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第二十二話 第二王子様を巡る婚姻事情
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教会内の応接室に案内された私は、王太后様とアメリアさんと向かい合わせでソファーに座った。
シスターさんが紅茶を淹れてくれ、一口飲むとようやく気持ちが落ち着いた。
それはアメリアさんも同じだったみたいで、深呼吸をしながら息を整えていた。
流石にシルバも周りの空気を読んでなのか、いつもよりも大人しく床に座っていた。
私とアメリアさんの気持ちが落ち着くのを待ってから、王太后様が色々なことを説明してくれた。
「リンには、簡単に背景を説明しないとならないわね。アメリアは孫の第二王子と幼馴染でほぼ婚約状態にあって、アメリアに詰め寄っていた貴族令嬢はアメリアが孫と婚約状態にあるのを妬んでいるのよ」
王太后様がズバッと背景を言ったけど、まるで昼ドラのような世界だなあ。
公爵家令嬢であるアメリアさんがこの国の王子様と幼馴染であっても問題はなく、むしろアメリアさんはそれだけ凄い人に嫁いでも全く問題ない気がする。
しかし、それをよく思わない貴族勢力がいるってことですね。
「本当なら直ぐにでも孫とアメリアの婚約を発表したいのだけど、いきなりやるとまあ色々と面倒くさいのよ。なので、文句を言ってきた貴族令嬢も一応婚約者候補としたわ。すると、自分が選ばれて当然だという態度に出てきて、アメリアを貶めようと色々としていたのよ」
王家としても、貴族に平等にチャンスを与えるスタンスを取らないとブーブー文句を言ってくる貴族がいるという。
それで、婚約者候補になったらあの手この手でアメリアさんを何とか婚約者候補から脱落させるために動いていたわけか。
ただ、殆どの貴族は第二王子とアメリアさんで決まりだと思っていて、口を挟んできた貴族のことを冷たい目で見ているという。
「私も色々対応したかったのだけど、病気になって動けなかったのよ。ただ、その分マリアがアメリアの側にいてくれたから助かったわ。そして、口うるさい私が体調を戻したのもあって、あの貴族令嬢も焦って無理な行動を起こしたのでしょうね」
つまり、最近までは少し良くない状況だったのだけど、私という存在が現れてアメリアさんとともに王太后様を治療したことで大きく事態が動き始めたわけか。
となると、まだまだ動きがありそうってことなんだ。
すると、アメリアさんが私にとても申し訳なさそうに頭を下げてきたのだ。
「リンさん、私のことで大変なことに巻き込んでしまい、本当に申し訳ありません。その、私もあの人たちがあんな強引な行動をするとは思っていなかったので……」
アメリアさんにとっても、あの貴族令嬢が教会に押しかけて大声で自身を糾弾するとは思ってもなかったのだろう。
でも、アメリアさんのことを知っている人なら、誰でもあの場面では止めに入ると思うな。
「アメリアさんと会ってからまだ日は浅いですけど、アメリアさんが何事にも一生懸命で素敵な人だと知っているつもりです。だから、私もそんなアメリアさんを助けたいと直ぐに思いましたよ」
「ウォン、ウォン!」
「リンさん、シルバ、本当にありがとうございます……」
アメリアさんは思わず涙を零してしまったけど、どちらかというと安堵の涙な気がした。
何にせよ、知り合いが困っていたら助けるのは普通だと思っていた。
「ふふ、やはりリンは正義感に溢れているわ。だからこそ、優しいアメリアのことが気になったのでしょうね。リンがいてくれて、本当に良かったわ」
「はい、本当に良かったです。私、リンさんに会えて本当に良かったです……」
あの、王太后様とアメリアさん、私はただのお節介な人ですよ。
困っているのを見過ごせない性格なだけですよ。
そんな、聖人君子のような凄い人じゃないですよ。
でも、アメリアさんも真面目な性格で聖女とまで言われていて、更に第二王子様との件もあったからプレッシャーは計り知れなかっただろうなあ。
そして、再びアメリアさんの気持ちが落ち着くのを待ってから話を再開することになった。
そのタイミングで、応接室に入ってくるものがいた。
ガチャ。
「ふむ、この分だと話はあらかた終わったようじゃのう。儂からも、少し話をするとしよう」
応接室に入ってきたのは司教様で、どうやら私たちの話が落ち着くのを待っていたみたいだ。
