異世界で神から最強の力を手に入れたはずだがそれが最弱だった件について

神崎夜一

文字の大きさ
26 / 42
1章〜復讐へ〜

明日香と竜二

しおりを挟む

「ってっっやめろ!」


「なんだー竜二興奮しちゃった?」


俺は少し顔を赤らめたが、すぐに切り替え、腕を振り払う。


「してねぇーわ。それより俺は行くからな」


俺は階段を下り、宿屋を出て、街を散策することにした。
 

「ってか何でお前はついてくるんだよ」


さっきからずっと俺の後をついてくる。


「だってー竜二と一緒にいたいし、二人きりになれる時間もないから。ダメかな?」


「ついて来てる時点でくる気満々じゃねぇーか!まぁ、勝手にすれば」


「うん!ありがとう!私嬉しい!」


明日香は満面の笑みで返事し、俺はこいつを見ていると調子が狂うと心の中で呟いた。

すると、向かいから歩いてくる三人グループの男性に声をかけられた。
こんな時間だというのに街に出歩いてるってどうなんだか。


「ねぇー、そこのお姉ちゃんー。俺たちと遊ばない?」


緊張しているのか興奮しているのかわからないが20代ぐらいの見た目をしている若い男性の顔は火照っている。
ナンパというものを直で見たことはなく俺は驚くが、明日香はそんなそぶりを見せずに向かっていく。
 

「え、無理ー。私大好きな人がいるから、貴方達消えてくれない?」


明日香は俺の腕と自分の腕を絡ませる。


「そんな冴えない奴といてもつまんないでしょ?俺たちが楽しいこと教えてあげるから来な?」


「だから無理だって言ってるじゃない!死にたいの?え、もしかして、私に殺して欲しいから来たの?」
 

「何を言っているのかわからないが。無理って言うなら俺たちも考えがある」


「面白いじゃない、考えとやらを教えてちょうだい」


「ふふ、今更懇願しても遅いからな!お前たち!あの女を捕まえろ!」

 
その男が言うと、両橋にいた男達が明日香を襲おうと走り出す。


「なんだ、つまんないの。私が貴方達に負けるわけないじゃん。そんなに死にたいなら殺してあげる」


明日香は男に向かって、右手を掲げると、そこから黒色の魔方陣が作られる。


「私の名に命じる。悪魔様のご好意を喰らえ!ダーク・キャファニックフレア‼︎」


明日香が唱えることによって作られた闇の玉が一瞬で、男達に目掛けて向かい、そして、空間を抉り取った。
一瞬の出来事で何が何やらと困惑していたが、男達がいないことから何処かへ行ってしまったのか、又は死んでしまったのかを推測する。


「お前、一体何をしたんだよ!」 


「えーと、そうね。殺したよ。空間ごと綺麗に」


「や、やりすぎだよ!殺すなんてしなくても追い払うことだって出来たはずだ!」


「私が抵抗しなかったら、竜二は助けてくれた?」


「それとこれとは関係ない!関係ないけど、俺はお前を助けられない...」


「なら、竜二は何も言えないよ。私はこうするしか対処する手段が分からないから」


「ぐっっ、だけど!それでも!殺すことはやめてくれ...お願い...お願いだからやめて...くれ」


「いいよ。だけど条件があるなー」


「何だ?」


「私と主従関係を結んで欲しいの」


「は?無理だ。俺がなんでも言うこと聞くって言うことだろ?それはできない」


「だったらやーめた。それができないなら。私は人を殺すよ。それが私の生き甲斐になってしまったから、竜二が私の物になってくれるのなら話は別だけど」


「だったら次明日香が人を殺そうとした時、俺は全力でお前を止めるから」


「それが出来るなら、やってみなよ」


「あぁ、殺してでもだ」


そうこう話しているうちに灯台の天辺まで来ていた。
太陽が地平線から半分ほど出るところで、もう少しで日の出になりそうなので俺と明日香は座って待つことにした。
灯台からは眺めがよく、草原がどこまでも続いているかのようだ。風がなびいてとても気持ちいい。


「なぁ、お前はなんで理沙を殺したんだ?」


俺が柵に腕をついていると、ふと俺の口から言葉がこぼれ落ちていた。


「だって、竜二が理沙って子を好きだったから」


「そうか...」


「急にどうしたの?私への恨みはもう消えたの?」


「いいや、消えてないけど、こうして俺と明日香が同じ景色を見ていていいのか、理沙は許してくれるのか分からなくなるんだ。だけど今横にいる明日香への気持ちは消えてない」


「好きって言う?」 


「バカ言うな。お前を好きになるってことは一生無いぜ」


「そう。なら私に竜二がぞっこんしてくれるように頑張る!」


「俺はお前を利用したら殺す」


「だったら今、私を利用する?」


明日香は谷間を強調して、上目遣いをしてくる。
灯台の上って言うのに恥じらいもないのか。


「しねぇーよ、それより、日の出だ」


「綺麗」


オレンジ色に光り輝く太陽は美しく、空もオレンジ色に染まっていく。


「異世界の日の出って現実とあまり変わらないのな」


「日の出って初めて見るけど、とても神秘的で美しい。私、好き」


「俺もだ。なんか心があったかくなって...え?な、なんで、涙が...っっ...」


なんで涙が出るのか分からないが、何故か心が浄化されていく感じがしてとてもあったかくて穏やかになる。


「ってかなんで明日香までも...お前は泣いていい権利なんか...なんか...ない。俺もだけど...」


俺たちはそのまま朝を迎えた。
一時間くらい日の出を満喫した後、エリシアやアリシャが待つ部屋に戻った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...