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第38話 力試し
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皆が後一人のパーティメンバーを待っているとレイが一人の女性を連れてやってきた。
「彼女を仲間にしようと思うのだがどうだろうか?」
「レイ様、まずは自己紹介をしてもいいですか?」
「ああ、そうだな頼む」
「レイ様から仲間に誘われました、獣人族のシオンです。スキルは守護神と仲間の盾でございます」
シオンの自己紹介が終わるとアイリスが質問する。
「二つ聞いてもいいかしら?」
「ええ、もちろんです」
「獣人族なのに何故そんなに丁寧な言葉で話しているの?」
「私達の街では、獣人族は立場が低いことからこのような喋り方になりました。乱暴な口調で話すと殴られることもしばしば」
「そ、そう。人族がごめんなさいね。もう一つは貴女自身がこのパーティに加わりたいと思っているか聞いてもいいかしら?」
「現状、私を必要としてくれたのがこのパーティだけでした。他のパーティには壁役などいらないや獣人族など邪魔だと言われましたので、できれば加入させていただければ嬉しいです」
「そ、そう。私は賛成よ。」
「私も」
「うむ、そんな酷いやつらがいるのか。私も賛成だ」
次々に賛成し、皆の視線がリアムに集まる。
「シオンさんは犬族になるのですか?」
「私はリカオン族になります。」
確か日本ではリカオンって仲間思いな種族だったような…。
「このパーティでは最初はゆっくりとしかダンジョン攻略をしないけど、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
その言葉を聞いた瞬間、リアムは頭を下げた。
「是非、このパーティに加わって下さい」
誰もがリアムの行動に驚き、目を見開いた。
「えっ、えっ」
リオンも驚き困っている。
「わ、私なんかでよければ、こちらこそお願いします」
リオンは目元に涙を溜めながら同じようにお辞儀をした。
「これでパーティが揃ったわね」
「ああ。パーティ名は何にする?」
何故か皆リアムの方を向く。
「俺?俺は何でもいいよ。一つルールを決めたいからチーム名は任せるよ」
「何よ、ルールって?」
「これからは仲間になるのだから丁寧語は禁止にしたいと思って」
「ああ、なるほど。いいと思うわ。マリアにシオンもそれでいい?」
「えっ、えっ、無理です。リアム様を呼び捨てにするなんて」
「私も、いきなりは難しいと思います」
「まあ、徐々にでいいわよ。ねぇ、リアム?」
「そうだね。それに戦闘中はできるだけ短い言葉の方が伝わりやすいから戦闘中だけでも頑張ってみてね」
こうしてついに6人が揃い、今後の話へと切り替わった。
「ちなみに班が決まれば一週間後にはパーティのみでダンジョンに入ることが出来るようになるけどどうするの?」
リアムは躊躇なく答える。
「まずは一週間の間に効率のよい狩場を過去のデータや書物から探してもらいたい。念のため神のダンジョンの初級の階層もね」
「神のダンジョンには行かないって言ってなかった?」
「当分は行く予定はないけど、学院のダンジョンより安全に経験値を稼げる場所があるならば話は変わってくるから念のためにね」
「了解」
「ちなみにリーダーはリアム様でいいのですよね?」
シオン以外の全員が頷く。
「てっきりレイ様がリーダーをするのかと思っていました。レイ様と一度剣を交わした時に驚くほどの強さと冷静さを兼ねそろえていましたので…」
「あ~、シオンはまだリアムの強さを知らないんだったね。丁度いいから皆の実力を共有するのもいいんじゃないか?」
「うむ。なら私は再度リアム殿と戦わせてもらおう」
リアムは戦うつもりはなかったのだが、リリーナにひきずられて訓練場へとやってきた。
リリーナはワクワクしながら木剣を構えた。
リアムはしぶしぶ木剣を構えた。
そして、試合が開始したと同時にリリーナの猛攻がリアムを襲う。
リアムはその斬撃を子供を相手するかのようにいなす。
あまりの戦闘内容にシオンは驚愕する。
「な、なんて速さなの」
あまりの出来事にリオンの素が垣間見える。
「ちっ、これでも強くなったと思っていたのにまったく通用しないのか」
「ねぇ、そろそろ終わりにしない?」
「まだだ、せめて一撃入れ…」
リリーナの言葉を遮るように周囲一面に色鮮やかな魔法の槍が宙に浮いていた。
「な、なに、いつの間に」
「こ、これはどうなっているの?」
「まさかこれ程までに次元が違うのか」
「ああ、やはり美しい」
「リアム、あんた何て魔法を使えるのよ」
それぞれが思い思いの言葉を綴る。
リアムが木剣を下すとアイリスが凄い勢いでリアムの元へ駆けつけた。
「な、なんで、4属性の魔法を一瞬で構築できるのよ」
「まあ、サクラのおかげかな」
「妖精がいるのは知ってるわよ。でも、属性の相性があるわよね?正反対の属性はどんなに頑張っても無詠唱はできないはずよ」
「それもサクラのおかげかな」
「意味が解らないわ。教えて、お願いだから教えて」
アイリスがここまで感情を露わにするのは初めてである。
「まあ、いいけど。サクラは桜属性なんだ。苦手な属性がないんだよ」
アイリスはガタガタと小刻みに震えている。
「何よそれ。ズルイ、ズルイ、ズルイ。チートじゃない」
