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エピローグ
seane 1…海と心愛の別れ…
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美羽に言われた事を思い出しながら、海は京都で買った土産物を持って羽田空港に向かった。この日、一緒の撮影と言う事もあって、冬木が一緒に行くと、運転してたら車停めるのに時間かかるだろうと、運転をかって出てくれていたのだった。急いで空港内を走り回り、探している。しかし、見つからない心愛。苛立ちと虚しさから海は崩れ落ちそうな気持になっていた。
「どこに…どこにいんだよ…心愛…」
そんな時だった。海の携帯がヴヴヴっと震えた。
「もしもし?」
『もしもし?海?』
「こ…こあ?」
『ん…ごめんね?やっぱり最後にもう一回だけ声聞きたくなって…』
「……ッ」
『後ろ、騒がしいね…仕事場だった?』
「違う、今心愛、そこから何が見える?」
『え?何って…人?』
「そうじゃなくて…会いたい…」
『無理だよ、海仕事でしょ?』
そういう心愛の声と、後ろから聞こえる声にすべての神経を研ぎ澄ませるかの様に集中しながらヒントを辿って行く海。心愛の行きそうなところ…それに加えて飛行機の搭乗時間を考えると…そうした時だった。見慣れた後姿が海の視界に飛び込んできた。
『ねぇ海…ごめんね?私我儘ばっかりで…』
「心愛…」
携帯を耳から外して後ろからぎゅっと抱きしめた海。それに驚いたのか、一瞬声が出なかった心愛。周りの目なんて全く気にする様子もないまま海は抱きしめたままいた。
「心愛…会いたかった…」
「なんで…海?」
「本当は…離したくない…誰にも渡したくなんてないんだよ…」
「海…人が見てる…」
そういう心愛の体を自身に向け直すと再度グッと抱きしめる腕に力を込めた海。心愛の耳元には、少しだけ震える声の海の声が届いていた。
「俺のが我儘だよね…あれだけ先に言ったのに…こんな別れ際に…」
「海…」
「会わないどこうって決めたんだよ…でも…やっぱり会いたくて…」
「ありがとう…」
「俺さ…ずっと心愛の事想ってた。初めて会った時から…旦那がいるって解っても、俺の気持ちに答えてくれた心愛がすっごい愛おしくて…」
「私も…海の事ずっと好きだった…」
そういうと海はようやく心愛を離すと頬を撫でた。優しく微笑むと、心愛も微笑んでくれる…そんな普通の恋人のような瞬間がたまらなく好きだった。
「海、ありがとう…」
「俺の方こそ…心愛、ありがとう。」
「やっぱり海の事、大好きだよ」
「俺は心愛の事好きじゃない…」
「…え?」
ゆっくりと顔を近づけると海は軽く口唇を触れさせ、すぐに離れると心愛の口唇を親指で拭うと今までで一番の笑みを浮かべた。
「俺はいつだって心愛の事、愛してるから…」
「……ばか…」
そういうと心愛はきゅっと巻き付いた。そんな二人の距離を裂くようにアナウンスが流れる。そのアナウンスを聞いた二人はそっと離れる…
「…あ、これ…」
「何?これ」
「昨日日帰りで京都行ったんだよ。それでこれ、心愛にお土産。」
「いいの?」
「ん、あげる。旦那には友達から貰ったって言えるように簡単なものだけど。」
「ありがとう…だいじにするね?」
そうして名残惜しそうに離れるとゆっくりとキャリーバックを持ち心愛は海の元から離れていった。その背中が見えなくなるまで海は立ち止まり小さな心愛の背中を見送った。
機内に乗り込んだ心愛は海のくれた包みを開けていた。そこに入っていたのはちりめん素材の小さな折鶴と亀のストラップだった。そんな時だ。海から最後になると思われるメールが入ってきた。
『鶴亀に負けないくらいの長い年月、これから先もずっとずっと心愛の事想ってるから。大好きだよ。』
そのメールに添付されていたのは海の携帯についているだろうとされた色違いの鶴亀ストラップだった。それを見た心愛の目からは涙がこぼれ、小さく笑っていた。
「何よ…さっきは好きじゃないって言ったのに…」
そう呟いていた。通りすがった小さな女の子に心愛は問われていた。
「お姉ちゃん、どこか痛いの??」
「…ううん、大丈夫、ありがとう」
そうして時間になり心愛を乗せた飛行機は日本を発って行った。
そんな飛行機だろうか、海は地上から空を見上げて見送っていた。そんな海を後ろから冬木はぽんと肩を叩いて声をかける。
