転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第二十七章 ちびっ子たちの冒険者デビュー

八百三十一話 学園での打ち合わせ

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 サギー男爵領で押収した資料の分析と闇ギルド構成員への聴取を続けていますが、その辺は軍にお任せです。
 時々シーラさんが聴取に駆り出されているけど、そのくらいは全然問題ありません。
 そしてその間に、僕は別のお仕事をしています。

「アレク様は、相変わらずお忙しいですね。王国中を駆け巡って事件を解決なさるなんて」
「とはいえ、基本は王城におりますよ。個人的には、冒険者活動をもっとしたいのですけど……」
「アレク様は、まだ学園入園前ですから。本来であれば、勉強と共に遊ぶ事もとても大切ですね」

 今日はプリンとローリーさんと一緒に、学園の卒園式の打ち合わせに来ています。
 といっても、特に大きなイベントはないので、闇ギルド対策で念の為に警備を厳重にするだけです。
 王族であるルーシーお姉様の入園式は、警備も厳重にしないとならないので一番大変です。
 後は、いつもの卒園式と入園式の対応なので担当が決まれば問題ありません。
 話し合いは、あっという間に終了です。
 だいぶ時間が余ったので、久々に学園内を見学します。

「私が卒園した時と、あまり変わっておりませんね」
「ローリーさんは、まだ卒園したばっかりですよ」
「ふふ、そうでしたわ。この一年はとても濃密な時間を過ごしていたので、学園にいたのが昔のように感じますわ」

 ちょっとお茶目に話すローリーさんだけど、ローリーさんも一年前に比べるととても成長した気がします。
 一年前は、話し方も丁寧だったけど固かった。
 自然に話せるようになるのは、とても良い事ですね。
 ここで、僕の頭の上に乗っているプリンが、何かを訴えています。

「えっ、プリンが一年前から成長したのかって? うーん、プリンは一年経ってもプリンのままだよなあ……」
「くすくす」

 僕の感想に、プリンはガーンとショックを受けていた。
 体の大きさも殆ど変わらないし、行動も変わらないからね。
 凹んでいるプリンを見て、ローリーさんもクスクスとしていました。
 そんな僕たちが向かっている場所は、学園内のとある場所です。

 ガンガンガン、ガンガンガン。

「わあ、沢山の人が工事をしていますね」
「学園内の施設を作っていますし、四月に間に合わせる様にしていますので」

 施設内の一角で、沢山の作業員が工事を行っています。
 以前学園内に全く使われていないスペースがあったので、僕が農業体験や研究施設ができないかなって言ったのが発端でした。
 農業生産を体験して、食文化の大切さを知るための教育に使われます。
 また、アカデミーの農業研究施設にも使われます。
 とっても良い感じにできそうで、僕も凄く期待をしています。
 次は、別の施設に向かいます。
 授業中なので、うるさくしない様に注意します。

「えーい!」

 シュイーン、ドーン!

「はい、良いですね。もう少し魔力を練る事ができると良い魔法が使えますよ」
「ありがとうございます」

 僕達がやってきたのは、魔法実習が行われる施設です。
 見学するためのスペースがあるので、そこから中を覗きます。
 ちょうどルーカスお兄様とアイビー様のクラスが実習を行っていて、みんな真剣に魔法の訓練をしています。
 ルーカスお兄様とアイビー様は既に訓練を終えた後で、タオルで汗を拭いていました。
 うん、アイビー様がルーカスお兄様の汗を甲斐甲斐しく拭いているけど、僕とリズとエレノアだったら僕が二人の汗を拭くことになりそうです。
 と、ここで二人が僕に気が付きました。

「おや、アレクか。それにローリー先輩もいるって事は、学園での打ち合わせの帰りか?」
「はい、早めに終わったので施設見学をしていました」
「そうか。アレクにとってはつまらない物かもしれないが、どんな授業を行っているか見ていくと良い」

 こうして、僕は時間まで魔法実習を見学していきました。
 先生が丁寧に生徒に魔法を教えていたのが、とても好印象でした。
 でも、僕が学園に入園するまであと二年あるんだよね。
 どんな先生に当たるかは、その時にならないと分からないね。
 因みに王城に帰ったらプリンが施設見学したと自慢しちゃったので、リズとスラちゃんが思いっきり不機嫌になっちゃいました。
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