転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
822 / 1,191
第三十章 入園前準備

千十八話 急遽の初心者冒険者向け講習の講師

しおりを挟む
 新人職員研修を兼ねた炊き出しも無事に終わり、今日は普通の安息日です。
 でも、リズたちは冒険者活動をする気満々でした。
 残念ながら、暫くは安全な内容の冒険者活動をするようにと陛下からお達しが出ていました。
 すると、食堂でリズがこんなことを言ってきました。

「今日はね、王都冒険者ギルドで新人冒険者向け講習をやるんだよ。講師はお兄ちゃんだよ」

 リズよ、その話は全く聞いていないですよ。
 いつの間にか、僕が講師になっているなんて。
 どうも、この前王都冒険者ギルドに行った際に、密かに講師の話をしていたみたいです。
 そういうことは、きちんと話しなさいね。
 僕は、苦笑しながら席を立ちました。
 ちなみにミカエルたちはレイカちゃんたちと遊ぶみたいで、エレノアとメアリも用事があって不参加です。
 僕、リズ、サンディ、イヨだけで活動するって、何だか久々な気がします。
 僕もいるよって、スラちゃんとプリンが触手をフリフリしながらアピールしていた。
 ではではということで、僕たちは冒険者服に着替えて準備を整えて王都冒険者ギルドに向かいました。

「では、これで手続き完了です。新人冒険者の一部が既に部屋に入っていますが、準備を進めて頂いて構いません」
「はーい」

 受付で手続きを終え、僕たちは講義を行う部屋に入っていきます。
 元気よく返事をしているリズたちは、特別調査部隊で何回か王都冒険者ギルドにきているので僕よりも慣れた感じで歩いていました。
 そして、部屋に入るとある人が僕たちを見てびっくりしていました。

「あっ、アレク様! それにリズ様も」
「あっ、サキちゃんだ!」
「「えっ?!」」

 何と、サキさんが席に座っていて二人の男子と話をしていました。
 スラちゃんとプリンも触手をフリフリしながら挨拶をしていたけど、どうもリズの反応を見る限り本当に偶然みたいです。
 そして、サキさんが二人の男子を僕たちに紹介してくれました。

「こちらにいるのが、ポップさんとガンツさんです。別の王都教会の孤児院にいるんですけど、二人とも剣技の特待生です」
「おおー! 凄い凄い!」

 まさか、ここでもう二人の特待生と会うことができるとは。
 これには、リズだけでなくサンディも少しテンションが上がっていました。
 ポップさんはちょっと長めの紫色の髪で、小柄でスピードタイプだそうです。
 対してガンツさんは年齢にしては少し大柄で、茶髪の短髪でパワータイプです。
 二人ともとても礼儀正しそうで、僕たちとにこやかに握手してくれました。
 一通り挨拶を済ませたところで、改めてお話をします。

「あの、なんでアレク様とリズ様が王都の冒険者ギルドにいるのですか?」

 サキさんは、僕たちが普段辺境伯領に住んでいるのを知っているので、冒険者活動するのならわざわざ王都に来ないのではと思っていました。
 うん、至極当然の疑問だと思います。

「あのね、今日はリズたちが新人冒険者向け講習の講師をするんだ!」
「えっ?」
「ふふーん、何を隠そうリズとお兄ちゃんはDランク冒険者なのだ!」
「「「えー!」」」

 おお、サキさんだけでなく他の二人もとってもびっくりしていました。
 まさか同級生が講師をするとは思わないよね。

「もう何回も講師をしているから、教えるのは大丈夫ですよ。というか、人に教えるのは良いことだからと何回もやっています」
「いえ、そうではなくて。アレク様は、本当に何でもやられるんだなと思っちゃいました……」

 ああ、うん、サキさんの言いたいこともよく分かります。
 僕も色々やっているなあって、そう思っちゃうね。
 リズたちはサキさんたちとお喋りしているので、僕は講義の準備を進めます。
 意外と新人冒険者が多いなと思ったら、やっぱりというか自信満々の新人冒険者が部屋に複数入ってきました。
 講師の僕を見て、つまらなそうに舌打ちまでしていますね。
 ちらっとリズたちも態度の悪い新人冒険者を見ていたけど、直ぐに気配に気づくあたりは流石ですね。
 スラちゃんもあの態度の悪い冒険者は、態度が悪いだけで悪人でもなく大したことはないと言っています。
 うん、いつも通りにやれば良いだけですね。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。