38 / 50
第38話
しおりを挟む
イチに電話をもらい、俺は悠太の家へ行った。
昨日遅くまで飲んだから、まだ寝ていて電話の音にも気づかないのかもしれない。
だから、まだ寝ていたら起こしてあげて。
イチにそう言われて、俺もまあそんなとこかななんて思ってたんだ。
もちろん、俺たち4人に告白されて悠太が戸惑い、そのせいでなかなか寝られなかったのかななんてことも考えたけど。
でもまさか、こんなことになるなんて―――
悠太の家の玄関の戸は鍵がかかっていた。
インタホンを押しても戸を叩いても、悠太の名前を呼んでも反応なし。
そこで初めて俺は焦った。
―――悠太に、何かあったんじゃ・・・?
「あ、そういえばカギの置き場所知ってたんだ、俺」
俺は急いで家の壁と塀の隙間に入り、そこに置いてあったステンレス製の古いチェストの中からカギを見つけ、玄関へ戻った。
カギを開け、中へ入るとすぐにその姿が目に入った。
「悠太!!」
階段の下に、悠太が倒れていたのだ。
「悠太!どうしたの!?悠太!!」
靴を脱ぐのももどかしく、俺は悠太に駆け寄った。
まったく動かない悠太の肩を掴むと、その体を揺らす。
「ちょ―――すごい熱じゃん!悠太!?」
真っ赤な顔で苦しそうに息をする悠太。
だけど俺の声に反応する様子はなかった。
ぐったりとしている悠太は、昨日の服のままだった。
―――あのまま寝ちゃったのか?
「と、とにかく、救急車呼ばなきゃ」
慌ててスマホを取り出そうとして―――
「あ、あれ?やべ、スマホ忘れた。悠太のスマホは・・・・」
悠太の体の周りを見回すが、スマホは見当たらなかった。
―――もしかして・・・・
俺は2階へ上がり、悠太の部屋に入った。
「やっぱり」
ベッドの枕元に悠太のスマホがあった。
「確か悠太のは指紋認証だったっけ」
俺はスマホを持つとまた階下へ降り、悠太の手を取り親指をスマホに押し付けた。
無事にスマホを開くと、救急車を呼び、その後イチへメールを送った。
その間も悠太は目を覚ますことなく、苦しそうに息をしていた。
「悠太~、しっかりしてよ・・・・」
汗で濡れたおでこにそっと手を触れた。
「ん・・・・・っ」
俺の手が冷たかったのか、悠太が軽く身じろぎし、瞼が震えた。
「悠太・・・・悠太、大丈夫?」
「直・・・・・くん・・・・?」
微かに目を開き、悠太が俺を見た。
「今、救急車呼んだからね」
「救急車・・・・?なんで・・・・」
「なんでって、悠太すごい熱だし、階段から落ちたんじゃないの?覚えてない?」
「熱・・・・落ちた・・・・・?そいえば・・・・なんか体が・・・・痛いかも・・・・・」
「やっぱり・・・・とにかく、病院で診てもらおう。ね」
「ん・・・・ありがと、直くん・・・・ごめん・・・・」
弱々しい笑顔を見せる悠太に、胸がギュッとなる。
「謝るなって。大丈夫、俺がずっとついてるから!」
「ん・・・・」
再び目を閉じた悠太の髪を、そっと撫でる。
体は燃えるように熱かったけれど、少しは安心したのか息遣いは穏やかになったようだった。
そんな悠太にちょっとだけほっとして、遠くから救急車のサイレンが近づいてくるのを聞いていた・・・・。
昨日遅くまで飲んだから、まだ寝ていて電話の音にも気づかないのかもしれない。
だから、まだ寝ていたら起こしてあげて。
イチにそう言われて、俺もまあそんなとこかななんて思ってたんだ。
もちろん、俺たち4人に告白されて悠太が戸惑い、そのせいでなかなか寝られなかったのかななんてことも考えたけど。
でもまさか、こんなことになるなんて―――
悠太の家の玄関の戸は鍵がかかっていた。
インタホンを押しても戸を叩いても、悠太の名前を呼んでも反応なし。
そこで初めて俺は焦った。
―――悠太に、何かあったんじゃ・・・?
