小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
281 / 678
第九章 久々のセルカーク直轄領

第五百八十四話 ジェシカさん大激怒

しおりを挟む
 無事に昼食も終わり、全員で後片付けをして旅を再開します。
 ちょっと調子を落としていた兵も、美味しいご飯を食べて元気になりました。
 お馬さんたちも、ユキちゃんの治療もあってかとてもご機嫌です。

「ふしゅー、ふしゅー」

 そのユキちゃんは、お腹がいっぱいになったのでジェシカさんの膝を借りてお昼寝をしています。
 ピーちゃんも反対の膝を借りてお昼寝しているけど、今日は日差しがとっても気持ちいいですね。
 僕は、周囲の探索を続けながら冒険者学校に入るための勉強を続けています。
 久々に集中して勉強できるので、教科書も随分と進みました。
 シロちゃんも、別の本を読んでいますね。
 道中は何事もなく、夕方前に無事に男爵領にある軍の小さな駐屯地に到着しました。
 小さなお屋敷って感じの建物ですね。
 すると、何故か駐屯地内がドタバタしていました。
 何があったのかなと、部隊長さんが聞いてみました。

「おい、何が起きている?」
「その、料理担当がお腹を壊しまして。治療と今夜の夕食をどうするか対応していまして……」

 えー!
 まさかの料理担当が腹痛だなんて。
 でも、ここは僕の出番だよ。
 ジェシカさんとシロちゃんが厨房に向かったんだけど、その間に僕は医務室に向かいました。

 シュイン、ぴかー。

「これで良くなりましたよ。病気で腹痛じゃなくて、悪いものを食べて腹痛になっていましたよ」
「その、食材がちょっと傷んでいたのかもしれません……」

 医務室で、料理担当の兵が理由を話してくれました。
 料理担当は当番制で、この日は腹痛を起こしていた兵が担当だったそうです。
 食材からなんか変な臭いがしたので試食したら、たちまちお腹が痛くなったそうです。
 となると、今晩の食事は僕たちが持っている食料で作った方が良さそうだね。
 食料はたくさん持ってきたし、使っても全然大丈夫です。
 ということで、みんなで厨房兼食堂に向かいました。
 そこには、一見するととてもいい笑顔だけど、実際には怒気を垂れ流しているジェシカさんの姿がありました。

「ふふふ、こんなに汚れていればお腹を壊すのも当たり前です。いったい食料管理はどうなっているのでしょうか? そして、そんな状況で作った食事をレオ様に食べさせようとしたのですね……」
「「「ヒィィィ……」」」

 なんというか、原因が分かりました。
 厨房もそうだけど、食堂も結構汚れていました。
 食料管理も適当だったみたいです。
 ここの駐屯地の指揮官がジェシカさんにペコペコしつつ、兵全員で大清掃をしていました。
 そして、料理は何故かシロちゃんが作ってくれました。
 部隊長さん曰く、これでは怒られても仕方ないレベルだそうです。
 最近なにも事件が起きていなかったので、完全に気が緩んでいました。
 そして、僕が生活魔法で駐屯地を綺麗にしようとしたら、ジェシカさんがニコリとして駄目ですよと言ってきました。
 はい、絶対に逆らいません。

「健全な環境、適切な食事、適度な訓練、これがなければ健全な体は作れません。国を守るべき軍がこの体たらくでは駄目です」
「全くもって、仰る通りで……」
「レオ様も、国境にいる際に兵の士気を高めるのに適切な環境が必要だったと言っておられました。ここは、いったいどうなっているのでしょうか?」
「あの、その……」

 ジェシカさんがニコリとしながら正座している駐屯地の指揮官を説教しているけど、部隊長さんはいい機会だからそのままにしておけと言っていました。
 だらけると駄目になる典型例だそうです。
 そして、姿が見えないユキちゃんとピーちゃんは、一緒に来た部隊兵とともに生活魔法でシーツとかを綺麗にしているそうです。
 部隊長さんからありのままを伝えていいと言われたので、僕は通信用魔導具でありのままを一斉送信しました。
 すると、軍務大臣のブランドルさんを始めとする面々が大激怒していました。
 直ぐに対応すると返信があったけど、下手をすれば明日第一師団の施設から兵がやってくるかもね。
 部隊長さんから見てもこれは駄目だそうで、しかもこの駐屯地の指揮官よりも部隊長さんの方が立場が上だそうです。
 そして、おもむろに部隊長さんもジェシカさんの隣に移動しました。

「各駐屯地は、有事の際には直ぐに動かなければならない。ただ、惰性的に日々の任務をこなしていれば良いわけではない。それなのに、最低限の管理もできていないとはいったいどういうことだ!」
「弁解の余地もございません……」

 こうして、更に説教が続くことになりました。
 その横で誰も喋ることなくシーンとしながらシロちゃんの作ってくれた夕食を食べたけど、あまりにも気まずくて味が良く分かりませんでした。
 食堂内では、食器のカチャカチャとする音と説教が聞こえていました。
 そして、お風呂のタイミングでようやくジェシカさんが戻ってきましたけど、僕は声をかけることができませんでした。
 寝る時も一緒だったけど、説教で疲れちゃったのかジェシカさんは直ぐに寝ちゃいました。
しおりを挟む
感想 197

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ
ファンタジー
俺、 鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は…36歳 独身のどこにでも居る普通のサラリーマンの筈だった。 しかし…ある日、会社終わりに事故に合ったらしく…目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた! しかも…【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!? よし!じゃあ!冒険者になって自由にスローライフ目指して生きようと思った矢先…何故か色々な事に巻き込まれてしまい……?! 「これ…スローライフ目指せるのか?」 この物語は、【この子】と俺が…この異世界で幸せスローライフを目指して奮闘する物語!

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。