4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら

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天然たらし

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「向井~、アメちょうだい」

「ほい」

「サンキュー!」



クラスメイト達のやり取りをじっと見る。

今まで大して気にも留めなかったけど―――

「慎、どうした?」

クラスメイトで同じバスケ部の角田が俺を見た。

「いや・・・・。向井って、何部だったっけ」

「向井?えーと・・・確か写真部じゃなかったっけ」

「写真部なんて、うちの学校にあったんだ」

「らしいよ。なんで?」

「いや・・・あいつとあんまりしゃべったことないなあと思って」

「おとなしい奴だよな。暗いってわけじゃねえけど。いつもニコニコしてるし、なんかいつもアメを持ち歩いてるらしくって意外と女の子には人気あるって話だぜ」

「へえ・・・」


―――向井望。

陽に当たったことがないのかと思うくらい青白くひょろりと背の高い奴で、度の強そうな眼鏡をかけていた。

確か、いつもテストの点数がよくて先生に褒められてるっけ。

内気なのか、自分から発言するようなことはほとんどないけれど・・・。



あいつが、梨夢にラブレターを出したやつ。

廉ちゃんに話を聞いて、梨夢から何とかその名前を聞き出した。

梨夢からは『絶対余計なことしないでね?』と念を押された。

何もしないよ。しないけどさ・・・・

今までほとんど関わったことのないクラスメイトが、梨夢にラブレターを出したということに驚きを隠せない。

梨夢も、特に今まで向井と話したことはないと言っていた。

いったいなんで・・・・?




「ちょっと、廉ちゃんもう少し詰めてよ」

「慎、あんまり出るなって」

「周、押すなよ!」

昼休み、俺たち3人は梨夢が呼び出された学校の裏庭に来ていた。

もちろん、梨夢に見られないように校舎の陰に隠れて・・・



「あ、あれだよ、向井望」

向井が、落ち着かない様子できょろきょろしながら裏庭にやってきた。

俺の言葉に、2人がぴたりと動きを止めた。

「・・・なんか意外だな。地味っつーか・・・」

「オタクっぽい」

「周、はっきり言うな」

向井はそわそわしながら、大きく息を吸ったり吐いたりしていた。

「緊張してるな」

廉ちゃんの言葉に俺たちも頷く。

いつも青白い顔をしているけれど、今の向井はぶっ倒れちゃうんじゃないかと思うくらい真っ青な顔をしていた。


「あ、梨夢くん来た」

梨夢が、いつもと変わらない様子でとことこと歩いてきた。



「あ・・・・ありがとう、来てくれて」

少し震える声でそう言った向井に、梨夢は笑って首を振った。

「いえ。あの・・・手紙、ありがとうございます」

「いや、あの、ごめん。俺のことなんて、知らないよね?びっくり・・・・したよね」

「まあ・・・びっくりは、しましたけど。でも、うれしかったです」

「え・・・・ほんとに?」

向井の顔が、紅潮する。

「男から手紙なんて・・・・気持ち悪くなかった?」

「それはないです。あの、手紙にもそう書いてあって・・・・どう言えばいいかなってちょっと悩んだんですけど・・・」

そう言って、梨夢はちょっと自分を落ち着かせるように息を吐いた。

「俺・・・向井さんのことよく知らないけど、男だからダメとか、そういうことはないです。ただ・・・やっぱり、付き合うならちゃんと俺も相手のことよく知ってからがいいし・・・今、正直付き合うとかは考えてなんです・・・・」

梨夢の言葉に、向井が肩を落とす。

「そっか・・・・」

「ごめんなさい。でも、あの手紙は嬉しかったです。本当に。あんなに気持ちのこもってる手紙もらったの、初めてです」

「ホントに?俺・・・あの、今まで男を好きになったことはないんだ。でも、梨夢くんが有原と・・・お兄さんと楽しそうに話してるとこ見て・・・ほんと自分でもびっくりなんだけど、梨夢くんに一目ぼれしちゃって」

向井の言葉に梨夢の頬が染まる。

―――ああ、そのかわいい顔、見せちゃダメ!

「気持ち悪がられるかもって思ったんだけど、どうしても気持ちを伝えたくて・・・・伝えなかったら、きっと後悔すると思ったんだ」

向井の真剣な気持ちが、その声から伝わってきた。

「・・・今日、来てくれてありがとう。ちゃんと考えてくれて、うれしかった」

向井がどこか吹っ切れたようにそう言うと、梨夢も微笑んで首を振った。

「あの、それで、一つ聞きたいんだけど」

「何ですか?」

「その・・・俺、すごく目が悪くて、眼鏡なしだとほとんど見えないんだけど」

「はあ・・・・」

何の話だ?

梨夢がちょこっと首を傾げ、それを見ていた俺たちも首を傾げる。

「コンタクトにしようかどうしようか迷ってて。今まで、自分の見た目なんて気にしてなかったんだけど・・・・その、梨夢くんは、どっちがいいと思う?」

「え・・・・俺?」

向井が真っ赤になって頷く。


梨夢はちょっとの間ぽかんとしてたけど・・・・

ふっと少し笑うと、向井に近づき、おもむろにその眼鏡を外した。

「!!」

向井が、離れたところから見ていてもわかるほどびくっと震える。

「あ、かっこいい」

「へ・・・・?」

「向井さん、眼鏡外すとめちゃかっこいいよ。コンタクトって合わない人もいるみたいだから、これはあくまでも俺の意見だけど。コンタクト、いいと思います」

「は・・・・あ・・・・ありが・・・・とう・・・・」

「いえ。じゃ、俺行きますね。じゃ」

そう言って向井に眼鏡を返すと、梨夢は軽く手を振って走って行ってしまった。


残された向井は、口を開けたまま呆然とそこに立ち尽くしていたのだった・・・・・



俺たち3人はそっとその場を離れ・・・・


「あんなんされたら、誰でも惚れない?」

周の言葉に、俺と廉ちゃんも頷く。

「あれはやべえな」

と、廉ちゃん。

「俺、梨夢の将来が恐ろしいんだけど」

「あれ、天然だからね。計算してない」

「「「おそろしいわ・・・」」」






その後。

コンタクトにして性格まで明るくなった向井は、めちゃくちゃもてるようになった。

そして

「慎、こんど家に遊びに行っていい?」

「やだよ!お前、梨夢に近づこうとしてんだろ!」

「あ、ばれた?だって梨夢くんともっと仲良くなりたいもん」

「ぜっっったいだめ!!!」

「いいじゃん、今度英語教えてやるから」

「・・・・少しなら、梨夢と話してもいいよ」

なぜか、俺は向井と親友になっていた・・・・。
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