21 / 87
第二十一話 聖女様に言いがかりをつける貴族令嬢
翌朝、教会での奉仕活動に向かう為に私たちは朝早くから準備をしていた。
今日も、先に炊き出しの仕込みをしてそれから治療になるのかなと、漠然と考えていた。
そして、冒険者ギルドで受付を済ませて教会に向かうと、完全に予想外のことが起きていたのだ。
ザワザワ。
「うん? なんだろうか。教会内が騒がしいね」
「ウォン?」
冒険者ギルドから教会に着くと、何故か教会内にいた人が戸惑いの表情を見せていたのだ。
どうも喧騒の中心は彼らの視線の先にあるらしく、どっちにしろ治療の準備をしないとならない。
私は、少し面倒くさいなあと思いながら人混みをかき分けて喧騒の中心に進んで行った。
すると、三人のド派手な女性が誰かを囲んでいたのだ。
赤髪だったり緑髪だったり青髪だったりしているが、総じて豪華なドレスに豪華な宝石を身に着けていた。
あと、三人から漂っている香水の匂いが凄すぎる。
教会に来ているのだから、それなりの配慮をして欲しいものだ。
すると、その三人がとんでもないことを言い出したのだ。
「アメリア、貴方いい加減にしなさい! どこまで王家に媚を売れば良いのですか!」
「そうよ。お陰で、私たちもいい迷惑だわ」
「この治療も、町の人に媚を売るためですわね」
えっ、もしかしてあの三人の女性が口撃しているのって、アメリアさんなの?
私は、思わずシルバとスラちゃんと顔を見合わせちゃいました。
「あの、私はそんなことを……」
「「「お黙り!」」」
あっ、こいつら駄目な連中だ。
一方的に自分の意見を押し付けていて、アメリアさんが何かを言おうとすると強い言葉を放って発言を遮る典型的なパワハラタイプだ。
しかし、周りに人が多すぎてこれではアメリアさんに近づけない。
すると、ここでシルバとスラちゃんが驚くべき行動に出たのだ。
タシタシ。
ぴょーん!
「「「えっ?」」」
スタッ。
スラちゃんに何かを言われたシルバは、スラちゃんを頭に乗せたまま大ジャンプをしたのだ。
私も含めた周りの人が驚く中、スラちゃんを頭に乗せたシルバはアメリアさんと三人の女性の間に上手く着地した。
「グルルル!」
「「「ひいっ……」」」
そして、シルバは今まで見せたことのない唸り声を三人の女性に放っていたのだ。
や、ヤバい。
スラちゃんも滅茶苦茶怒っているよ。
私は、何とか人混みを強引にかき分けてアメリアさんの側に近づいた。
「グルルル、ガウッ!」
「し、シルバ……」
「「「く、食われる! アメリア、早く何とかして!」」」
シルバがアメリアさんのことを守るように前に出て唸り声を上げていると、三人の女性は顔を真っ青にしながらアメリアさんに命令していた。
しかし、当のアメリアさんは少しポカーンとした表情だった。
すると、今度は町の人たちがシルバについて話し始めた。
「おい、あの白いオオカミって治癒師の嬢ちゃんが連れている奴だよな? 確か、幻獣フェンリルだったはず」
「まだ子どもだけど、治癒師の嬢ちゃんを背中に乗せて走り回っているよな」
「そのフェンリルが怒るなんて、余程のことだぞ」
私がシルバに乗って移動しているのを、町の人はよく見かけていた。
治療でもシルバと町の人はよく会うので、普段はとても人懐っこいのを知っていた。
だから、そこまでシルバが激怒しているのを町の人も初めてみたのでしょう。
その間に、私はアメリアさんのところに何とか辿り着いた時には、形勢逆転していた。
うーん、何だか滑稽なコントを見ている気分だ。
「あーあー、シルバは間違いなく軍にも登録されているフェンリルです。そして、アメリアさんのことが大好きです。なので、フェンリルのシルバは貴方たちを敵と認識しました。ちなみに、子どもとはいえフェンリルなので、屋敷の一つや二つは簡単に崩壊させることができます」
「グルルル!」
「「「屋敷を崩壊……」」」
