転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
197 / 1,334
第十八章 少し平和な日々

三百九十三話 領民に認められた小さな領主様

 一方の炊き出しに治療の方も、順調な滑り出しをしている。
 色々な所で炊き出しに治療を行っているから、もう慣れっこになっている。

「どーぞー」
「おお、小さな領主様自ら治療なさるとは」

 今日のメインはミカエルなので、僕達はできるだけ目立たない様に気をつけています。
 ミカエルはとても張り切っていて、ブリットと共に魔法を使った治療を行っています。
 小さいミカエルが頑張って治療している姿を見て、特に年配の人は感激している様です。
 
「今は順調に進んでいますね」
「そうだな。ならず者もどんどん捕縛しているし、今の所は問題ないな」

 僕はジンさんと炊き出しの調理をしつつ、全体の様子を見ています。
 ここ暫く王国で大きなイベントがなかったのだが、今日は久々に大きめのイベントだ。
 闇ギルドとは関係ないならず者も、スリとかの犯罪を行う為に集まっている様です。
 ポニさん達とアマリリスとならず者捕縛部隊は、想定外のならず者の多さに大忙しです。
 
「そうですか。そんな事があったんですね」
「はい。でも、最近はだいぶ良くなってきました」

 イザベラ様とソフィアさんにティナおばあさまが、街の人から色々話を聞いています。
 元々バイザー子爵領の街の経済状況は良くなかったのだが、最近はだいぶ改善しているそうです。
 各地との交易も盛んになっていて、辺境伯領と共に地域の要となっていた時のバイザー領に近付いている様です。
 と、ここで軍務卿がやってきて、ジンさんに声をかけてきた。

「ジン、すまんがレイナとカミラを借りるぞ。尋問する人員が足りなくなってきた」
「良いですよ。どうせあいつらは列の整理しかできませんので」
「そうか。良い情報も手に入ったので、後で教えるな」

 軍務卿はとても良い笑顔でジンさんに話しかけていた。
 何やら重要な情報を掴んだらしい。
 そして尋問部隊には、レイナさんとカミラさんの他にも冒険者のおばちゃんがついて行った。
 三人ともとても良い笑顔で屋敷の庭に向かって行ったので、捕縛されたならず者はこれから厳しい尋問を受ける事になるんだろうな。

 炊き出しと無料治療も順調にいってもうそろそろ終わりになろうとした時、ある事件が起きた。

「くそ、もう他に誰もいないのかよ。ガキが、死ねー!」

 無料治療に並んでいた中年の男が、突然ナイフを抜いてミカエルに襲いかかったのだ。
 他のならず者が捕まったので、中年の男はだいぶ焦っている様だ。
 とはいえ、ミカエルを守る布陣は万全だ。

「動きを止めます!」
「くそ、動けねえ」

 先ずは僕が中年男性の靴だけを凍らせて、地面に縫い付けます。
 これでだいぶ時間が取れそうです。
 後は、ならず者捕縛部隊がこの中年の男を捕まえるだけだと思ったら、想像を超えた事態に。

「「「えーい!」」」

 ズドドドーン!
 ズドン、ズドン、ズドン!
 スドーン!

「ぐっはぁ!」

 動けなくなった中年の男を目掛けて、一斉に魔法が放たれたのだ。
 魔法を放ったのは、ルーカスお兄様とアイビー様とルーシーお姉様。
 更にはリズとエレノアとサンディも魔法を放っている。
 ついでといわんばかりに、スラちゃんとプリンとアマリリスも魔法を放っていた。
 そして、この二人も魔法を放っています。

「わりゅもの、やつけた!」
「やつけた!」

 そう、ミカエルとブリットも中年の男目掛けて魔法を放っています。
 魔法を放ったミカエルは治療している所から一歩出て、自分なりの格好いいポーズを決めています。

「領主ミカエル様を襲った賊を捕らえよ」
「「「はっ」」」

 ランカーさんは、あえてミカエルが領主という事を強調して兵を指揮していた。
 魔法を沢山受けたならず者は、ピクピクと動いているので死んではいないようだ。
 ホッと一安心と胸を撫で下ろすと、大きな歓声が沸き起こった。

「おお、ミカエル様がならず者を倒したぞ」
「あんなに小さいのに、勇敢だなあ」
「流石は勇敢な天使様だ」

 ポーズを決めているミカエルに向かって、街の人が拍手や歓声を送っています。
 すると、ミカエルと顔見知りの大柄な冒険者が、ヒョイっとミカエルの事を肩に乗せました。

「この方が、王国で聖女様をお守りし教皇国では聖女候補様をお守りしたバイザー子爵領領主ミカエル様だ」
「だー!」
「「「わー! ミカエル様!」」」
「「「ミカエル様、ばんざーい!」」」

 おお、冒険者は背が高いので、後ろの方までミカエルの顔が良く見えている。
 ミカエルも、両手を一生懸命に伸ばして駆けつけた人に応えていた。
 周りの人も、大盛り上がりでミカエルの事を讃えていた。
 もうミカエルは、立派なバイザー子爵家の領主様だな。
感想 303

あなたにおすすめの小説

夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!

山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。

私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです

天宮有
恋愛
 子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。  数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。  そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。  どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。  家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

本当に私で合ってたんですか? 転生してその日に死んだのですが

ボンボンP
ファンタジー
神様の適当なチョイスで小説の世界に来た私 『読者から転生する者を選んだのだ、それなのに…』 そんなこと言われても私は読者じゃないです… ただ、妹が部屋に本を置いていっただけなのに… あらすじも登場人物の誰一人知らないんだから、結果こうなりました

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

知らないうちに離婚されていた男爵令嬢は実家に帰ることにしました【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
結婚して1年。 元・貴族令嬢エヴェリナは、平民商人の夫にこき使われ、自分の時間すら奪われていた。 久しぶりの自由時間を楽しんで帰宅すると、門番が立ち塞がり── 「ここより先には立ち入れません」 夫が勝手に離婚届を偽造し、彼女を家から追放した。 さらに「不貞の証拠」として、エヴェリナのサインを悪用した偽装契約書まで作成。 名誉を守るため裁判へ挑むが、そこで明らかになったのは── ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。ご都合主義です。