僕の部下がかわいくて仕方ない

まつも☆きらら

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第32話

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昼の休憩に入ると、悠太くんはいつものようにデスクの引き出しからバッグを取り出した。

「悠太くん、今日もコンビニ行く?俺も行くから一緒に―――」

「あ・・・悪い、今日はお弁当作ってきたんだ。先に屋上行ってるから」

「え、そうなの?珍しいね」

「まあね。あ―――じゃ、俺先に行ってるね」

何となく慌てた様子で立ち上がり、バッグを持って部屋を出る悠太くん。

その様子が気になって、俺は悠太くんの後を追った。



「―――課長!」

悠太くんが、前を歩いていた河合課長に声を掛けた。

課長が振り返る。

「南、どうした?」

俺は、2人から見えないように扉の陰に隠れた。

「あの、ちょっと・・・・いいですか?」

悠太くんが、ちょっと人目を気にするように周りを見渡す。

「ああ・・・・じゃ、そっちで」

課長が悠太くんを促し、廊下の先にあるミーティングルームへ向かった。

ちょっとした個別のミーティングに使える小部屋で、長机とパイプ椅子が数脚置かれていた。

2人はその部屋へ入り、扉を閉めた。

俺は足音を忍ばせその部屋の前まで行くと扉に顔を寄せ、聞き耳を立てた。



『すいません、休憩なのに』

悠太くんの声が聞こえた。

『いや、いいよ。何かあった?』

『えっと、ポーチいただいたお礼にと思って・・・』

『―――え、何?あ、お弁当?南が作ったの?』

『はい。お礼って、何したらいいかわからなくて・・・課長、いつもお昼に外食してらしたんで、お弁当とか作ったら食べてもらえるかと・・・・』

『マジで?すげえ嬉しい!ありがとう』

『いえ、味とか保証ないですけど、一応自炊してるし、今日は自分の分も作ってきたんで』

『そうなの?すげえな、俺自分では全く料理しないからそれだけで尊敬だよ』

課長の興奮した声が聞こえてくる。

『よかったら、屋上で一緒に食べませんか?たぶん、イチと部長も来ると思うんで』

言いながら、悠太くんが扉の方へ歩いてくる気配がした。

『へ?あの2人と・・・・?えっと、それは・・・・・』

課長の戸惑った声。

そして、扉が開く。

「あ、イチ」

俺に気付いて目を瞬かせる悠太くんと、ぎょっとする課長・・・。

「―――俺らがいると、何か不都合でも?課長」

「いや、別に・・・・」

「じゃ、屋上行きましょうか?で、課長にもらったポーチの件、聞かせてね?悠太くん」

「・・・・聞いてたの?イチ」

バツが悪そうに俺を見る悠太くん。

「たまたまね。で、悠太くんが作ってきたそのお弁当も、味見させてね?」

と言って、俺はにっこりと笑ったのだった・・・・。
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