凜恋心

降谷みやび

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battle59…少し遅れたプレゼント…

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「ただいま!」
「…遅かったな」
「んー、ちょっと……色々と見てて…」

そうして八戒の片付けの手伝いも終えた雅は三蔵の部屋に向かっていた。二人部屋と四人部屋が取れ、同然でも二人と三人に解れて入っている。

「……三蔵…?」
「なんだ」

新聞を読んでいる三蔵からひょいっと読んでいる新聞を取り上げた雅。

「…何しやがる」
「だって三蔵新聞ばっか読んでるから……」
「何が言いたい」
「私ね……?三蔵に誕生日プレゼント…見に行ってたの。」
「言ったはずだが?俺は要らんと」
「でも、やっぱり私だってあげたい……」
「ハァ…」
「でもアクセサリーって言うのもなんだし、服も三蔵新調してたし…、悟空と違って美味しいごはんってのも違うだろうし…何がいいかなって思って……」
「それで?」
「八戒にも相談したの。」
「………」
「悟空と八戒と……二人とも『雅があげたいのあげたら?』って言うんだよ…」
「それで?お前が俺に渡したいものはなにかあったのか?」
「……ん」

そういうとそっと顔を近付けた雅は触れるだけのキスを三蔵に落とした。

「……これ…」
「…ってかキスこれ…お前がほしいものじゃないのか?」
「……ッッ…」
「それに…物足りねえな」
「…三蔵?」
「言ったろ、次の街に着いたら覚えておけと…それにこんなことされたら…どうなるか位解ってんだろうな…」
「ん…」

メガネを外し、取り上げられた新聞の上に置くと三蔵は立ち上がり腰を抱き寄せる。

「言っておくが…止められると思うなよ?」
「…三蔵で…一杯にして?」
「……ここでも煽る気かよ…」

噛みつくように唇を重ね、服の中に手を入れる。パチンとブラのホックを外された雅は一気に身捩いた。

「…さんぞ…ッ…」
「こういうの、着けるようになったか……」
「…だって…ッ」
「ま、俺にとってはあっても無くてもどうせとっちまうけど…」
「…もぉ……」

そうして腕をほどき、ベッドに座る三蔵。

「来いよ」
「……ッッ」

いつもなら抱き上げて連れていかれるベッド。今日に限って三蔵は連れていかず自分から来いと言っていた。

「…三蔵…」

そう小さく名前を呼ぶときゅっと巻き付いた。そのまま押し倒すと唇を重ねる。膝丈のスカートも気付けば上に上がっている。両足の間には三蔵の足が入り込み、逃げ場が無い。

「……三蔵…」
「なんだ…」
「好き……」
「知ってる」

そういうと体に顔を埋めた。服はたくしあげられ、露になった肌を撫で上げながら、そっとキスを落としていく。

「ま…って…三蔵…」
「言ったはずだ…待たんと……」
「お願い…」
「断る…」
「部屋の…鍵…」

そのひと言で三蔵の動きはピタリと止まる。

「……チ」

軽く舌打ちするとベッドから降り、扉の前行くとかちゃっと閉め、再度戻ってくる。

「次から入ったら鍵かってこい…」
「…解った…」
「にしても…」
「何?」
「…フ…いや…」

そう言うとそっと体を重ねる。

「ね…三蔵…何?」
「…いや?こんな夕方からって…俺もあのバカの事言えねえなって…」
「……じゃぁ、止める?」
「どの口が言ってんだ…」

首筋に舌を這わせた三蔵。小さく吐息が漏れながらも三蔵の愛撫に身を委ねる雅。

「俺の誕生日、プレゼントなら今から十分すぎるほどもらうから…心配するな…」
「さん…ぞ…」
「散々邪魔されたからな……」

三蔵の手は胸元の膨らみに移り、揉み解すようにしてゆっくりと揉んでいく。

「ン…気持ちぃ……」
「そうか」
「……三蔵…ハァハァ…」

体を捩り、気付けば少しずつ腰も浮き出した。

「もう欲しがってるのか?」
「だって……」
「まだやらねえよ?」
「いじ…ッわる……」
「随分待ったからな……」

にっと笑いながらも三蔵の胸への愛撫は止まることはなかった。主張し始めた突起を口に含んではカリっと甘噛みし、指の腹で捏ねるように押し潰す。その度にピクンと返す雅の反応が愛おしかった…
腹部を撫で、腰に移動するその手もギリギリの所を攻め立てるだけで確信には触れなかった。