そして、司教様は席に着くとアメリアさんに深々と頭を下げた。
「アメリア様には、教会から詫びを入れないとならない。あのような無法者を教会内に入れ、尚且つ常日頃教会に多大な貢献をしてくれたものを攻撃させたのだ。教会の対応として、落ち度もあったのは事実じゃ」
「し、司教様、頭を上げてください! 私はこうして皆様に守られましたので」
「ありがとう。しかし、二度とこの様なことが起こらないように対策も必要じゃ」
司教様とアメリアさんがお互いにペコペコと頭を下げていたが、取り敢えずはこれで一段落だ。
そして、司教様があることを宣言した。
「実は、あの三人の令嬢は名目上は教会に花嫁修業の一環として来ているのじゃ。しかし、修行など全くせずにお喋りをして菓子を食べてばっかりだ。第二王子様の婚約者候補なので教会も我慢していたが、正式に婚約が発表され次第教会から追放とする」
「えっ、司教様、そんなことをして大丈夫なのですか?」
「大丈夫じゃないのはあやつらじゃ。なんせ、公衆の面前で聖女様と名高きアメリア様を罵倒したのじゃ。町のものの反感は、かなりのものがあるじゃろう。今頃、町中に噂が広がっているはずじゃ」
司教様が溜息をつきながら説明してくれたけど、貴族は周りの噂も気にするので自爆してかなりのダメージを負っているという。
ただ、大人しく引き下がる連中ではないので、気をつけないとならないらしい。
そして、王太后様があることを提案してきた。
「アメリア、リンにもう少し詳しく説明しましょう。本日の奉仕活動が終わったら、リンとともに王城に来なさい。この後色々と報告をするけど、もう関係者が集まった方がいいわ」
「王太后様、本当にお手数をおかけし申し訳ありません」
「いいのよ、アメリアは実の孫のように思っているのよ。だから、色々とお節介を焼きたくなるのよ」
王太后様が私の意見を無視してアメリア様と色々なことを詰めていたけど、私は間違いなくとんでもない人と会うことになりそうだ。
というか、拒否をするのは難しいだろうな。
ということで、王太后様はこの後王城に戻り、私とアメリアさんは改めて奉仕活動を再開することにした。
司教様も、王太后様と一緒に王城に向かって事情を説明するらしい。
まあ、貴族令嬢が絡んだ騒動だから気をつけないとならないもんね。
シスターさんが紅茶を淹れてくれ、一口飲むとようやく気持ちが落ち着いた。
それはアメリアさんも同じだったみたいで、深呼吸をしながら息を整えていた。
流石にシルバも周りの空気を読んでなのか、いつもよりも大人しく床に座っていた。
私とアメリアさんの気持ちが落ち着くのを待ってから、王太后様が色々なことを説明してくれた。
「リンには、簡単に背景を説明しないとならないわね。アメリアは孫の第二王子と幼馴染でほぼ婚約状態にあって、アメリアに詰め寄っていた貴族令嬢はアメリアが孫と婚約状態にあるのを妬んでいるのよ」
王太后様がズバッと背景を言ったけど、まるで昼ドラのような世界だなあ。
公爵家令嬢であるアメリアさんがこの国の王子様と幼馴染であっても問題はなく、むしろアメリアさんはそれだけ凄い人に嫁いでも全く問題ない気がする。
しかし、それをよく思わない貴族勢力がいるってことですね。
「本当なら直ぐにでも孫とアメリアの婚約を発表したいのだけど、いきなりやるとまあ色々と面倒くさいのよ。なので、文句を言ってきた貴族令嬢も一応婚約者候補としたわ。すると、自分が選ばれて当然だという態度に出てきて、アメリアを貶めようと色々としていたのよ」
王家としても、貴族に平等にチャンスを与えるスタンスを取らないとブーブー文句を言ってくる貴族がいるという。
それで、婚約者候補になったらあの手この手でアメリアさんを何とか婚約者候補から脱落させるために動いていたわけか。
ただ、殆どの貴族は第二王子とアメリアさんで決まりだと思っていて、口を挟んできた貴族のことを冷たい目で見ているという。
「私も色々対応したかったのだけど、病気になって動けなかったのよ。ただ、その分マリアがアメリアの側にいてくれたから助かったわ。そして、口うるさい私が体調を戻したのもあって、あの貴族令嬢も焦って無理な行動を起こしたのでしょうね」
つまり、最近までは少し良くない状況だったのだけど、私という存在が現れてアメリアさんとともに王太后様を治療したことで大きく事態が動き始めたわけか。