三人の女性は、目の前で唸り声をあげるシルバがどんな力を持っているかを真っ青な表情で理解したみたいだった。
大げさでもなく、シルバが魔法障壁を全開にして走りまくったら屋敷はあっという間にボロボロになるでしょう。
さて、この場をどうやって収めようと思ったら、まさかの助っ人が登場したのです。
「貴方たち、いったい何をしているの!」
教会内に、ある女性の声が響いた。
しかも、最近よく聞く声だった。
バッと人混みが二つに分かれて、姿が見えたのは車椅子に乗った王太后様でした。
そのまま使用人に車椅子を押されながら、王太后様はこちらに進んで来ました。
目の前の三人の女性は、予想外の人の登場にもはや顔面蒼白で血の気を失っていた。
「せっかく体が良くなったと思って教会に報告に来てみれば、私を治療してくれたアメリアのことを寄って集って暴言を吐くとはいったいどういうことかしら?」
「「「うぐっ……」」」
ゆっくりと王太后様が話しながら近づいてきたけど、威厳に満ち溢れていていつもの優しさは全く感じられなかった。
言葉も厳しさよりかは諭すような内容だけど、それでも威圧感が感じられた。
「アメリアは、私の体を治療しようとありとあらゆる手を考えてくれたわ。そこに王族に取り入ろうという考えはなく、純粋に目の前の病人を治療しようとする意志があったわ。さて、貴方たちはいったい何をしていたのかしら。私が病気になっても、一回も顔を見せなかったわ。それどころか、奉仕活動に誘ってもろくにこなかったわ」
「「「も、も、も、申し訳ありません!」」」
遂に王太后様の圧力に押されてしまい、三人の女性は頭を下げると脱兎の如く逃げたしたのだった。
しかし、未だに教会内はざわめきが残っていた。
すると、王太后様があることを提案してきた。
「アメリア、リンに色々と説明しましょう。それにこれだけの騒ぎでは、奉仕活動を行うには危ないわ。応接室に移動しましょう」
「はっ、はい……」
アメリアさんも、未だに状況を飲み込めていなかった。
しかし、アメリアさんと私の気持ちを落ち着かせることも必要だったので、私たちはシスターさんの先導で教会内の応接室に向かったのだった。
今日も、先に炊き出しの仕込みをしてそれから治療になるのかなと、漠然と考えていた。
そして、冒険者ギルドで受付を済ませて教会に向かうと、完全に予想外のことが起きていたのだ。
ザワザワ。
「うん? なんだろうか。教会内が騒がしいね」
「ウォン?」
冒険者ギルドから教会に着くと、何故か教会内にいた人が戸惑いの表情を見せていたのだ。
どうも喧騒の中心は彼らの視線の先にあるらしく、どっちにしろ治療の準備をしないとならない。
私は、少し面倒くさいなあと思いながら人混みをかき分けて喧騒の中心に進んで行った。
すると、三人のド派手な女性が誰かを囲んでいたのだ。
赤髪だったり緑髪だったり青髪だったりしているが、総じて豪華なドレスに豪華な宝石を身に着けていた。
あと、三人から漂っている香水の匂いが凄すぎる。
教会に来ているのだから、それなりの配慮をして欲しいものだ。
すると、その三人がとんでもないことを言い出したのだ。
「アメリア、貴方いい加減にしなさい! どこまで王家に媚を売れば良いのですか!」
「そうよ。お陰で、私たちもいい迷惑だわ」
「この治療も、町の人に媚を売るためですわね」
えっ、もしかしてあの三人の女性が口撃しているのって、アメリアさんなの?
私は、思わずシルバとスラちゃんと顔を見合わせちゃいました。
「あの、私はそんなことを……」
「「「お黙り!」」」
あっ、こいつら駄目な連中だ。
一方的に自分の意見を押し付けていて、アメリアさんが何かを言おうとすると強い言葉を放って発言を遮る典型的なパワハラタイプだ。
しかし、周りに人が多すぎてこれではアメリアさんに近づけない。
すると、ここでシルバとスラちゃんが驚くべき行動に出たのだ。
タシタシ。
ぴょーん!