「三蔵…ぉ…お願い……」
「なんだ」
「…もぉ…触って…?」
「嫌だ」
「…ッッ…ハァハァ…意地悪…しないで…」
「意地悪も焦らしてもいるわけじゃないんだが?」
「……嘘…ばっか…ァア…」

そう、いつもならとっくに触られ、三蔵の指が雅自身の体に熱をもたらそうとする頃だ。それが今日はまだ触れてすらいない。
足をくねらせ、下から見上げるその顔は三蔵を欲していた。

「さんぞ…ぉ」
「…クス…どこが良いか…わかんねえな」
「意地悪……ッッ」
「言えよ、どこ触ってほしい?」
「…それ…ン…は…」
「それは?」
「……てる…とこ……」
「聞こえねえよ」
「察して…よぉ」
「断る…」
「…ンァ…ハァハァ……」
「言わなきゃシねえよ?」
「……濡れてる…気持ちいとこ……触って…」
「言えるじゃねえか…」

そう言うと三蔵はスルリと下着を下ろし、蜜が溢れ出る秘部からクチュリと蜜を絡め取るときゅっと大きく膨れ上がる蕾に触れた。ビクリと腰が跳ねる雅。

「ア…そこ……気持ち…ぃ」
「素直に言えるんだから初めから言え」
「……ンァア…さん…ぞ…」
「こんな厭らしい音させて…」
「……それは…ぁ…ンアァ…」
「どんだけ欲しがりなんだって……」

蕾を執拗に擦りあげている中、雅はビクっと腰を跳ねさせた。

「や…ダメ…イッちゃう…」
「イけよ…」

そう言うと同時に中に指を射し込んだ三蔵。イイ所をぐっと刺激すると少し愛潮がこぼれでた。

「そんなによかったか?」
「……今日の三蔵……意地悪…」
「ほぅ……まだそんな事言えるのか…」

そう言うとカチャッとパンツを脱ぎ出す三蔵。そのまま大きくなった一物にゴムを付けるとぐいっと雅の両足を持ち上げた。

「まって…イッたばっか……ぁ」
「もっとヨくなれば良いだけの事だろうが」
「ァア…」

宛がうとゆっくりと確かめるように射し入れた。少しご無沙汰だったせいもあって入りきるまでに多少抵抗はあったものの時期に飲み込んでいった。

「動くぞ?」

そうしてゆっくりと動き出す三蔵。しかし入口付近の良いところを焦らすかの様にゆっくりと動く三蔵に雅の嬌声も甘さを帯びた。

「……さんぞ…ぉ…ンァア…ァ…」
「初めからそんなに締めるな…」
「だって…ァア…!!」

否定をしようとしても体は疼き、三蔵を求める…ただ愛おしい相手を目の前にして…ずっと触れられなかった気持ちがお互いに爆発していた。

「……ッッ…!」
「深く…行くぞ?」

そう言うと同時に三蔵の質量を増した一物は雅の最奧を目指して突き上げた。

「ゃ…!!そんな…ァア…ンァ!」
「当たってんだろ?」
「…ンンァア…!」

甘く、嬌声は部屋を包む。腕にすがり、打ち付けられる感覚に酔いしれながらも二人は同時に果てていった。

「……ハァハァ…」
「ン…ッッ…ハァ…!」
「感じすぎだろ…」
「だって…三蔵が……」
「俺がなんだって?」
「意地悪だから……」
「ほぅ…そう言う割りに……感じてたのは誰だよ」
「…それに…」
「それに??」
「……激しかったし…」
「でも、今も悦んでんじゃねえか…ッッ…って、だからそんなに締めんなって…」