「あ、そういえばカギの置き場所知ってたんだ、俺」
俺は急いで家の壁と塀の隙間に入り、そこに置いてあったステンレス製の古いチェストの中からカギを見つけ、玄関へ戻った。
カギを開け、中へ入るとすぐにその姿が目に入った。
「悠太!!」
階段の下に、悠太が倒れていたのだ。
「悠太!どうしたの!?悠太!!」
靴を脱ぐのももどかしく、俺は悠太に駆け寄った。
まったく動かない悠太の肩を掴むと、その体を揺らす。
「ちょ―――すごい熱じゃん!悠太!?」
真っ赤な顔で苦しそうに息をする悠太。
だけど俺の声に反応する様子はなかった。
ぐったりとしている悠太は、昨日の服のままだった。
―――あのまま寝ちゃったのか?
「と、とにかく、救急車呼ばなきゃ」
慌ててスマホを取り出そうとして―――
「あ、あれ?やべ、スマホ忘れた。悠太のスマホは・・・・」
悠太の体の周りを見回すが、スマホは見当たらなかった。
―――もしかして・・・・
俺は2階へ上がり、悠太の部屋に入った。
「やっぱり」
ベッドの枕元に悠太のスマホがあった。
「確か悠太のは指紋認証だったっけ」
俺はスマホを持つとまた階下へ降り、悠太の手を取り親指をスマホに押し付けた。
無事にスマホを開くと、救急車を呼び、その後イチへメールを送った。
その間も悠太は目を覚ますことなく、苦しそうに息をしていた。
「悠太~、しっかりしてよ・・・・」
汗で濡れたおでこにそっと手を触れた。
「ん・・・・・っ」
俺の手が冷たかったのか、悠太が軽く身じろぎし、瞼が震えた。
「悠太・・・・悠太、大丈夫?」
「直・・・・・くん・・・・?」
微かに目を開き、悠太が俺を見た。
「今、救急車呼んだからね」
「救急車・・・・?なんで・・・・」
「なんでって、悠太すごい熱だし、階段から落ちたんじゃないの?覚えてない?」
「熱・・・・落ちた・・・・・?そいえば・・・・なんか体が・・・・痛いかも・・・・・」
「やっぱり・・・・とにかく、病院で診てもらおう。ね」
「ん・・・・ありがと、直くん・・・・ごめん・・・・」
弱々しい笑顔を見せる悠太に、胸がギュッとなる。
「謝るなって。大丈夫、俺がずっとついてるから!」
「ん・・・・」
再び目を閉じた悠太の髪を、そっと撫でる。
体は燃えるように熱かったけれど、少しは安心したのか息遣いは穏やかになったようだった。
そんな悠太にちょっとだけほっとして、遠くから救急車のサイレンが近づいてくるのを聞いていた・・・・。
37
あなたにおすすめの小説
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛
中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。
誰の心にも触れたくない。
無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。
その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。
明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、
偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。
無機質な顔の奥に隠れていたのは、
誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。
気づいてしまったから、もう目を逸らせない。
知りたくなったから、もう引き返せない。
すれ違いと無関心、
優しさと孤独、
微かな笑顔と、隠された心。
これは、
触れれば壊れそうな彼に、
それでも手を伸ばしてしまった、
不器用な男たちの恋のはなし。
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
僕を惑わせるのは素直な君
秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。
なんの不自由もない。
5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が
全てやって居た。
そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。
「俺、再婚しようと思うんだけど……」
この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。
だが、好きになってしまったになら仕方がない。
反対する事なく母親になる人と会う事に……。
そこには兄になる青年がついていて…。
いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。
だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。
自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて
いってしまうが……。
それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。
何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】
まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる