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ポチの54話 トール君と再会したよ

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「お帰りなさい。ふふ、ポチちゃん勲章がいっぱいだね」

 侍従のお姉さんに先導されて、りっちゃんとポチはさっきの控室に戻ったんだ。
 ポチの胸に勲章がいっぱいついているのを見て、奥様は面白いものを見たって表情になったんだ。

「うーん、これだけあると、ポチ無くしちゃいそう……」
「なら、リリーナの分も含めて我が家で管理しましょう。折角だからポチちゃんが貰ったって展示しておきましょう」
「ポチはそれで大丈夫だよ!」

 りっちゃんのお家なら管理もバッチリだし、とっても安心だね。

 かちゃ。

「あ、ポチちゃんだ!」
「グレース様だ」

 部屋に数人が入ってきたけど、真っ先にグレース様がポチに抱きついてきたんだよ。
 グレース様はニコニコしていて、とってもご機嫌なんだ。
 
「ポチちゃん、グレースの服を着ているからお揃いなの!」
「あっ、そうか。ポチの服びしょびしょになったから、グレース様からドレスを借りたんだった」

 だからグレース様は自分と一緒だって喜んでいたんだね。
 そして、更にポチの知っている人が入ってきたんだよ。

「ポチちゃんって、あのポチちゃんだったんだ」
「あ、トール君だ!」

 今日は綺麗なお洋服を着ているけど、間違いなくポチが病院で出会ったトール君だよ。
 トール君、とっても元気になったんだね。
 でも、何で王宮にいるんだろう?

「トールは儂のひ孫だ。たまたま公爵領で治療をしていた時にお主とあったのだよ」
「あっ、ポチに勲章をくれた人だ!」

 白髪のお爺さんが部屋にやってきた。
 トール君はこの人のひ孫なんだ。
 うーん、顔は似ていないなあ。

「ポチちゃんとちゃんと挨拶するのは初めてだな。儂はこの国の宰相をしておる」
「ポチはポチだよ!」
「ほほほ、聞いてはいたが元気な嬢ちゃんだ」

 宰相様は、ニコニコしながらポチの頭をポンポンと撫でてくれたんだよ。
 トール君もいるからか、撫で方が優しいんだよ。

「トールは公爵領の病院で治療を受けていたのだが、あの時はちょうど両親が王都に帰った後でな。トールは落ち込んでいたのじゃよ」
「そうだったんだ。薬の事もあったけど、別の事でも落ち込んでいたんだね」
「そうなのだ。だから、トールもポチちゃんに会って励まされたのが良かった様だな」

 小さいのに病院で一人は寂しいよね。ポチも入院した時は寂しかったんだから。
 でも、トール君が元気になって良かった!

「ポチちゃんって凄いんだね。僕と同じくらいなのに、こんなに沢山勲章を貰うなんて」
「うーん、でも特別な事はしていないんだよね。黒い大きな犬とは負けられない闘いだったし」

 トール君はポチの事を凄いって言うけど、黒い大きな犬とはリベンジマッチだったし、負けられない闘いだったもんね。
 後の事は街の人も色々と協力してくれたから、勲章を貰えたんだよね。

「ポチちゃん、晩餐会には来るんだよね?」
「勿論参加するよ!」
「じゃあ、グレースとダンスして欲しいなあ」
「あ、僕ともダンスして欲しいかも」
「勿論だよ! ポチはグレース様とトール君ともダンスをするんだよ!」
「あらあら、ポチちゃんは大人気ね」
「ほほほ、そうじゃのう」

 二人はもうポチのお友達だから、ダンスをするのは大歓迎なのだ。
 りっちゃんのラストダンスもあるけど、ポチにとっても楽しみな晩餐会になりそうだよ。
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