時は満ちた... 〜厨二病少年が英雄になるまで〜

あぷ

文字の大きさ
5 / 18
1章

4話 美少女と俺

しおりを挟む
あの後、急いで男から離れ、唖然とした表情を俺に向けていたタンクおばさんにバッグを返して、「あ、あんた凄く速いのね。助かったわ」という感謝の言葉を受け取り、さっさと眼科まで向かうことにした。

(うん、完全にあの男やってたよな。だって目やばかったもん。タンクおばさんよりイッてたもん。怖かったからそのまま放ったらかしにしちゃったけど。まぁ、あの男が二度と悪いことしないよう祈ることしか出来ないな。強く生きろよ、おじさん!)

俺がさっきの奇妙な出来事を思い出しながら、そんな無責任な事を思っているうちに、ようやく眼科に着いた。
椅子に座り、自分の番が来るのを待っていたら、入口から同じクラスの鈴木美心が入ってきた。

「「・・・」」

目が合ってしまった。女神と、目が、合ってしまった。もちろん女性に一切の抗体がない柊はそれだけで脳みそがパンクしそうになってしまった。だからこそ気付かなかった。彼女が柊にどんな表情を向けていたのかを。。。


□      □      □       □      □      □      □


「なぁ、この前空が急に明るくなったの覚えてる?」

「あぁ、あれな。なんかニュースにもなってたよな。未だに原因わかってないんだろ?」

「らしいねー。でも日本だけだって話だぜ?」

今日は月曜日。この前の視界ピカピカ現象(俺命名)のことで、クラスが少し騒がしくなっている。
(ふっ、モブAモブB共が騒ぎおって。やはりあの現象によって影響を受けたのは俺だけということか!)

「・・・・」
「・・・・」

クラス中の視線が集まっているのを感じた俺は顔を机に伏せて、死ぬ気で寝てるふりをした。くっ、この前を思い出すぜ。



学校が終わった俺は、帰る準備をしていた。今日は悠が部活だから一人で帰ることになっている。教科書をリュックに詰めて教室を出ようとしたところで、

「ねぇ、今からちょっと時間ある?」
「ふぇえ!?」

俺に話しかけてきたのは、この前眼科で偶然会った鈴木美心である。腕を組みながら話しかけてくるその姿は、まるで一国の女王のようだ

(やっちまったよ!モブCみたいな返事の仕方しちゃったよ!落ち着こう。冷静に対処すれば何も問題ないはずだ。)

一旦心を落ち着かせ、不屈の童貞魂を見せるべく、もう一度彼女に挑むのであった。

「どうしたんだい鈴木さん?僕になにか用かい?」
「・・・あなた随分キザな話し方するのね。それに呼び捨てで構わないわよ。」


(...終わった。キモがられた。ゴキブリでも見るかのような表情で俺の事見てるよ。俺は今どんな顔をしているだろうか。父さん、母さん、茜、先に逝く不幸を許してくれ。ただ彼女を呼び捨てにする権利だけは手に入れたぜ。。。悔いはない...)

「まぁいいわ。そんな事より時間はあるの?もしあるならちょっと付き合ってもらいたいんだけど。」

俺の気持ちなど全く気にする素振りすら見せず、鈴木は話を続ける。

「・・・はい。時間ならあるけど、どうしたの?」

「あなたの瞳について話したいことがあるの。これだけ言えば分かるでしょ?」

それを聞いた俺は、黙って彼女の言うことに従うのが最善だと本能的に悟った。
2人で話し合った結果(柊が全く話にならなかったため、最終的に鈴木が一人で決めた)、鈴木の家に向かうことになった。

(あかん。気付いたら鈴木の家に向かうことになってる。初めての女子の家や。臭くないかな俺。大丈夫だよね。お話するだけだから。)
下心が全くないかといえば嘘になるが、流石にそんなことにはならないだろう。

「す、鈴木の家ってここから近いんだ」

俺の少し前を歩いている彼女に対して勇気を出して話しかけた。

「ええ、そうよ」

「「・・・・」」

くっそ、この程度かよ俺は!全く会話を続けることが出来ない自分に苛まれていたら、とうとう目的地に着いてしまったらしい。

「ここよ。上がって」
「ひゃ、ひゃい!」

そのまま彼女の部屋に通され、座って待ってるように言われた。1人になったことで少し心に余裕ができた俺は、今回の用件についてもう一度考えるのであった。

(彼女が俺の目のことを知っているのは眼科で会った時に見たんだろう。だとしても何故?目の色が変わっていたとしても、一々家に呼んでまで問い詰めることか?ましてや一瞬しか目が合ってないはずだから、勘違いだと思ってもおかしくないはず。)

なぜ俺がこんなことを思ったかというと、今の俺の目の色は黒色・・だからだ。学校で誰かに目を見られた時、自分の本来の力がバレることを恐れた俺は、黒色のカラコンをしているのであった。純粋に目立つことで、晒し者にされるのが嫌なんて事では断じてない。暫くしてから、鈴木が飲み物を持って部屋に戻ってきた。

「あなたに見て欲しいものがあるの。」

俺の正面に座った鈴木が唐突にそう言いながら、指を目の方に持っていき、コンタクトを外し始めた。
そして、コンタクトを外し終えたと思ったら、こちらに顔を向けながら徐々にその目を開いて、こう言った。

「私もあなたと同じ・・なの。」

そう、水色の瞳を携えながら。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

いつか優しく終わらせてあげるために。

イチイ アキラ
恋愛
 初夜の最中。王子は死んだ。  犯人は誰なのか。  妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。  12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...