転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十三章 二年生

千三百五話 披露宴で狼藉を働いたもの

 スラちゃん、プリン、ポッキーたちもスススっとルーカスお兄様たちの背後に移動し、ルーカスお兄様たちの従魔もいつでも動けるようにスタンバイしています。
 さり気なく王妃様もルーカスお兄様の横に移動し、アリア様、ティナおばあさまもやってきました。

「「グルル」」
「グルッ」

 ドラちゃんも、ドラちゃんのお母さんとリボンちゃんにルーカスお兄様たちの側に移動するように指示を受けます。
 ちびっ子たちも駆けつけようとしたけど、流石に危ないので席に留まってもらいます。
 サンディとイヨにちびっ子たちを見てもらい、その代わりに僕、リズ、エレノア、ルーシーお姉様もルーカスお兄様の側にきました。
 はたから見れば、僕たちがルーカスお兄様たちの挨拶のサポートをしている様に映ります。
 現に、僕たちはルーカスお兄様たちの関係者だもんね。
 そして、遂にその貴族の番になりました。

「うぃー、っく」
「お、お父様、しっかりして下さい。ルーカス様、申し訳ありません」

 やってきたのは中年の貴族と若い女性で、女性の方はどうやらルーカスお兄様とアイビー様と同級生みたいです。
 女性がペコペコとしている中、父親で当主の伯爵はかなり泥酔しているようです。
 その理由は、直ぐに分かりました。

「殿下、結婚おめでとうございます、うぃっ。しかし、うっく、娘を側室にして頂けたなら、もっと喜べた、はずですようっく」
「お、お父様、なんてことを……」

 どうやら、伯爵はルーカスお兄様とアイビー様と仲の良い娘を側室に送り込もうとしていたみたいです。
 もちろん、ルーカスお兄様の側室はアイビー様だと前から決まっていました。
 でも、いくら妬みがあるにしても泥酔して挨拶時に本人に絡むのは良くないです。
 そこで、司会の僕が伯爵をなだめることにしました。

「申し訳ありません。次の方がおります……」
「うるせー、このガキが!」

 ドスッ。

 僕がペコリと頭を下げながら誘導しようとしたら、泥酔していた伯爵はなんと僕のことを突き飛ばしたのです。
 辛うじて尻もちをつかなかったけど、一気に事態が動くことになりました。

 カツン、ガツン。

「貴方、アレク君に何をしましたか?」
「はあ? うるせーことを言うから突き飛ばしただけだよ! ひっく」

 激怒モードの王妃様が何とか怒りを抑えつつ注意しても、泥酔状態の伯爵は自分の主張を繰り返すだけです。
 これはもう駄目だということで、王妃様がある命令を下しました。

「みんな、このひとを廊下に連れて行ってくれるかしら?」
「「「任せて!」」」
「グルル」

 リズ、エレノア、ルーシーお姉様だけでなく、ドラちゃんも直ぐに返事をします。

 ヒョイッ。

「グルル」
「おい、降ろせ! 降ろしやがれ!」

 そして、ドラちゃんは泥酔した伯爵の両脇を抱えて廊下に連れ出しました。
 ドラちゃんの後ろには、リズたちに加えてスラちゃんたちも一緒についていきます。

「あ、アレク君、大丈夫ですか?」
「突き飛ばされただけで、怪我はないですよ」
「お父様が、本当に申し訳ありません」

 女性は、僕に深々と頭を下げてきました。
 ティナおばあさまが女性から話を聞くことにしたので、女性を連れて挨拶から外れます。

「あの子は、側室になるつもりはなかったのよ。でも、父親の伯爵は貴族の務めだと強引に側室になるように動いていたのよ」

 アイビー様が裏話を教えてくれたけど、何となく予想は出来ていました。
 元々女性はルーカスお兄様、アイビー様と仲がいいので、事情もよく知っていました。
 なので、学園では逆に女性から伯爵の強引な行動を二人に相談していたそうです。
 個人的には、なんで王家の決定に従わなかったのか気になります。
 さてさて、次の貴族の挨拶に移らないとね。

「ギャー! ウギャー! アー!」

 廊下から男性の叫び声が聞こえてきたけど、来賓は特に気にしていません。
 いつの間にか、王妃様、リボンちゃん、ドラちゃんのお母さんの姿が見えなくなっていたけど、きっと叫び声が聞こえたところにいるんだね。
 当分は、廊下に顔を出すのはやめて挨拶の補助に徹しましょう。
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