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第三十三章 二年生
千三百九話 破壊王のデス料理尋問
カツン、カツン。
石造りの廊下を歩く音が、周囲に響きます。
階段を降りていき、地下一階の一番奥にある特別尋問室に向かいました。
「こちらに、例の二人がおります。どうぞ」
ガチャ、ギギギ……
鉄製の重厚な扉が開くと、少し広めの部屋が広がっていました。
その部屋の中には多くの兵が待機していて、中央に椅子に体を固定させられている披露宴で暴れた二人の姿がありました。
「くそっ、離せ! 離しやがれ!」
「俺を誰だと思っているんだ! 今すぐ解放しろ!」
うーん、二人は未だに元気よく暴れていますね。
試しに二人に鎮静化の魔法をかけたけど、全く効果はありません。
鑑定魔法を使うと、二人にある共通点があることに気が付きました。
「二人とも、状態異常回復魔法に耐性があります」
「報告によりますと、二人とも癇癪癖があり家族が幼少期より教会の聖職者に頼んで状態異常回復魔法をかけていたそうです」
兵の報告を聞いて、僕もジンさんも思わず溜息をついちゃいました。
きっと、二人の両親も大変な思いをしながら何とかしたいと思っていたんだね。
でも、回復魔法をかけてももう性格は元には戻りません。
でも、破壊王のデス料理を使えば何とかなるかもしれませんね。
ということで、さっそくカミラさんとレイナさんの登場です。
「カミラ、レイナ、二人はもうアレクの魔法すら効かない。二人の料理でガツンと言ってやれ」
「分かったわ。腕によりをかけるわ」
「あの二人の目を覚ませばいいのね」
カミラさんとレイナさんは、かなり気合を入れています。
なんと、マイエプロンまで持ってきていました。
美女のエプロン姿なので、普通に見ればとても良い姿です。
でも、僕たちには悪魔がエプロンを着ているとしか思えません。
そして、ジンさんが胸元から一枚の命令書を取り出しました。
「これから二人に対する特別尋問を開始する。二人は、そこに座ったまま特別尋問官が作る料理を見ているように」
「「はぁ?」」
これから尋問を受ける二人は、何が何だか分からないみたいですね。
でも、これから直ぐに大変なことになると実感しますよ。
それでは、さっそく調理開始です。
シュッ、ガコン!
「ふふ、武器屋のオヤジさんに頼んで作って貰った鉄のまな板を使う時がきたわ」
何と、レイナさんのマジックバッグからとんでもないものが出てきたのです。
幾ら木のまな板だとボロボロになっちゃうとはいえ、鉄のまな板はやり過ぎじゃないですか?
ガコン、ガコン、ガコン、ガコン。
包丁で野菜を切る音とはかけ離れた、鈍い金属音が響いていました。
野菜やお肉を叩き切るという方法を使っているので、包丁で鉄製のまな板を叩いていました。
途中から、何故か果物とかも切っていますよ。
拘束されている二人だけでなく、兵もとんでもない光景に言葉を失っています。
しかし、二人の料理はこれからが本番です。
ぐつぐつぐつ。
「今日は、特別に色々なスパイスを入れてみよう」
「あれとこれとそれと……」
カミラさんとレイナさんは、塩コショウだけでなく砂糖や何かのスパイスも入れています。
えーっと、作っているのはただのスープだよね。
どんどんと不思議な臭いがしてきたので、僕たちと兵は布でマスクをしました。
一方、拘束されている二人は、マスクもしないで目の前で不思議な料理を作っている様子を眺めている様子を強制的に見せられています。
変な汗をかき始めていて、顔も真っ青になっています。
「うん、できたわ」
「会心の出来ね」
そして、遂に謎のスープが完成したのです。
破壊王のお二人は、とっても満足そうな表情をしています。
しかし、器に盛られたスープは謎のトロピカルな色をしていました。
この時点で、この世のものではない何かが生み出されたと分かりました。
兵は、こんなものを目の前で見せられるという尋問は初めてだと言う表情をしています。
拘束されている二人は、本能的にかなりヤバいものが目の前にあるという怯えた表情をしていました。
なんとか逃げ出そうともがくけど、がっちりと椅子に拘束されているので逃げ出すのは不可能です。
でも、本当の尋問はこれからです。
破壊王のお二人は、出来上がったデス料理をお盆に乗せたのです。
「さあ、二人ともいっぱい食べてね」
「今日は、とても感じなのよ」
「「へっ?」」
まさかの宣告に、拘束された二人は一瞬言葉を失ってしまいました。
しかし、この後起こるであろう絶望にぶるぶると震え出したのです。
「や、やめ……」
「近づけないでくれ!」
「「遠慮せずに」」
破壊王の悪魔の笑みに、拘束されている二人は絶望的な表情を見せていました。
そして、器が乗っているお盆が二人の眼前に差し出された時でした。
ガクンガクン、ビクンビクン。
二人が白目を剥いて痙攣してしまったのです。
あっ、これはマズイ。
「二人とも、一旦戻れ。アレク、治療だ」
「「えー?」」
破壊王のお二人はかなり不満そうな表情を見せているけど、このままだと確実に拘束されている二人が死んでしまいます。
僕は、あらかじめ溜めておいた魔力を二人に向けて放ったのです。
シュイン、ぴかー!