「「「えっ?」」」
スタッ。
スラちゃんに何かを言われたシルバは、スラちゃんを頭に乗せたまま大ジャンプをしたのだ。
私も含めた周りの人が驚く中、スラちゃんを頭に乗せたシルバはアメリアさんと三人の女性の間に上手く着地した。
「グルルル!」
「「「ひいっ……」」」
そして、シルバは今まで見せたことのない唸り声を三人の女性に放っていたのだ。
や、ヤバい。
スラちゃんも滅茶苦茶怒っているよ。
私は、何とか人混みを強引にかき分けてアメリアさんの側に近づいた。
「グルルル、ガウッ!」
「し、シルバ……」
「「「く、食われる! アメリア、早く何とかして!」」」
シルバがアメリアさんのことを守るように前に出て唸り声を上げていると、三人の女性は顔を真っ青にしながらアメリアさんに命令していた。
しかし、当のアメリアさんは少しポカーンとした表情だった。
すると、今度は町の人たちがシルバについて話し始めた。
「おい、あの白いオオカミって治癒師の嬢ちゃんが連れている奴だよな? 確か、幻獣フェンリルだったはず」
「まだ子どもだけど、治癒師の嬢ちゃんを背中に乗せて走り回っているよな」
「そのフェンリルが怒るなんて、余程のことだぞ」
私がシルバに乗って移動しているのを、町の人はよく見かけていた。
治療でもシルバと町の人はよく会うので、普段はとても人懐っこいのを知っていた。
だから、そこまでシルバが激怒しているのを町の人も初めてみたのでしょう。
その間に、私はアメリアさんのところに何とか辿り着いた時には、形勢逆転していた。
うーん、何だか滑稽なコントを見ている気分だ。
「あーあー、シルバは間違いなく軍にも登録されているフェンリルです。そして、アメリアさんのことが大好きです。なので、フェンリルのシルバは貴方たちを敵と認識しました。ちなみに、子どもとはいえフェンリルなので、屋敷の一つや二つは簡単に崩壊させることができます」
「グルルル!」
「「「屋敷を崩壊……」」」
三人の女性は、目の前で唸り声をあげるシルバがどんな力を持っているかを真っ青な表情で理解したみたいだった。
大げさでもなく、シルバが魔法障壁を全開にして走りまくったら屋敷はあっという間にボロボロになるでしょう。
さて、この場をどうやって収めようと思ったら、まさかの助っ人が登場したのです。
「貴方たち、いったい何をしているの!」
教会内に、ある女性の声が響いた。
しかも、最近よく聞く声だった。
バッと人混みが二つに分かれて、姿が見えたのは車椅子に乗った王太后様でした。
そのまま使用人に車椅子を押されながら、王太后様はこちらに進んで来ました。
目の前の三人の女性は、予想外の人の登場にもはや顔面蒼白で血の気を失っていた。
「せっかく体が良くなったと思って教会に報告に来てみれば、私を治療してくれたアメリアのことを寄って集って暴言を吐くとはいったいどういうことかしら?」
「「「うぐっ……」」」
ゆっくりと王太后様が話しながら近づいてきたけど、威厳に満ち溢れていていつもの優しさは全く感じられなかった。
言葉も厳しさよりかは諭すような内容だけど、それでも威圧感が感じられた。
「アメリアは、私の体を治療しようとありとあらゆる手を考えてくれたわ。そこに王族に取り入ろうという考えはなく、純粋に目の前の病人を治療しようとする意志があったわ。さて、貴方たちはいったい何をしていたのかしら。私が病気になっても、一回も顔を見せなかったわ。それどころか、奉仕活動に誘ってもろくにこなかったわ」
「「「も、も、も、申し訳ありません!」」」
遂に王太后様の圧力に押されてしまい、三人の女性は頭を下げると脱兎の如く逃げたしたのだった。
しかし、未だに教会内はざわめきが残っていた。
すると、王太后様があることを提案してきた。
「アメリア、リンに色々と説明しましょう。それにこれだけの騒ぎでは、奉仕活動を行うには危ないわ。応接室に移動しましょう」
「はっ、はい……」
アメリアさんも、未だに状況を飲み込めていなかった。
しかし、アメリアさんと私の気持ちを落ち着かせることも必要だったので、私たちはシスターさんの先導で教会内の応接室に向かったのだった。
あなたにおすすめの小説
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。
第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。
生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。
その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。
「加護縫い」
(縫った布に強力な祝福を込められる)
「嘘のほころびを見抜く力」
(相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする)
を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。
さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王子が近付いて来て……?
「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」
チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。
だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。
魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。
だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。
追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。
訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。
そして助けた少女は、実は王国の姫!?
「もう面倒ごとはごめんだ」
そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。
まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」
ええよく言われますわ…。
でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。
この国では、13歳になると学校へ入学する。
そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。
☆この国での世界観です。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。