愛してます。そんな悲しいことを言わないでください。あなたは私の兄上でもあり、恋人で伴侶なんですから」

 恋人どころかすでに婚姻も結んでいる。

 この国の王と宰相という最高権力者はおれたちなんだから、なんでもできる。

 法整備のときに、色々と同性婚や血縁でも結婚できるように追加したのだ。さっと婚姻届けも出している。皇族の婚姻は大神殿を通すがそれも問題ない。


 寝込んでいるときに、婚姻したと伝えた時には兄上は、何もわかっていないのか、微かに頷いただけだった。


 おれは兄上を安心させるようににっこり笑う。

 「結婚の儀はまだでしたね。自覚してもらうためにもあげましょう」

 「こんな時期にそんなこと」

 結婚の儀自体は嫌では無いのですね。

 「私費から行うから大丈夫です。国庫のお金には手をつけません。それに雇用をつくることになりますので国民も喜ぶはずです。盛大にあげましょうね。食事や酒を各地の民にも行き渡るように配りましょう。みんな喜びます。どうですか?」

 「でも、でも」

 「何がだめなんですか? 同性同士の結婚も、兄弟の結婚もこの自由な国では可能です」


 「でもおれと結婚したことが公になったら、レオまで嫌われる。そんなことできない」

 「戴冠式の時の歓声を覚えていないのですか? その後の斬新な改革でどれほど民が救われているか。あなたは今この国にいなくてはならない存在だ」

 「でも・・.」

 珍しくステファンが引き下がらない。兄上は長年、民からの悪感情を向けられていた。

 兄上が育った白薔薇宮も暴徒に破壊されて、たくさんの人が死んだ。そのことを今も忘れてはいないのだろう。

 「兄上、結婚の儀を挙げても挙げなくても、私はあなたとずっといます。片翼のあなたがいなければ生きていけない。・・・ステファン・・愛してます」


 「・・おれも、おれもレオン、レオンハルト。愛してる」

 「ステファン」

 幼いころから抱いていた憧憬が今この腕の中にいる。

 「・・・許してくれますか」

 「何を?」

 「・・・あなたを私に縛りつけたことです。私なしでいられない体にした」

 「あの時は・・・おれを助けに来てくれたんだろう? あの時、おれが暴徒に殺されないように守ってくれたんだってわかってるよ」

 おれは絶句した。激しい感情を思い出す。

 あの時、暴徒に兄上が殺されるなんて耐えれなかった。許せなかった。

 あの場にどれだけの人がいようとも、兄上に触っていいのはおれだけだから。

 暴徒だけじゃない。兄上自身が兄上を殺すことも許せないんだ。

 だれよりもあなた自身から守りたかった。


 「私のひどい執着です」

 兄上は俯いた。長い睫毛の影が頬に落ちる。


 「あのまま普通に助けられても、おれは生きるのに、罪悪感を感じながら生きていただろう。・・・でもお前に殺されて、また生かされたから・・生きるしかなくなった」


 「だからお前はおれを助けてくれたんだ。ずるいおれが生きて行けるように・・そうだろう」


 兄上がそこまで考えて、おれを赦してくれているとは思わなかった。泣くまいと思うのに涙が流れていく。多くの罪を犯したおれは泣く資格はない。

 「おれの身勝手です・・・あなたがいないと生きていられない。だから・・・」



 兄上は涙が勝手に流れている、おれの手を握る。おれが手を開かないから、その上から握ってくる。両手で大切な物を持つように。

 幼き頃、道端の石を両手で大事に持っていたように。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~

マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。 王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。 というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。 この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――

BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」 と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。 「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。 ※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)

嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!

迷路を跳ぶ狐
BL
 悪逆の限りを尽くした公爵令息を断罪しろ! そんな貴族たちの声が高まった頃、僕の元に、冷酷と恐れられる王子がやって来た。  その男は、かつて貴族たちに疎まれ、王城から遠ざけられた王子だ。昔はよく城の雑用を言いつけられては、魔法使いの僕の元を度々訪れていた。  ひどく無愛想な王子で、僕が挨拶した時も最初は睨むだけだったのに、今は優しく微笑んで、まるで別人だ。  出会ったばかりの頃は、僕の従者まで怯えるような残酷ぶりで、鞭を振り回したこともあったじゃないか。それでも度々僕のところを訪れるたびに、少しずつ、打ち解けたような気がしていた。彼が民を思い、この国を守ろうとしていることは分かっていたし、応援したいと思ったこともある。  しかし、あいつはすでに王位を継がないことが決まっていて、次第に僕の元に来るのはあいつの従者になった。  あいつが僕のもとを訪れなくなってから、貴族たちの噂で聞いた。殿下は、王城で兄たちと協力し、立派に治世に携わっていると。  嬉しかったが、王都の貴族は僕を遠ざけたクズばかり。無事にやっているのかと、少し心配だった。  そんなある日、知らせが来た。僕の屋敷はすでに取り壊されることが決まっていて、僕がしていた結界の魔法の管理は、他の貴族が受け継ぐのだと。  は? 一方的にも程がある。  その直後、あの王子は僕の前に現れた。何と思えば、僕を王城に連れて行くと言う。王族の会議で決まったらしい。  舐めるな。そんな話、勝手に進めるな。  貴族たちの間では、みくびられたら終わりだ。  腕を組んでその男を睨みつける僕は、近づいてくる王子のことが憎らしい反面、見違えるほど楽しそうで、従者からも敬われていて、こんな時だと言うのに、嬉しかった。  だが、それとこれとは話が別だ! 僕を甘く見るなよ。僕にはこれから、やりたいことがたくさんある。  僕は、屋敷で働いてくれていたみんなを知り合いの魔法使いに預け、王族と、それに纏わり付いて甘い汁を吸う貴族たちと戦うことを決意した。  手始めに……  王族など、僕が追い返してやろう!  そう思って対峙したはずなのに、僕を連れ出した王子は、なんだか様子がおかしい。「この馬車は気に入ってもらえなかったか?」だの、「酒は何が好きだ?」だの……それは今、関係ないだろう……それに、少し距離が近すぎるぞ。そうか、喧嘩がしたいのか。おい、待て。なぜ手を握るんだ? あまり近づくな!! 僕は距離を詰められるのがどうしようもなく嫌いなんだぞ!

処理中です...