となると、まだまだ動きがありそうってことなんだ。
すると、アメリアさんが私にとても申し訳なさそうに頭を下げてきたのだ。
「リンさん、私のことで大変なことに巻き込んでしまい、本当に申し訳ありません。その、私もあの人たちがあんな強引な行動をするとは思っていなかったので……」
アメリアさんにとっても、あの貴族令嬢が教会に押しかけて大声で自身を糾弾するとは思ってもなかったのだろう。
でも、アメリアさんのことを知っている人なら、誰でもあの場面では止めに入ると思うな。
「アメリアさんと会ってからまだ日は浅いですけど、アメリアさんが何事にも一生懸命で素敵な人だと知っているつもりです。だから、私もそんなアメリアさんを助けたいと直ぐに思いましたよ」
「ウォン、ウォン!」
「リンさん、シルバ、本当にありがとうございます……」
アメリアさんは思わず涙を零してしまったけど、どちらかというと安堵の涙な気がした。
何にせよ、知り合いが困っていたら助けるのは普通だと思っていた。
「ふふ、やはりリンは正義感に溢れているわ。だからこそ、優しいアメリアのことが気になったのでしょうね。リンがいてくれて、本当に良かったわ」
「はい、本当に良かったです。私、リンさんに会えて本当に良かったです……」
あの、王太后様とアメリアさん、私はただのお節介な人ですよ。
困っているのを見過ごせない性格なだけですよ。
そんな、聖人君子のような凄い人じゃないですよ。
でも、アメリアさんも真面目な性格で聖女とまで言われていて、更に第二王子様との件もあったからプレッシャーは計り知れなかっただろうなあ。
そして、再びアメリアさんの気持ちが落ち着くのを待ってから話を再開することになった。
そのタイミングで、応接室に入ってくるものがいた。
ガチャ。
「ふむ、この分だと話はあらかた終わったようじゃのう。儂からも、少し話をするとしよう」
応接室に入ってきたのは司教様で、どうやら私たちの話が落ち着くのを待っていたみたいだ。
そして、司教様は席に着くとアメリアさんに深々と頭を下げた。
「アメリア様には、教会から詫びを入れないとならない。あのような無法者を教会内に入れ、尚且つ常日頃教会に多大な貢献をしてくれたものを攻撃させたのだ。教会の対応として、落ち度もあったのは事実じゃ」
「し、司教様、頭を上げてください! 私はこうして皆様に守られましたので」
「ありがとう。しかし、二度とこの様なことが起こらないように対策も必要じゃ」
司教様とアメリアさんがお互いにペコペコと頭を下げていたが、取り敢えずはこれで一段落だ。
そして、司教様があることを宣言した。
「実は、あの三人の令嬢は名目上は教会に花嫁修業の一環として来ているのじゃ。しかし、修行など全くせずにお喋りをして菓子を食べてばっかりだ。第二王子様の婚約者候補なので教会も我慢していたが、正式に婚約が発表され次第教会から追放とする」
「えっ、司教様、そんなことをして大丈夫なのですか?」
「大丈夫じゃないのはあやつらじゃ。なんせ、公衆の面前で聖女様と名高きアメリア様を罵倒したのじゃ。町のものの反感は、かなりのものがあるじゃろう。今頃、町中に噂が広がっているはずじゃ」
司教様が溜息をつきながら説明してくれたけど、貴族は周りの噂も気にするので自爆してかなりのダメージを負っているという。
ただ、大人しく引き下がる連中ではないので、気をつけないとならないらしい。
そして、王太后様があることを提案してきた。
「アメリア、リンにもう少し詳しく説明しましょう。本日の奉仕活動が終わったら、リンとともに王城に来なさい。この後色々と報告をするけど、もう関係者が集まった方がいいわ」
「王太后様、本当にお手数をおかけし申し訳ありません」
「いいのよ、アメリアは実の孫のように思っているのよ。だから、色々とお節介を焼きたくなるのよ」
王太后様が私の意見を無視してアメリア様と色々なことを詰めていたけど、私は間違いなくとんでもない人と会うことになりそうだ。
というか、拒否をするのは難しいだろうな。
ということで、王太后様はこの後王城に戻り、私とアメリアさんは改めて奉仕活動を再開することにした。
司教様も、王太后様と一緒に王城に向かって事情を説明するらしい。
まあ、貴族令嬢が絡んだ騒動だから気をつけないとならないもんね。
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