転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
802 / 1,192
第三十章 入園前準備

九百九十八話 休憩時間

しおりを挟む
 暫くすると、着替えたリズたちがこっちにやってきた。
 エレノアは騎士服で、リズたちは冒険者服です。

「お兄ちゃん、着替えたよー!」
「こっちの方が、動きやすいの」

 動きやすい服装に着替えて、全員いい表情をしていました。
 やっぱり筆記試験を乗り越えたのが大きいみたいです。
 ちなみに、実技試験で使う木剣は事前に用意したものを使うので、僕たちがいつも使っている木剣は使用しません。
 そんな中、リズがあることを聞いてきました。

「ねえ、お兄ちゃん、他の人とお喋りしていてもいいかな?」
「時間になるまで体育館にいるんだったら良いよ」
「よーし、お友達いっぱい作るぞ!」

 何ともリズらしい理由だけど、仲良くする分なら問題ありません。
 さっそく、色々な人に話しかけていきました。
 それこそ、貴族や市民など全く関係ないですね。
 特に市民の人たちは、王族や双翼の天使様から話しかけてきたのでとっても盛り上がっていました。

「ふん、いい気になって」
「そうだそうだ、結局剣技は大したことないんだろうな」

 一方、ようやく復活したカンニングなどをした貴族は今度は僕たちは剣技は大したことないと思っていた。
 僕的には、人のことを気にする前に自分のことを気にした方が良いと思いますよ。
 このままでは、一番下のクラスにいくのは間違いないですから。
 中には木剣を持ってきていて練習をしている人もいるので、ぜひ見習って欲しいです。

「それでは、時間になりましたので忘れ物のないようにして体育館から校庭に移動してください」

 先生のアナウンスで、一気に人が移動し始めた。
 リズたちは、仲良くなった人と楽しそうに話をしていた。
 リズの明るさは、ある意味転生の才能だよなあ。
 そして、ぶつぶつと何か言いながらカンニング組が着いてきた。
 うん、これは良からぬことを考えていそうだ。
 でも、もう手は打ってあるけどね。
 説明する先生の前に受験生が並んだところで、実技試験の説明をします。

「これから実技試験を開始します。相手役の人と三分間手合わせして、その様子を採点します。三分の間でしたら何回も挑むことができますので、諦めずに頑張りましょう」
「「「はい!」」」

 実は、実技試験は単に剣技だけを見るものではない。
 諦めない姿勢や、どれだけ真面目にやるかなども評価対象に入ってきます。
 筆記試験ではかれない項目も、実技試験で確認します。
 ということでさっそく準備をするのですが、ある人たちだけ特別対応です。

「なお、筆記試験でカンニングが見つかった人については、ルーカス生徒会長が自ら相手をしたいと申し出ております」
「「「げっ!」」」

 カンニングをした人の数が多いので、ルーカスお兄様はちょっと怒っているんだよね。
 もちろん真面目に相手をするつもりだけど、カンニングした面々は顔を真っ青にしていた。
 そして、もう一人特別対応の受験生がいます。

「エリザベスさんは、一番最後にアレクサンダー副宰相が相手をすることになりました」
「おお、そうなんだ! ふふふ、リズがお兄ちゃんを倒しちゃうよ」

 この中ではリズが飛び抜けて強いので、僕かジンさんが相手をすることになりました。
 じゃんけんの結果、僕が相手をすることに……
 リズが滅茶苦茶やる気を見せているので、僕的にはとても不安です。
 そして、「双翼の天使様がお互いに戦うよ」とか、「ゴブリンキングを倒す力ってどのくらいなんだろうか」などの声が聞こえました。
 僕としては、そこまで本気でやるつもりはないですよ。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

悲恋小説のヒロインに転生した。やってらんない!

よもぎ
ファンタジー
悲恋ものネット小説のヒロインに転生したフランシーヌはやってらんねー!と原作を破壊することにした。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。