「まあ、そうかも」
それからはアイリスの愚痴を聞きながら模擬戦は終わるのであった。
「彼女を仲間にしようと思うのだがどうだろうか?」
「レイ様、まずは自己紹介をしてもいいですか?」
「ああ、そうだな頼む」
「レイ様から仲間に誘われました、獣人族のシオンです。スキルは守護神と仲間の盾でございます」
シオンの自己紹介が終わるとアイリスが質問する。
「二つ聞いてもいいかしら?」
「ええ、もちろんです」
「獣人族なのに何故そんなに丁寧な言葉で話しているの?」
「私達の街では、獣人族は立場が低いことからこのような喋り方になりました。乱暴な口調で話すと殴られることもしばしば」
「そ、そう。人族がごめんなさいね。もう一つは貴女自身がこのパーティに加わりたいと思っているか聞いてもいいかしら?」
「現状、私を必要としてくれたのがこのパーティだけでした。他のパーティには壁役などいらないや獣人族など邪魔だと言われましたので、できれば加入させていただければ嬉しいです」
「そ、そう。私は賛成よ。」
「私も」
「うむ、そんな酷いやつらがいるのか。私も賛成だ」
次々に賛成し、皆の視線がリアムに集まる。
「シオンさんは犬族になるのですか?」
「私はリカオン族になります。」
確か日本ではリカオンって仲間思いな種族だったような…。
「このパーティでは最初はゆっくりとしかダンジョン攻略をしないけど、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
その言葉を聞いた瞬間、リアムは頭を下げた。
「是非、このパーティに加わって下さい」
誰もがリアムの行動に驚き、目を見開いた。
「えっ、えっ」
リオンも驚き困っている。
「わ、私なんかでよければ、こちらこそお願いします」
リオンは目元に涙を溜めながら同じようにお辞儀をした。
「これでパーティが揃ったわね」
「ああ。パーティ名は何にする?」
何故か皆リアムの方を向く。
「俺?俺は何でもいいよ。一つルールを決めたいからチーム名は任せるよ」
「何よ、ルールって?」
「これからは仲間になるのだから丁寧語は禁止にしたいと思って」
「ああ、なるほど。いいと思うわ。マリアにシオンもそれでいい?」
「えっ、えっ、無理です。リアム様を呼び捨てにするなんて」
「私も、いきなりは難しいと思います」
「まあ、徐々にでいいわよ。ねぇ、リアム?」
「そうだね。それに戦闘中はできるだけ短い言葉の方が伝わりやすいから戦闘中だけでも頑張ってみてね」
こうしてついに6人が揃い、今後の話へと切り替わった。
「ちなみに班が決まれば一週間後にはパーティのみでダンジョンに入ることが出来るようになるけどどうするの?」
リアムは躊躇なく答える。
「まずは一週間の間に効率のよい狩場を過去のデータや書物から探してもらいたい。念のため神のダンジョンの初級の階層もね」
「神のダンジョンには行かないって言ってなかった?」
「当分は行く予定はないけど、学院のダンジョンより安全に経験値を稼げる場所があるならば話は変わってくるから念のためにね」
「了解」
「ちなみにリーダーはリアム様でいいのですよね?」
シオン以外の全員が頷く。
「てっきりレイ様がリーダーをするのかと思っていました。レイ様と一度剣を交わした時に驚くほどの強さと冷静さを兼ねそろえていましたので…」
「あ~、シオンはまだリアムの強さを知らないんだったね。丁度いいから皆の実力を共有するのもいいんじゃないか?」
「うむ。なら私は再度リアム殿と戦わせてもらおう」
リアムは戦うつもりはなかったのだが、リリーナにひきずられて訓練場へとやってきた。
リリーナはワクワクしながら木剣を構えた。
リアムはしぶしぶ木剣を構えた。
そして、試合が開始したと同時にリリーナの猛攻がリアムを襲う。
リアムはその斬撃を子供を相手するかのようにいなす。
あまりの戦闘内容にシオンは驚愕する。
「な、なんて速さなの」
あまりの出来事にリオンの素が垣間見える。
「ちっ、これでも強くなったと思っていたのにまったく通用しないのか」
「ねぇ、そろそろ終わりにしない?」
「まだだ、せめて一撃入れ…」
リリーナの言葉を遮るように周囲一面に色鮮やかな魔法の槍が宙に浮いていた。
「な、なに、いつの間に」
「こ、これはどうなっているの?」
「まさかこれ程までに次元が違うのか」
「ああ、やはり美しい」
「リアム、あんた何て魔法を使えるのよ」
それぞれが思い思いの言葉を綴る。
リアムが木剣を下すとアイリスが凄い勢いでリアムの元へ駆けつけた。
「な、なんで、4属性の魔法を一瞬で構築できるのよ」
「まあ、サクラのおかげかな」
「妖精がいるのは知ってるわよ。でも、属性の相性があるわよね?正反対の属性はどんなに頑張っても無詠唱はできないはずよ」
「それもサクラのおかげかな」
「意味が解らないわ。教えて、お願いだから教えて」
アイリスがここまで感情を露わにするのは初めてである。
「まあ、いいけど。サクラは桜属性なんだ。苦手な属性がないんだよ」
アイリスはガタガタと小刻みに震えている。
「何よそれ。ズルイ、ズルイ、ズルイ。チートじゃない」
「まあ、そうかも」
それからはアイリスの愚痴を聞きながら模擬戦は終わるのであった。
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