凜恋心

降谷みやび

文字の大きさ
上 下
67 / 94

rest5…隠し事 (pov三蔵)

しおりを挟む
昨日たまたま一人で散歩に出た時に見つけた








『誰でも作れる!たったひとつのアクセサリー』








こんな唱い文句に釣られるなんて








俺らしくねえかも知れないが……









しかも全く縁のねえ『彫金』と来たもんだ。









ほんの数日で出来るもの…なのか?









それでも今日はどこであいつらと会うか解らねえし…









こんな格好だ……








そして翌日…








八戒に道案内を頼んでそこに向かう…









「彫金…ですか?」










そりゃそう言う反応にもなるだろう









俺だって自分自身ガラじゃねえ事は解ってる










中に入れば






「いらっしゃいませ!」







と若い女がやって来る。









「貼り紙を見た」と伝えれば嬉しそうに奥に案内された。









「何を作りたいとか決まってますか?」

「それよりもどの位で作れる?」

「金額ですか?」

「いや、時間だ。そんなに長居できねえからな」

「え…っと…」

「旅の途中だ。」










そう言えば女はにこりと笑い、





「作りたいものによる」






何て言い出した。








作りたいもの……









「リング…一本で良い」

「ご自身の?」

「俺のは要らん」

「…クス…でしたら私時間作るので……可能であれば毎日来ていただければ二日、三日で作りましょう?」








そうか……









そして即決した。









初めてかどうかとか、どんなデザインが良いかとか……








いろんな事を聞かれたが……









一番シンプルで、一つ石を嵌め込むタイプ……







ふっ……









笑えるな…










デザインを思い浮かべればそうする程










結婚指輪じゃねえか…これ……










「大切な方なんですね」

「……まぁな」

「クスクス…」

「何がおかしい」

「いえ…ごめんなさい。素敵だなって」










そう言われたものの…











俺が作ったもので雅は喜ぶだろうか…










それでも何かを作りたかった……











宿に戻り色々と聞かれたが今言う訳ねえだろ…










「…まさか三蔵?浮気か?」

「殺すぞ」








てか浮気だ?悟浄貴様と一緒にするな…











そうだ…










「この街にあと三日はいるからな」

「え?三日……ですか?」

「あぁ。それと、俺は日中いねえから。飯食いに行くでも、なんでも好きにしてろ」

「……三蔵は?」

「俺は出掛ける…」

「…そうなんだ…」










寂しい思い…させるな……











でも…これを逃したら…










きっと用意なんざ出来ねえから…











「三蔵、お前、少し位は雅に付き合ってやってもいいんじゃねえ?」

「うるせえ」

「あ、今日雅服買ったんですよ?」

「そうか、それは良かったな」

「なぁなぁ、なんで三蔵、雅と一緒にいねえの?」

「俺には俺の用事があるんだよ」

「……」









そうだ…誰にも変えられねえ……









でも、服を買ったのを見られないのは…少し残念だが……










それでも……










雅の喜んでくれるだろう顔を









俺は見たいから……











エゴだな……








でも…








今は少しだけ……










俺のわがままを許してほしい……







.
しおりを挟む

処理中です...