3 / 10
3 看病する
しおりを挟む
二日後に、熱が下がると、どこか夢みがちな瞳を開けて「帰ります」と言ってきた。
「そんな体でどこに帰るんだ」
「妹が、妹が待っているんです」
おれは面白くない気持ちで聞いた。
実はレイモンドが寝ている間に調べさせた所、平民街の民家を間借りして彼は妹と暮らしていた。彼の父親はとうの前に亡くなっていた。
妹と言っても実は病弱で、行き場のない従姉妹をレイモンドが引き取った形だ。何をやっているんだといいたい。
妹の看病をする人間を雇うこともできないため、レイモンドが毎日看病をしていた。
そのためレイモンドは定職につくことが出来ず、より貧困になっていた。
昨日の出来事は、レイモンドが知人に薬代を借りにいった先で、体を要求されたようだ。
どうして虫ケラに金を借りにいって、おれにはこない。
「悪いが調べさせてもらった。今は看病ができる人間をやっている。薬も持って行かせている」おれがいうと、レイモンドはほっとした顔をした。
「ありがとうございます。マクガイル公爵様」
「おれを覚えているのか」
「あなたを覚えていない人はいないと思います」
「そうか。おれのことはアーノルドといえ。許す」
アーノルドの気分が浮上する。
レイモンドは微妙に微笑んだ。
「ゆっくり休め」
レイモンドは白い顔を更に白くさせながら、大人しくベッドに戻り目を閉じた。
何日か経って体調が戻ったレイモンドがおれに合うや否や
「もう帰ります」というのを「まだ早い」と宥める。
「妹が」
「報告によると、君の妹も体調は安定しているようだ」
「おれがみないと」
「看護のプロをやっている。君より世話がするのがうまいと思うが」
レイモンドは、あきらめてソファに座り込む。
「・・どうやってお礼をすれば」
おれはレイモンドを眺める。こないだの虫ケラと同じことを要求すればこの男はどうするのだろうか。
「同窓のよしみだ」
おれはそう言うと彼から目を逸らした。虫ケラと同じにならないように。
「よかった。あなたも僕の体を要求するのかと思った」
「どういう意味だ」
おれはジロリと彼に視線を戻した。
「あなたに助けられた時そうでした」
おれは目を眇めた。
「それでお前はどうしたんだ」
「嫌だって」
「一体いくら借りたかったんだ」
「1000ガイルです」
「ふざけているのか」
おれは机を拳で叩いた。ひどい音がして、机の上にあったものが飛び散った。
「そんな子供の小遣いみたいな値段で」
「私にとっては大事な薬代です」
もう一度おれは机を拳で叩いた。
彼の言葉がイライラする。押さえつけていた欲望に蓋ができない。
「そんな体でどこに帰るんだ」
「妹が、妹が待っているんです」
おれは面白くない気持ちで聞いた。
実はレイモンドが寝ている間に調べさせた所、平民街の民家を間借りして彼は妹と暮らしていた。彼の父親はとうの前に亡くなっていた。
妹と言っても実は病弱で、行き場のない従姉妹をレイモンドが引き取った形だ。何をやっているんだといいたい。
妹の看病をする人間を雇うこともできないため、レイモンドが毎日看病をしていた。
そのためレイモンドは定職につくことが出来ず、より貧困になっていた。
昨日の出来事は、レイモンドが知人に薬代を借りにいった先で、体を要求されたようだ。
どうして虫ケラに金を借りにいって、おれにはこない。
「悪いが調べさせてもらった。今は看病ができる人間をやっている。薬も持って行かせている」おれがいうと、レイモンドはほっとした顔をした。
「ありがとうございます。マクガイル公爵様」
「おれを覚えているのか」
「あなたを覚えていない人はいないと思います」
「そうか。おれのことはアーノルドといえ。許す」
アーノルドの気分が浮上する。
レイモンドは微妙に微笑んだ。
「ゆっくり休め」
レイモンドは白い顔を更に白くさせながら、大人しくベッドに戻り目を閉じた。
何日か経って体調が戻ったレイモンドがおれに合うや否や
「もう帰ります」というのを「まだ早い」と宥める。
「妹が」
「報告によると、君の妹も体調は安定しているようだ」
「おれがみないと」
「看護のプロをやっている。君より世話がするのがうまいと思うが」
レイモンドは、あきらめてソファに座り込む。
「・・どうやってお礼をすれば」
おれはレイモンドを眺める。こないだの虫ケラと同じことを要求すればこの男はどうするのだろうか。
「同窓のよしみだ」
おれはそう言うと彼から目を逸らした。虫ケラと同じにならないように。
「よかった。あなたも僕の体を要求するのかと思った」
「どういう意味だ」
おれはジロリと彼に視線を戻した。
「あなたに助けられた時そうでした」
おれは目を眇めた。
「それでお前はどうしたんだ」
「嫌だって」
「一体いくら借りたかったんだ」
「1000ガイルです」
「ふざけているのか」
おれは机を拳で叩いた。ひどい音がして、机の上にあったものが飛び散った。
「そんな子供の小遣いみたいな値段で」
「私にとっては大事な薬代です」
もう一度おれは机を拳で叩いた。
彼の言葉がイライラする。押さえつけていた欲望に蓋ができない。
70
あなたにおすすめの小説
平民男子と騎士団長の行く末
きわ
BL
平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。
ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。
好きだという気持ちを隠したまま。
過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。
第十一回BL大賞参加作品です。
ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。
辺境で待っていたのはふわふわの愛でした
宇井
BL
前の夫に離婚されたアリーは傷物とされているが、叔父の勧めで二度目の結婚のため辺境へと旅立った。
新しい旦那様は領主。年の差が二十もある病弱な人らしい。優しい人だといいな。
年齢差のある二人の優しい話。よくあるお話です。美中年が攻め。
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
友人の代わりに舞踏会に行っただけなのに
卯藤ローレン
BL
ねずみは白馬に、かぼちゃは馬車に変身するお話のパロディ。
王城で行われる舞踏会に招待された隣家の友人のエラは、それを即断った。困った魔法使いと、なにがなんでも行きたくない友人に言いくるめられたエミリオは、水色のドレスを着て舞踏会に参加する。壁の花になっていた彼に声をかけてきたのは、まさかの第二王子で——。
独自設定がわんさかあります。
宰相閣下の絢爛たる日常
猫宮乾
BL
クロックストーン王国の若き宰相フェルは、眉目秀麗で卓越した頭脳を持っている――と評判だったが、それは全て努力の結果だった! 完璧主義である僕は、魔術の腕も超一流。ということでそれなりに平穏だったはずが、王道勇者が召喚されたことで、大変な事態に……というファンタジーで、宰相総受け方向です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる