小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
221 / 678
第八章 帝国との紛争

第五百二十四話 サンダーランド辺境伯領に行くことに

しおりを挟む
 ブラウニーさんは、報告を続けました。

「発端は、帝国兵が境界線を越えて挑発してきたことによります。注意をしたところ、軍事行為だとして一斉に攻撃を仕掛けてきました。迎撃はできておりますが、初動が遅れたために複数の怪我人が出ております」
「話を聞く限り、帝国が挑発しながら奇襲の準備をしていたのか。いずれにせよ、由々しき事態だ」

 陛下も思わず顔をしかめているけど、他の人たちも同様に苦々しい表情をしていた。
 僕としては、怪我人がいっぱい出ているというのがとても気にかかります。
 すると、陛下は一瞬だけ僕のことを見て指示を出しました。

「無駄な争いは避けたかったのだが、やむを得ない。サンダーランド辺境伯領に援軍派遣命令を出す。ディフェンダーズ伯爵領にも、念のため増援をだそう。また、アイリーンとレオをトップとした治療班を派遣する。更に、レオを宮廷魔導師につける」
「「「はっ」」」

 陛下も苦渋の判断だと言っていました。
 もちろん、チャーリーさんとギルバートさんも難しい表情をしていました。
 でも、僕としては怪我人がいると聞いて放っておけません。
 しかも、サンダーランド辺境伯領では何回も兵の治療をしています。
 また、治療施設にたくさんの兵が運ばれているはずです。

「僕、直ぐに行って治療を始めたいです。前に治療した施設にたくさんの兵が運ばれているはずです」
「レオ、少し落ち着け。レオがサンダーランド辺境伯領を出発した後、領内の医療体制の整備を行なっている。ポーションも、ストックしてあるそうだ」

 陛下になだめられて、僕は少し落ち着きました。
 少なくとも、僕たちが到着するまでの間は大丈夫だそうです。
 それを聞いて、少し安心しました。

「いずれにせよ、事は急がないとならない。各自準備を進めるように」
「「「畏まりました」」」

 こうして、各人が急いで準備を始めました。
 ギルバートさんも、救援物資の準備を進めるそうです。

「じゃあ、行ってきます」
「気をつけてな。終わったら、前に来た私の執務室に来てくれ」

 僕はギルバートさんと別れて、ナンシー侯爵と王城内にある軍の詰め所に向かいます。
 その場所に、アイリーンさんがいるそうです。

「陛下も、本当はレオ君を巻き込みたくなかったのだろう。だが、怪我人がいればレオ君は単身でも向かう可能性があった。だからこそ、きちんとした役割をつける事にしたのだよ」
「うう、皆さんに迷惑をかけちゃったんですね。さっきも、早く現地に行きたいって言っちゃいましたし」
「レオ君が優しい性格だからこそ、そういう発言が出るのだよ。みんな、分かっている」

 ナンシー侯爵と廊下を歩きながら話をしていたら、さっき焦っていたのが恥ずかしくなっちゃいました。
 いずれにせよ、僕はできることを頑張れば良いだけですね。
 そして、一階のたくさんの兵がいるエリアに入りました。
 すれ違う兵が、ナンシー侯爵に敬礼しているよ。
 やっぱりすごい人なんだね。
 そして、少し広めな部屋の前につきました。

 コンコン。

「アイリーン、ナンシーだ。入るぞ」
「どうぞ、お入り下さい」

 部屋の中からアイリーンさんの声が聞こえてきて、僕も一緒に入ります。
 すると、アイリーンさんは既に色々な準備を進めていました。
 他にも、治療兵と思わしき若い女性がいました。
 この前の新人兵訓練で一緒だった人もいます。

「アイリーン、正式に出陣命令が出た。レオ君も一緒に行くことになった」
「分かりました。こういうことで治療するのは避けたかったんですけど」
「仕方ないだろう、帝国のことまで面倒は見きれん」

 どうもアイリーンさんは、事前に話を聞かされていたみたいです。
 そして、僕が同行するのも予想していたみたいです。
 名前が出ても、特に表情を変えませんでした。

「あと、レオ君が正式に宮廷魔導師に任命された。実績からすれば、何も問題ないだろう」
「そうなんですね、それはちょうどよかったです。宰相閣下と商務大臣閣下より頼まれていた、レオ君用の宮廷魔導師の軍服とマントが出来上がったんですよ」
「そうか、それはタイミングがいい。では、後は任せたぞ」

 あのあの、なんでそんなものが用意されているんですか?
 しかも、チャーリーさんとギルバートさんが絡んでいるなんて。
 そして、振り返ったらナンシー侯爵は既に廊下の遠くにいました。

 ガシッ、バタン。

「ふふ、レオ君はまだ七歳だよね。お姉さんが着替えさせてあげるわ」
「本当に、レオ君は可愛いわね」
「はーい、脱ぎ脱ぎしましょうね」
「ああ、あのあのあの、その……」

 僕は、目を輝かせている治療兵のお姉さんに囲まれてあっという間に着替えさせられました。
 うう、一人で着替えはできるのに……
 シロちゃんはいつの間にかアイリーンさんのところに逃げちゃったし、アイリーンさんも苦笑しているだけでした。
しおりを挟む
感想 197

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ
ファンタジー
俺、 鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は…36歳 独身のどこにでも居る普通のサラリーマンの筈だった。 しかし…ある日、会社終わりに事故に合ったらしく…目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた! しかも…【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!? よし!じゃあ!冒険者になって自由にスローライフ目指して生きようと思った矢先…何故か色々な事に巻き込まれてしまい……?! 「これ…スローライフ目指せるのか?」 この物語は、【この子】と俺が…この異世界で幸せスローライフを目指して奮闘する物語!

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。