無意識とは言えきゅうっと締め付ける雅の中で三蔵は時おり気持ち良さから顔をしかめる。

「三蔵…満足できた?」
「……少しはな…」
「…少し…かぁ…」
「まだ離すつもりはねえよ…」
「…ばか」

そう言いながらも唇を重ねる。そのときだ。扉をノックする音がした。

『三蔵?雅?夕飯どうされますか?』
「八戒…呼びに来たみたい…」
「放っておけ…」
「でも…」
「言っただろうが…まだ離さねえって……」

しかしそれ以降ノックも問いかけも無く八戒が去ったのだと考えていた。三蔵の腕の中で雅は八戒に申し訳ないと思いながらも、甘えていた。

「おい…」
「なに?」
「言っただろうが…俺の腕の中で他の男の事考えるなって」
「初耳だ…」
「嘘吐け」
「他の男の名前呼ぶの禁止は聞いたけど…」
「追加する」
「……クス…ごめんね?八戒の事考えてた。」
「返事もなく出てもこなけりゃガキじゃねえ…察するだろう」
「……そうかも知れないけど……」
「それともなんだ、雅は俺との時間よりも皆で飯のがよかったのか?」
「……」
「おい、なんで無言なんだよ」
「…三蔵も一緒じゃなきゃご飯もやだなって……」
「なら話はまとまったな…」
「…そう?」
「当然だろうが。このまま雅は抱かれてりゃいい」
「……クス…」
「なんだ…」
「ううん?ただ……」

そう言いかけて雅は三蔵の胸に顔を埋めた。

「…なんでこんな俺様が好きなんだろって……自分でも不思議に思う…」
「なんだそりゃ」
「…だって…普通なら優しい八戒や悟浄や…一緒にいて楽しい悟空の方になびくでしょ?」
「俺が優しくなくて楽しくもねえ奴みてえな言い方だな、おい」
「自覚無い?」
「てめ……」
「三蔵法師の肩書きに乗っかって人生楽しようかなぁ見たいな人だったら別かもだけど?」
「…何がいいたい」
「でもなんでか私は三蔵がいいんだよね…不思議」
「もし俺が経文回収されて三蔵剥奪されたらどうすんだ」
「その時には頑張るよ?」
「何をだよ」
「三蔵じゃなくて、って呼べるようにならないと…いけないでしょ?」
「ッッ……」
「…あ、やっぱ今の無し……なんか恥ずかしい…ッ…」

言い終わるが早いかくるっとからだの向きは変わり、三蔵に組み敷かれていた。

「三蔵?」
「まさかそう来るとは思ってなかったな」
「…怒った?」
「俺をどれだけ小せぇ男だと思ってんだ」
「…えっと……」
「ま、好きに呼べば良いんじゃねえの?俺も三蔵剥奪なんかされねえし?」
「すごい自信…」
「三蔵とか関係ねえんだろ?」
「…ん」
「だったらこんな男でも観念することだな…」
「少しは優しくなろうとか思わない?」
「思わねえな」
「お出掛けとかデートして走り回ったり」
「無駄な体力だ」
「……美味しくご飯食べたり!」
「飯食えたらそれでいい」
「…あとは……!」
「そうだな、俺の隣に雅がいたら全部丸く収まるんじゃねえか?」
「…三蔵…」
「俺からしたら雅のが注意点結構あるが…」
「なに?」
「どこでも煽るな、無防備過ぎる、俺以外に縋るな、あと…スカート短すぎる」
「……クス…」
「笑い事じゃねえよ。いっつもジープの横誰が座ってると思ってんだ」
「悟空と悟浄?」
「見てねえ様で見てんだよ。あいつは…」
「悟浄の事?…三蔵…焼きもち?」
「うるせえ」
「……でもせっかく買って貰ったし三蔵とお出掛けの時に着る!」
「……はぁ。」

そう言いながらも再度抱き合いながら触れ合っていた。
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