小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第十一章 冒険者学校

第七百三十八話 今度は治療を始めます

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 シスターさんの案内でやってきたのは、教会付属の治療施設です。
 ここには多くの人が入院しているって聞いていたけど、治療施設に入ったらとんでもなくビックリしちゃいました。

「「「うう……」」」
 
 なんと、教会の廊下にも多くの人が寝かされていたのです。
 しかも、ベッドが少ないのかベンチみたいなものに寝かされています。
 これは一刻も早く何とかしないとと思い、直ぐに動き始めました。

「今回は、最初に広範囲回復魔法である程度治療します。その後に、一人ずつ治療していきます」
「アオン!」
「お願いいたします」

 治療費の予算も横領されていて人手も薬も少ないのに、更に病人の数も多いんだ。
 きっと、シスターさんたちもギリギリの状態だったんだろうなあ。
 僕は、みんなが少しでも楽になれるようにと、ユキちゃんと共に魔力を溜めました。

 シュイン、シュイン、ぴかー!

「こ、これが噂に聞く『黒髪の天使様』の広範囲回復魔法……」
「なんという光なのでしょうか。とても優しい光です」

 僕たちの側にいたシスターさんは広範囲回復魔法を見て驚愕の表情をしているけど、護衛役のムホン伯爵領の守備隊員もしんじられないものを見たという表情に変わりました。
 でも、まだまだ広範囲魔法は続きます。
 今度は、治療施設全体を生活魔法で綺麗にしていきます。

 シュイン、ぴかー!

「凄い、これだけの大魔法を連発で放つなんて……」
「まるで、治療施設が建設当時の様に綺麗になっていきますわ」

 汚れているシーツなどを綺麗にするのが目的だったんだけど、ついでに建物も綺麗にしちゃいます。
 取り敢えず広範囲魔法はこれで終わりで、後は個別に確認して行きましょう。

「じゃあ、ユキちゃんも治療頑張ってね」
「アオン!」

 ここからは、僕とユキちゃんの二手に分かれて治療を行います。
 シスターさんと守備隊員もちょうど二人ずついるから、分かれてついてもらいました。
 今日は、スピード重視で治療をするよ。
 すると、シスターさんが大部屋にいるたくさんの患者に声を掛けました。

「皆さん、先ほどの大魔法は『黒髪の天使様』が放った回復魔法です。これから、皆さん一人一人を『黒髪の天使様』が治療なさります」

 一気に大部屋がザワザワとざわめいていて、中には僕の事を見て驚いている人もいます。
 でも、時間もないし一気に治療しましょう。

 シュイン、ぴかー。

「少しだけ胸に悪いものが残っていたので、全部治療しましたよ」
「あ、ありがとうございます……」

 僕が治療をすると、涙を流しながら喜んでいる人もいます。
 やっぱり、体の調子が良くなるととても嬉しいよね。
 いつもだったら色々とお話するんだけど、今日は軽く話したら次の人の治療を行います。
 先ずは、中等症までの人をユキちゃんと手分けして一時間かけて全員治療しました。

「ふう、これで二人を除いて退院出来ますね」
「アオン!」
「はっ、はい……」

 僕とユキちゃんが満足そうに話をすると、シスターさんはまだ状況が理解できないといった返事をしていました。
 そして、退院手続きをするのに人手が足りないので、応援の守備隊員がやってきました。
 応援に来た守備隊員は、殆どの人が退院出来るとは思っていなかったようです。
 では、残り二人の治療を行いましょう。

「その、手首から先を切断している人でして……」

 シスターさんが病状を説明してくれたけど、二人とも守備隊員で訓練中に誤って怪我をしちゃったそうです。
 早く治って、守備隊の任務に戻らないといけないよね。
 数人の守備隊員が病室にいるけど、同僚が大怪我を負ったら気が気じゃないね。
 このくらいなら僕一人でも治療出来るので、僕は回復魔法と聖魔法の両方を溜めます。

 シュイン、シュイン、ぴかー!

「なんという魔法なのだろうか……」
「凄い、複数の魔法陣が現れているぞ」

 僕の魔法を初めて見た守備隊員が、目をまんまるにするほど驚いていました。
 さてさて、結果はどうでしょうか。

「き、奇跡が起きていますわ……」
「て、手が生えているぞ!」

 シスターさんと守備隊員は、目の前で起きた状況を理解できていませんでした。
 良い感じに治療ができて、手の再生だけでなく他の病気も全て治療できました。
 もう一人の手を失った守備隊員も無事に手の再生ができ、これで治療完了ですね。
 治療施設は退院手続きでドタバタしているので、一旦教会内に戻りました。
 すると、町の人が教会内にたくさん集まっていたのです。

「凄い。まるで教会が生まれ変わったようだ」
「何とも荘厳な感じなのだろうか。これを、『黒髪の天使様』が大魔法で一瞬にして行ったとは」
「『黒髪の天使様』とは、いったいどんな人なのだろうか」

 どうやら教会内が綺麗になったのと僕の噂をしているみたいだけど、ここで僕が名乗り出ると大変な事になりそうですね。
 でも、そういう時に限ってトラブルが起きます。

「うっ、胸が……」

 お婆さんが、胸を押さえながら倒れてしまったのです。
 僕とユキちゃんは、急いで人混みをかき分けてお婆さんの所に駆け寄りました。

「はあはあ……」

 お婆さんはかなり苦しそうだったけど、幸いにしてまだ心臓が止まっていなかった。
 僕とユキちゃんは、互いに魔力を溜めました。

 シュイン、シュイン、ぴかー!

「こ、これは魔法の光?」
「それでは、この少年が噂の……」

 お婆さんを治療していると、周りの人がザワザワとざわめいていました。
 でも、僕とユキちゃんの意識はお婆さんを治療する事に集中していました。

「すー、すー」

 どうやらお婆さんは治療の反動で寝ちゃったけど、悪いところは全部治せました。
 僕もユキちゃんも、ホッとしていました。
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