僕の宝物はみんなの所有物

まつも☆きらら

文字の大きさ
24 / 24

俺はみんなの『所有物』

しおりを挟む
「まったく!匠くんはいつも抜け駆けするんだから」

しゅーごくんがぶつぶつ言いながらポテチを口に運んでいた。

「ホントだよ!俺らみんな貴ちゃんを心配してたのは一緒なのにさ、ずるいんだから!」

田部くんも勢いよくコーラを飲みながらそう言って匠を睨みつけた。

「貴良くんも、笑ってないでちょっとは怒ってよ」

ナリがため息をつきながら俺を見る。

そう言われても、俺はなんだか嬉しくてしょうがなかった。

ここに俺の居場所がある。

それが嬉しかった。

俺を甘やかしながらもちゃんと思ってることを言ってくれる人たち。

ここにいていいんだと、思わせてくれる人たちだ。

「俺、ここが好きだよ」

俺の言葉に、4人がちょっと驚いた様子で俺を見た。

そりゃそうだ。

唐突にそんなこと言ったらみんな驚く。

けど、俺は続けた。

「ここって、この場所のことじゃないよ?この生徒会室はみんなが集まる場所だけど・・・でもずっといられるわけじゃないし。匠が卒業して、来年はしゅーごくんと田部くんも卒業する。で、また新しい生徒会ができる。でも・・・・みんながいなくなっても、俺はみんなと一緒にいられる・・・でしょ?」

4人が顔を見合わせる。

「そりゃ、当たり前じゃん!貴ちゃんが離れて行こうとしても俺らがついてくから!」

「そうそう、簡単に離れられると思うなよ?」

「貴良くんは、俺らの宝物だから」

3人の言葉にほっとして―――

ふと匠を見ると、なぜか一人仏頂面で。

「匠?匠は、いやなの?」

「そうじゃなくて。俺はすっごくすっごく貴良のこと好きなのに!」

「・・・俺も、4人が大好きだよ」

その言葉に、匠が盛大なため息をついた。

「やっぱり、4人なんだよな」

匠が下を向くと、他の3人がにやにやしながらその顔を覗き込んだ。

「匠くん、そこはもうあきらめた方がいいと思うよ?」

しゅーごくんの言葉に、それでも匠はいやいやという感じで首を横に振る。

「貴良は俺が最初に見つけたのに!俺が一目惚れして、俺の宝物にしたかったのに!なんでいつの間にかみんなのものになっちゃってんだよ!」

「諦め悪いなあ、たくちゃん」

「まあ、いいじゃないの。匠さんのものにならなくっても貴良くんは俺らのものになってくれたわけだから」

「ナリ、言い方・・・・。俺は別に誰のものでも・・・・」

「ただの『モノ』じゃないよ!貴良は、俺たちの宝物なの!」

力いっぱいそう言い切ってちょっと自慢気に腕を組んで頷く匠を見て・・・・

俺は、なんとも言えない幸せな気持ちになっていた。

『宝物』

そう言ってくれる人たちが4人もいて。

きっとこれ以上の関係なんてないって不思議な確信があった。

「・・・・ありがと。俺にとっても4人は宝物だよ。ずっと一緒にいたい」

4人が笑顔で俺を見つめる。

そう、この笑顔があれば。

何があっても大丈夫。

誰かのものになるなんてありえないと思ってたけど・・・・

この4人になら、『所有』されてもいいかなって、そう思えるよ・・・・・。




                           fin.
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

記憶喪失のフリをしたあざといスパイですが、全部お見通しの皇帝陛下に「嘘の婚約者」として閉じ込められています

たら昆布
BL
処刑寸前のスパイが事故にあった後、記憶喪失のフリをして皇帝の婚約者だと偽る話

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。 お話を追加いたしました。

貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~

倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」 大陸を2つに分けた戦争は終結した。 終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。 一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。 互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。 純愛のお話です。 主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。 全3話完結。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

処理中です...