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エピローグ
割と大変だったパティの過去 1
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思い出せる最古の記憶、その頃から私は馬車に乗せられていた。
実の両親は知らない、あと名前も無い。
ただ、30人くらいいる集団の、最下層だというのは分かっていた。
読み書きを習う前に、自分の腰くらいもある袋を担がされていた。
そうしなければ打たれたし、食事も貰えなかったので。
行商人の原理は意外と分かりやすい。
ある地域で商品を仕入れ、それを高値で売れる場所へ持っていく。
その土地で別の商品を仕入れ、また違う場所へ持っていく。
上手くいけば転売益を得られるし、失敗すれば損をする。
他にも色々な要素はあるのだろうけれど、それを理解できるほどの脳みそは無かった。
そういうのは主人家族とか偉い人が考えるものだ。
私は、ただ言われるがままに雑用をこなし、粗末な食事にありつき、ボロ布に包まって寝る。
それが基本だった。
そういった生活を何年送ったか。
思えば、その日はおかしかったと思う。
普段なら移動の際にはベテランの護衛を10人近く雇う。
それなのに、その日に雇ったのは若い新人ばかり数人だった。
嫌な予感は当たるもので、移動の中間あたりの森で襲われた。
森の中で速度が出せない中、いきなり弓矢で護衛の半分が攻撃を受け行動不能。
更に藪から飛び出した野盗の剣で、残りも含め護衛全員が死亡。
彼らは無駄なく黙々と使用人を馬車から引きずり下ろすと、次々と斬り殺していった。
私も足を掴んで引きずり下ろされ、斬られて刺された。
幸か不幸か急所が外れていたらしく、即死ではなかった。
ただ声を上げることも出来ず、先に斬られた仲間の隣で横たわっていた。
「上手くいったな。」
それは、主人の声だった。
「一体いくらの保険金をかけたんだ?」
「お前さんたちの報酬よりかは多いさ。
油は持ってきてくれたよな?
さぁ、とっとと焼いてしまおう。」
野盗と主人の会話を聞いて、全てを理解した。
グルだ。
つまり、私たちは殺されるのだ。
お金のためだけに。
畜生。
「何をしておる?」
…女性?
「…何でこんな森の中に?」
「おい、ついでだ。
メイドと一緒に攫ってしまえ。
そのガキの実家から金が取れるぞ。」
「そっちのメイドは色々と楽しめそうだ。」
「森を焼く?攫う?楽しむ?
ほう。」
「とりあえず『死になさい』、豚ども。」
数々の倒れる音。
そして、静寂。
「お嬢様。
この娘はまだ生きています。
死にかけてはいますが、いかが取り計らいましょうか。」
「ふむ…
雑用は出来そうかの。」
実の両親は知らない、あと名前も無い。
ただ、30人くらいいる集団の、最下層だというのは分かっていた。
読み書きを習う前に、自分の腰くらいもある袋を担がされていた。
そうしなければ打たれたし、食事も貰えなかったので。
行商人の原理は意外と分かりやすい。
ある地域で商品を仕入れ、それを高値で売れる場所へ持っていく。
その土地で別の商品を仕入れ、また違う場所へ持っていく。
上手くいけば転売益を得られるし、失敗すれば損をする。
他にも色々な要素はあるのだろうけれど、それを理解できるほどの脳みそは無かった。
そういうのは主人家族とか偉い人が考えるものだ。
私は、ただ言われるがままに雑用をこなし、粗末な食事にありつき、ボロ布に包まって寝る。
それが基本だった。
そういった生活を何年送ったか。
思えば、その日はおかしかったと思う。
普段なら移動の際にはベテランの護衛を10人近く雇う。
それなのに、その日に雇ったのは若い新人ばかり数人だった。
嫌な予感は当たるもので、移動の中間あたりの森で襲われた。
森の中で速度が出せない中、いきなり弓矢で護衛の半分が攻撃を受け行動不能。
更に藪から飛び出した野盗の剣で、残りも含め護衛全員が死亡。
彼らは無駄なく黙々と使用人を馬車から引きずり下ろすと、次々と斬り殺していった。
私も足を掴んで引きずり下ろされ、斬られて刺された。
幸か不幸か急所が外れていたらしく、即死ではなかった。
ただ声を上げることも出来ず、先に斬られた仲間の隣で横たわっていた。
「上手くいったな。」
それは、主人の声だった。
「一体いくらの保険金をかけたんだ?」
「お前さんたちの報酬よりかは多いさ。
油は持ってきてくれたよな?
さぁ、とっとと焼いてしまおう。」
野盗と主人の会話を聞いて、全てを理解した。
グルだ。
つまり、私たちは殺されるのだ。
お金のためだけに。
畜生。
「何をしておる?」
…女性?
「…何でこんな森の中に?」
「おい、ついでだ。
メイドと一緒に攫ってしまえ。
そのガキの実家から金が取れるぞ。」
「そっちのメイドは色々と楽しめそうだ。」
「森を焼く?攫う?楽しむ?
ほう。」
「とりあえず『死になさい』、豚ども。」
数々の倒れる音。
そして、静寂。
「お嬢様。
この娘はまだ生きています。
死にかけてはいますが、いかが取り計らいましょうか。」
「ふむ…
雑用は出来そうかの。」
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