「「うぐぐ……」」
久々に全力の回復魔法を放っていくと、二人はなんとか意識を取り戻して行きました。
念の為に鑑定魔法を使って状態を確認すると、あることに気がつきました。
「ジンさん、二人の状態異常回復魔法の耐性がなくなっています」
「デス料理を眼前にしたものは、例外なく臨死体験をする。その影響もあるのだろう」
ジンさんも、原因ははっきりしていると断言しました。
そして、拘束されている二人は拘束を解かれて自分の牢屋に担架で運ばれました。
僕的には、その後の方が大変でした。
シュイン、ぴかー!
「うぐぐぐ、とっても抵抗が強いです……」
デス料理を廃棄するために生活魔法で綺麗にしようとしたのだけど、とんでもなく濃密な何かに阻まれて中々浄化できません。
ルリアンさんとナンシーさんに魔力供与をしてもらい、三十分かけてなんとか浄化できました。
更に氷魔法で凍らせてフリーズドライの方法で水分を飛ばし、風魔法で粉々に粉砕してから麻袋に入れます。
これで、廃棄する準備は完了です。
しかし、僕、ルリアンさん、ナンシーさんは魔力が空っぽになっちゃいました。
「ジンさん、最後に聖剣を使って浄化して下さい……」
「念入りにやった方がいいな」
ジンさんは聖剣を手にして、全力で廃棄物を浄化しました。
しかし、今度はジンさんの魔力が空っぽになっちゃいました。
でも、これで安心なはずです。
「あの、廃棄する際も十分に気をつけて下さい」
「畏まりました」
兵も僕たちに敬礼しながら、危険物として廃棄物を取り扱っていました。
その後、何とか軍の基地にある応接室に向かい、少し休憩をとりながら通信用魔導具で各所に対応報告を入れました。
各所からも、労いの言葉がありました。
「二人が気絶したので、結果は明日にならないと分からないですね」
「俺は、大丈夫だと思うぞ。なんせ、状態異常回復の耐性が取れちまったのだからな」
僕とジンさんは、ヘンニャリしながら何とか会話を交わしていました。
その後は何とか少し回復した魔力を使って屋敷にゲートを繋いで帰りました。
カミラさんとレイナさんは、任務完了してとてもスッキリとしていました。
屋敷に着くと僕は着ていた服を全て洗濯に出して、お風呂で念入りに体を洗います。
そして、ベッドに入ると魔力欠乏もあってかあっという間に眠っちゃったのでした。
石造りの廊下を歩く音が、周囲に響きます。
階段を降りていき、地下一階の一番奥にある特別尋問室に向かいました。
「こちらに、例の二人がおります。どうぞ」
ガチャ、ギギギ……
鉄製の重厚な扉が開くと、少し広めの部屋が広がっていました。
その部屋の中には多くの兵が待機していて、中央に椅子に体を固定させられている披露宴で暴れた二人の姿がありました。
「くそっ、離せ! 離しやがれ!」
「俺を誰だと思っているんだ! 今すぐ解放しろ!」
うーん、二人は未だに元気よく暴れていますね。
試しに二人に鎮静化の魔法をかけたけど、全く効果はありません。
鑑定魔法を使うと、二人にある共通点があることに気が付きました。
「二人とも、状態異常回復魔法に耐性があります」
「報告によりますと、二人とも癇癪癖があり家族が幼少期より教会の聖職者に頼んで状態異常回復魔法をかけていたそうです」
兵の報告を聞いて、僕もジンさんも思わず溜息をついちゃいました。
きっと、二人の両親も大変な思いをしながら何とかしたいと思っていたんだね。
でも、回復魔法をかけてももう性格は元には戻りません。
でも、破壊王のデス料理を使えば何とかなるかもしれませんね。
ということで、さっそくカミラさんとレイナさんの登場です。
「カミラ、レイナ、二人はもうアレクの魔法すら効かない。二人の料理でガツンと言ってやれ」
「分かったわ。腕によりをかけるわ」
「あの二人の目を覚ませばいいのね」
カミラさんとレイナさんは、かなり気合を入れています。
なんと、マイエプロンまで持ってきていました。
美女のエプロン姿なので、普通に見ればとても良い姿です。
でも、僕たちには悪魔がエプロンを着ているとしか思えません。
そして、ジンさんが胸元から一枚の命令書を取り出しました。
「これから二人に対する特別尋問を開始する。二人は、そこに座ったまま特別尋問官が作る料理を見ているように」
「「はぁ?」」
これから尋問を受ける二人は、何が何だか分からないみたいですね。
でも、これから直ぐに大変なことになると実感しますよ。
それでは、さっそく調理開始です。
シュッ、ガコン!
「ふふ、武器屋のオヤジさんに頼んで作って貰った鉄のまな板を使う時がきたわ」
何と、レイナさんのマジックバッグからとんでもないものが出てきたのです。
幾ら木のまな板だとボロボロになっちゃうとはいえ、鉄のまな板はやり過ぎじゃないですか?