「海にしちゃ、良く見送ったな。」
「…海にしちゃぁって…当然だよ。ばか」
「クス…さ、行くか?仕事」
「うん……」
この日一緒の撮影と言う事もあって一緒に来ていた冬木の車に乗り込んだ。ぐいっと涙を落とさぬようにぬぐいきって……
「どこに…どこにいんだよ…心愛…」
そんな時だった。海の携帯がヴヴヴっと震えた。
「もしもし?」
『もしもし?海?』
「こ…こあ?」
『ん…ごめんね?やっぱり最後にもう一回だけ声聞きたくなって…』
「……ッ」
『後ろ、騒がしいね…仕事場だった?』
「違う、今心愛、そこから何が見える?」
『え?何って…人?』
「そうじゃなくて…会いたい…」
『無理だよ、海仕事でしょ?』
そういう心愛の声と、後ろから聞こえる声にすべての神経を研ぎ澄ませるかの様に集中しながらヒントを辿って行く海。心愛の行きそうなところ…それに加えて飛行機の搭乗時間を考えると…そうした時だった。見慣れた後姿が海の視界に飛び込んできた。
『ねぇ海…ごめんね?私我儘ばっかりで…』
「心愛…」
携帯を耳から外して後ろからぎゅっと抱きしめた海。それに驚いたのか、一瞬声が出なかった心愛。周りの目なんて全く気にする様子もないまま海は抱きしめたままいた。
「心愛…会いたかった…」
「なんで…海?」
「本当は…離したくない…誰にも渡したくなんてないんだよ…」
「海…人が見てる…」
そういう心愛の体を自身に向け直すと再度グッと抱きしめる腕に力を込めた海。心愛の耳元には、少しだけ震える声の海の声が届いていた。
「俺のが我儘だよね…あれだけ先に言ったのに…こんな別れ際に…」
「海…」
「会わないどこうって決めたんだよ…でも…やっぱり会いたくて…」
「ありがとう…」
「俺さ…ずっと心愛の事想ってた。初めて会った時から…旦那がいるって解っても、俺の気持ちに答えてくれた心愛がすっごい愛おしくて…」
「私も…海の事ずっと好きだった…」
そういうと海はようやく心愛を離すと頬を撫でた。優しく微笑むと、心愛も微笑んでくれる…そんな普通の恋人のような瞬間がたまらなく好きだった。
「海、ありがとう…」
「俺の方こそ…心愛、ありがとう。」
「やっぱり海の事、大好きだよ」
「俺は心愛の事好きじゃない…」
「…え?」
ゆっくりと顔を近づけると海は軽く口唇を触れさせ、すぐに離れると心愛の口唇を親指で拭うと今までで一番の笑みを浮かべた。
「俺はいつだって心愛の事、愛してるから…」
「……ばか…」
そういうと心愛はきゅっと巻き付いた。そんな二人の距離を裂くようにアナウンスが流れる。そのアナウンスを聞いた二人はそっと離れる…
「…あ、これ…」
「何?これ」
「昨日日帰りで京都行ったんだよ。それでこれ、心愛にお土産。」
「いいの?」
「ん、あげる。旦那には友達から貰ったって言えるように簡単なものだけど。」
「ありがとう…だいじにするね?」
そうして名残惜しそうに離れるとゆっくりとキャリーバックを持ち心愛は海の元から離れていった。その背中が見えなくなるまで海は立ち止まり小さな心愛の背中を見送った。
機内に乗り込んだ心愛は海のくれた包みを開けていた。そこに入っていたのはちりめん素材の小さな折鶴と亀のストラップだった。そんな時だ。海から最後になると思われるメールが入ってきた。
『鶴亀に負けないくらいの長い年月、これから先もずっとずっと心愛の事想ってるから。大好きだよ。』
そのメールに添付されていたのは海の携帯についているだろうとされた色違いの鶴亀ストラップだった。それを見た心愛の目からは涙がこぼれ、小さく笑っていた。
「何よ…さっきは好きじゃないって言ったのに…」
そう呟いていた。通りすがった小さな女の子に心愛は問われていた。
「お姉ちゃん、どこか痛いの??」
「…ううん、大丈夫、ありがとう」
そうして時間になり心愛を乗せた飛行機は日本を発って行った。
そんな飛行機だろうか、海は地上から空を見上げて見送っていた。そんな海を後ろから冬木はぽんと肩を叩いて声をかける。
「海にしちゃ、良く見送ったな。」
「…海にしちゃぁって…当然だよ。ばか」
「クス…さ、行くか?仕事」
「うん……」
この日一緒の撮影と言う事もあって一緒に来ていた冬木の車に乗り込んだ。ぐいっと涙を落とさぬようにぬぐいきって……
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