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第十六章 聖女様出迎え編
二百九十三話 今日の予定
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「愚痴を言っていても仕方ないじゃろう。とりあえず、今日の予定を再確認しよう」
おお、流石はサーゲロイド辺境伯。
暗くなった部屋の中の空気をバッサリと切り捨てた。
先ずは目の前の事に集中しないとね。
「そうですな。では、この後の予定を話ますか」
ささっとナッシュ枢機卿が懐から予定表を取り出した。
流石はできる仕事人だ。
「聖女様は、この後二時間後にこちらに到着いたします。既に宿泊地は出発なられたと連絡が入っております。到着後は歓迎式典を行った後に、王国へ入国されます。本日はサーゲロイド辺境伯様の所にお泊まりになり、明日サーゲロイド辺境伯様の広場にて歓迎式典を行った後に王城へ向かいます」
先ずは二時間後の歓迎式典が最初のイベントになる。
歓迎式典は、この建物の隣にあるでっかい教会でやる事になっているらしく、シスターとかが準備をしているとの事です。
「本日の歓迎式典も、聖女様の旅の疲労を考慮して簡素化しております。元より聖女様は派手な事を敬遠されておりますので、ちょうど良いかと思われます」
グレアム司祭の説明からも、平民出身である聖女様の性格が伺える。
これが教会の高位者の家の出身なら、派手な歓迎式典になるのだろうなあ。
「私達も歓迎の挨拶をするくらいですし、出来るだけ聖女様の負担にはならない様に心がけておりますわ」
ティナおばあさまの言う通り、ルーカスお兄様の聖女様歓迎の挨拶は短いものになるという。
そもそも話が長ければ長いほど良いわけでもないので、ここは簡単に済ませる予定です。
「後は王国でも炊き出しをやりたいと、聖女様から申し出が出ております」
「王国でも定期的に炊き出しを行なっておりますので、聖女様を歓迎しますわ」
王都でも辺境伯領でも炊き出しは月一回はやっているので、僕達も炊き出しには随分と慣れている。
教皇国の炊き出しってどんなものなのか、少し興味があるなあ。
「あと、聖女様は甘いお菓子が好きだというので、アレク君がプリンを作ってくれました」
「皆様も試食して頂けますか?」
ついでというので、ティナおばあさまがプリンの事を話してきた。
既にサーゲロイド辺境伯には歓迎式典で使う以上の分を渡してあるし、侍従にもどうぞと言ってある。
スラちゃんのアイテムボックスからプリンを人数分出してもらって、皆で試食です。
うーん、スラちゃんだけでなくプリンもアイテムボックスを使える様になったから、僕も早くアイテムボックスを覚えたいなあ。
「なんと、このプリンをアレク殿下が作られたのか!」
「アレク殿下はまだ五歳ですよね?」
「プリンは湯煎だけ気をつければ簡単に作れますから」
「ただ作るのと、美味しく作れるのは全く違いますわ。上品な甘さでとても美味しいですわね」
どうやら枢機卿にも、僕が作ったプリンは好評だった様だ。
「お兄ちゃん、プリンおかわり!」
「この後もプリンを食べるのだから、これでおしまいだよ」
「えー」
リズとスラちゃんよ、よくこの状況で堂々とプリンのおかわりを要求できるな。
流石に枢機卿も笑っているぞ。
こうして、穏やかな雰囲気の中で時間は進んでいったのだった。
おお、流石はサーゲロイド辺境伯。
暗くなった部屋の中の空気をバッサリと切り捨てた。
先ずは目の前の事に集中しないとね。
「そうですな。では、この後の予定を話ますか」
ささっとナッシュ枢機卿が懐から予定表を取り出した。
流石はできる仕事人だ。
「聖女様は、この後二時間後にこちらに到着いたします。既に宿泊地は出発なられたと連絡が入っております。到着後は歓迎式典を行った後に、王国へ入国されます。本日はサーゲロイド辺境伯様の所にお泊まりになり、明日サーゲロイド辺境伯様の広場にて歓迎式典を行った後に王城へ向かいます」
先ずは二時間後の歓迎式典が最初のイベントになる。
歓迎式典は、この建物の隣にあるでっかい教会でやる事になっているらしく、シスターとかが準備をしているとの事です。
「本日の歓迎式典も、聖女様の旅の疲労を考慮して簡素化しております。元より聖女様は派手な事を敬遠されておりますので、ちょうど良いかと思われます」
グレアム司祭の説明からも、平民出身である聖女様の性格が伺える。
これが教会の高位者の家の出身なら、派手な歓迎式典になるのだろうなあ。
「私達も歓迎の挨拶をするくらいですし、出来るだけ聖女様の負担にはならない様に心がけておりますわ」
ティナおばあさまの言う通り、ルーカスお兄様の聖女様歓迎の挨拶は短いものになるという。
そもそも話が長ければ長いほど良いわけでもないので、ここは簡単に済ませる予定です。
「後は王国でも炊き出しをやりたいと、聖女様から申し出が出ております」
「王国でも定期的に炊き出しを行なっておりますので、聖女様を歓迎しますわ」
王都でも辺境伯領でも炊き出しは月一回はやっているので、僕達も炊き出しには随分と慣れている。
教皇国の炊き出しってどんなものなのか、少し興味があるなあ。
「あと、聖女様は甘いお菓子が好きだというので、アレク君がプリンを作ってくれました」
「皆様も試食して頂けますか?」
ついでというので、ティナおばあさまがプリンの事を話してきた。
既にサーゲロイド辺境伯には歓迎式典で使う以上の分を渡してあるし、侍従にもどうぞと言ってある。
スラちゃんのアイテムボックスからプリンを人数分出してもらって、皆で試食です。
うーん、スラちゃんだけでなくプリンもアイテムボックスを使える様になったから、僕も早くアイテムボックスを覚えたいなあ。
「なんと、このプリンをアレク殿下が作られたのか!」
「アレク殿下はまだ五歳ですよね?」
「プリンは湯煎だけ気をつければ簡単に作れますから」
「ただ作るのと、美味しく作れるのは全く違いますわ。上品な甘さでとても美味しいですわね」
どうやら枢機卿にも、僕が作ったプリンは好評だった様だ。
「お兄ちゃん、プリンおかわり!」
「この後もプリンを食べるのだから、これでおしまいだよ」
「えー」
リズとスラちゃんよ、よくこの状況で堂々とプリンのおかわりを要求できるな。
流石に枢機卿も笑っているぞ。
こうして、穏やかな雰囲気の中で時間は進んでいったのだった。
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