ガコン、ガコン、ガコン、ガコン。
包丁で野菜を切る音とはかけ離れた、鈍い金属音が響いていました。
野菜やお肉を叩き切るという方法を使っているので、包丁で鉄製のまな板を叩いていました。
途中から、何故か果物とかも切っていますよ。
拘束されている二人だけでなく、兵もとんでもない光景に言葉を失っています。
しかし、二人の料理はこれからが本番です。
ぐつぐつぐつ。
「今日は、特別に色々なスパイスを入れてみよう」
「あれとこれとそれと……」
カミラさんとレイナさんは、塩コショウだけでなく砂糖や何かのスパイスも入れています。
えーっと、作っているのはただのスープだよね。
どんどんと不思議な臭いがしてきたので、僕たちと兵は布でマスクをしました。
一方、拘束されている二人は、マスクもしないで目の前で不思議な料理を作っている様子を眺めている様子を強制的に見せられています。
変な汗をかき始めていて、顔も真っ青になっています。
「うん、できたわ」
「会心の出来ね」
そして、遂に謎のスープが完成したのです。
破壊王のお二人は、とっても満足そうな表情をしています。
しかし、器に盛られたスープは謎のトロピカルな色をしていました。
この時点で、この世のものではない何かが生み出されたと分かりました。
兵は、こんなものを目の前で見せられるという尋問は初めてだと言う表情をしています。
拘束されている二人は、本能的にかなりヤバいものが目の前にあるという怯えた表情をしていました。
なんとか逃げ出そうともがくけど、がっちりと椅子に拘束されているので逃げ出すのは不可能です。
でも、本当の尋問はこれからです。
破壊王のお二人は、出来上がったデス料理をお盆に乗せたのです。
「さあ、二人ともいっぱい食べてね」
「今日は、とても感じなのよ」
「「へっ?」」
まさかの宣告に、拘束された二人は一瞬言葉を失ってしまいました。
しかし、この後起こるであろう絶望にぶるぶると震え出したのです。
「や、やめ……」
「近づけないでくれ!」
「「遠慮せずに」」
破壊王の悪魔の笑みに、拘束されている二人は絶望的な表情を見せていました。
そして、器が乗っているお盆が二人の眼前に差し出された時でした。
ガクンガクン、ビクンビクン。
二人が白目を剥いて痙攣してしまったのです。
あっ、これはマズイ。
「二人とも、一旦戻れ。アレク、治療だ」
「「えー?」」
破壊王のお二人はかなり不満そうな表情を見せているけど、このままだと確実に拘束されている二人が死んでしまいます。
僕は、あらかじめ溜めておいた魔力を二人に向けて放ったのです。
シュイン、ぴかー!
「「うぐぐ……」」
久々に全力の回復魔法を放っていくと、二人はなんとか意識を取り戻して行きました。
念の為に鑑定魔法を使って状態を確認すると、あることに気がつきました。
「ジンさん、二人の状態異常回復魔法の耐性がなくなっています」
「デス料理を眼前にしたものは、例外なく臨死体験をする。その影響もあるのだろう」
ジンさんも、原因ははっきりしていると断言しました。
そして、拘束されている二人は拘束を解かれて自分の牢屋に担架で運ばれました。
僕的には、その後の方が大変でした。
シュイン、ぴかー!
「うぐぐぐ、とっても抵抗が強いです……」
デス料理を廃棄するために生活魔法で綺麗にしようとしたのだけど、とんでもなく濃密な何かに阻まれて中々浄化できません。
ルリアンさんとナンシーさんに魔力供与をしてもらい、三十分かけてなんとか浄化できました。
更に氷魔法で凍らせてフリーズドライの方法で水分を飛ばし、風魔法で粉々に粉砕してから麻袋に入れます。
これで、廃棄する準備は完了です。
しかし、僕、ルリアンさん、ナンシーさんは魔力が空っぽになっちゃいました。
「ジンさん、最後に聖剣を使って浄化して下さい……」
「念入りにやった方がいいな」
ジンさんは聖剣を手にして、全力で廃棄物を浄化しました。
しかし、今度はジンさんの魔力が空っぽになっちゃいました。
でも、これで安心なはずです。
「あの、廃棄する際も十分に気をつけて下さい」
「畏まりました」
兵も僕たちに敬礼しながら、危険物として廃棄物を取り扱っていました。
その後、何とか軍の基地にある応接室に向かい、少し休憩をとりながら通信用魔導具で各所に対応報告を入れました。
各所からも、労いの言葉がありました。
「二人が気絶したので、結果は明日にならないと分からないですね」
「俺は、大丈夫だと思うぞ。なんせ、状態異常回復の耐性が取れちまったのだからな」
僕とジンさんは、ヘンニャリしながら何とか会話を交わしていました。
その後は何とか少し回復した魔力を使って屋敷にゲートを繋いで帰りました。
カミラさんとレイナさんは、任務完了してとてもスッキリとしていました。
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