転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十三章 二年生

千二百六十五話 事実上の決勝戦の開始

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 準決勝第一試合は、イヨとルーシーお姉様です。
 事実上の決勝戦といっても良いくらいの好カードです。
 前年度のチャンピオンと、物凄い実力を持った一年生という組み合わせですね。

「あの、弟くんとリズちゃんの手合わせを見た後だと、いまいち自分の自信が欠けるんだけど……」
「同感、あれは反則」

 ルーシーお姉様とイヨは、ジト目で僕を見ています。
 僕だって、レイナさんがアレだけ動いてくるなんて思わなかったんですよ。
 因みに、リズはマイク席にスタンバイしていて、サンディとエレノアとアナウンスの打ち合わせをしていました。

「それでは、いよいよ決勝戦をかけた戦いが始まります。前年度優勝者のルーシーと、二戦ともあっという間の勝利を飾ったイヨとの戦いです」
「お互いに前から手合わせしたことのある間柄なので、とっても楽しみです」

 リズとサンディのアナウンスに、観客席も盛り上がります。
 少なくとも、あっという間に終わる試合ではないと予想していますね。

「「「がんばれー!」」」

 そして、いつの間にかミカエルたちも来賓席に来ていて二人に声援を送っていました。
 多分、いつもネコちゃんと一緒にいるマジカルラットがミカエルたちを連れてきたんですね。
 ちびっ子たちの声援に、ルーシーお姉様とイヨもフリフリと手を振っていました。

「教えたことがちゃんと発揮できるか、先生としてきちんと見ないとね」
「そうね。どこまでできるか見ものね」

 レイナさんとカミラさんは、二人のことを先生目線で見ていました。
 小さな頃から教えているから、成長が気になるようです。
 そんな中、ジンさんだけは腕を組んで静かに成り行きを見守っていました。

「それでは、お互いに正々堂々戦うように」
「「はい」」

 もう準決勝なので、先生も試合前の諸注意は細かくいいません。
 ルーシーお姉様とイヨも、そのくらいは分かっています。
 お互いに頷き、そして開始線に向かいました。
 会場内を緊張が包みこみ、誰もが言葉を発せない程でした。
 審判役の先生も少し距離を取り、二人を交互に見ます。
 そして、スッと右手を上げました。

「始め!」

 ガキン、ガキン!

 開始の合図と共に、二人は中距離を保ちながら木剣を振るっています。
 攻撃も防御もしやすい位置で、お互いの実力が最大限に生かされます。

「お互いに視線やステップの牽制を入れつつ、激しく斬り合っています! でも、まだまだ様子見って感じだよ」
「二人とも絶好調だから、飛ばしすぎないように気をつけているの」

 リズだけでなくエレノアも加わっての実況に、観客席からも歓声が上がっていました。
 というのも、二人の斬りあっているのが速くて、普通の人では判別つかないからです。
 そういう意味では、リズの目の良さは貴重かもしれません。

「うーん、まだ二人とも様子見って感じですね」
「だな。高速でやりつつ、本気ではない。しかし、牽制する時は手を落とすことが多いが、二人は手を落としていない。成長していると言えるだろう」

 僕の話を聞きつつ、ジンさんは二人のことをとても褒めていました。
 普通の学園生や軍の新人兵レベルでは、この二人の牽制レベルでも耐えられないと思います。
 それだけ、目の前で行われている試合のレベルが高いと言えましょう。

「凄いね、まだまだ本気じゃないよ!」
「もっと凄いのが出るかも!」

 そして、ミカエルを始めとするちびっ子たちは、二人が斬り合っているのが見えています。
 次期勇者様候補のレイカちゃんなんかは、こうすればいいかもってまで言っています。
 末恐ろしいちびっ子たちですね。
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