女子切腹同好会 ~2有香と女子大生四人の“切腹”編・3樹神奉寧団編~

しんいち

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樹神奉寧団編

51 樹神奉寧団編 処刑遺体の解体

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 日曜日。ここに来て3日目。祭儀部長とは、それなりに仲良く(?)なった感があります。頭を分けてあげたのが効いたのかも…。
 当然のこととして祭儀部にもオサガリの分配はあるのですが、内臓は貴重部位であって、小腸をほんの僅かしか分け前にあずかれないそうです。頭などは、余程の功績があった者にだけ、特別の恩恵をもって下げ渡されるモノ。祭儀部に頂けるコトなど、あり得ないんですって。つまり、初めて食べたのね。

 今までの斎巫きのかんなぎって、調理はどうしてた?
 自分でしてたの?!
 なるほど、じゃあ、残りはあなたたちでって事にもならなかったのか・・・。

「実は、調理を申し出ましたのも、鍋に付いた僅かでも残り物のおこぼれ頂戴できましたら…と、浅ましい気持ちもありまして…。お恥ずかしい限りで、誠に申し訳ありません。
 ですが、斎巫様の方から我らにもお分け下さるとのお言葉で、部員一同手を取り合って喜んでいたような状態でした。
 私などは直に目玉を賜る栄も受けまして、もう感激で涙が止まらず・・・」

 あいや~、そこまでですか・・・。胃袋掴んじゃったってことかな?(…ちょっと違う??)
 まあ、そんなことで、祭儀部長から色々、情報を仕入れることができました。
 ここは教団本部ということになっていますが、実質的なコトを取り仕切る“事務総局”は、山の麓の全く別のところにあるようです。
 なぜこんな機構になっているかというと、ここでは絶対秘密の儀式が行われているから、迂闊うかつに人を近づけられないのですね。
 だって、人間を供物にして、その後に解体して分配してますからね!

 オサガリ分配を受けた大多数の人は、貰ったものが人間の肉や内臓何てことは知りません。山の鹿かイノシシだと思っています。人間だなんて知られたら、それこそ一大事です。
 よって、一部の選りすぐりの人以外は、こちらには入れないのですね。

 ここで、いちばん人数が多いのは警備部。当然です。絶対秘密の場所ですから。
 次が、私と教主の世話や食事の準備と本部内の清掃なんかをする内務部。そして、オサガリの分配という仕事がある祭儀部です。
 後は総務部の本部秘書課があり、その他の部署の人は常駐では無くって必要に応じてやってくるという感じ。
 鬼頭家の親族は、こっちには居ないし、教団運営にもあまり関わっていないらしい。
 何もしなくても色々な恩恵が受けられる立場であるので、あえて面倒で危険な教団業務には関わりたがらないということみたい。
 下手に関わると、先生やもう一人みたく死んじゃうことになるかもしれないもんね・・・。

 秘密を守るために必要最低限の職員に抑えられている教団本部。当然一般人の立ち入りは絶対許さない。たとえ私の両親であっても、無理なんです。(私を金で売った両親です。来てもらいたくもないけど!)
 しかし、全く一切の人を入れない訳でもなく、教団関係者で許可があるモノは入ることが出来ます。
 外部との連絡も必要ですし、そういった連絡や入山許可をするのは本部秘書課の仕事。
 それなら、そこの人と仲良くなれれば、百合と連絡をとれるし、百合に来てもらうことも出来るかもしれない!
 なにしろ私はここから出られないし、スマホも取り上げられちゃってて、外との連絡手段が一切無いのですよ。まあ、秘密いっぱいの施設に居ますからね。仕方ないと言えばしかたないけどね。


 今日も供物の儀式がありましたよ。運ばれて来たのは私と同年くらいの子。
 う~ん、誰かに似ているような…。
 遺体の顔をマジマジとみる私の様子を見て、「お知り合いですか?」と祭儀部長が供物献上書をみせてくれました。
 名前は高井雅美? え、もしかして和美さんの妹・・・。
 それに切腹していないよ。これは単に首を斬られているだけ。
 祭儀部長の話では、切腹同好会事務局に処分された遺体の様です。お姉さんを探して危険人物認定されてしまったのね。

 切腹した人の姉妹が供物になって送られて来るっていうのは、よくあることなの?
 ああそうか、普通なら家族がいなくなれば、あらゆる手段を使って探すから・・・。
 私が切腹していたら、うちの家族もどうなっていたやら。
 いや、私を金で売ってしまうような薄情な親です。警察に連絡するだけで後は放置かも。それなら、なんともないか・・・。
 何か寂しいな。

 あれ? ちょっと待ってよ!
 これ、切腹じゃないよね。就任儀式の大量供物は切腹で無くても良かったみたいだけど、通常時の供物も切腹で無くても良いの?
 へ? 必ずしも自死でなくても構わないの?
 でも、自死の方を鬼神様が好むみたいから、なるべく切腹させるようにしているですって?

『そうだよ。自ら死んだ者の心臓は甘いんだ』

 あれま、鬼神様御自らの御意見でございます。
 ふ~ん、そっか。そうなんだ。甘いんだ。


 供物の儀式は、昨日と同じようなもの。遺体の腹部を縦に切り開き、冷たくなった臓物を掻き出して除去し、横隔膜を切り裂いて心臓を抜き取る…。そして鬼神様を体に呼び込み、手に持っている心臓を食べる。それだけのコト。
 心臓を食べ終わると鬼神様は『ありがとう。またよろしく』と私の体から出て行ってしまいました。
 鬼神様は切腹した者の心臓は甘いって言うけど、私には昨日と今日の味の差、よく分かんないなぁ・・・。


 その後はまた、祭儀部長と遺体の解体です。するのは昨日と同じ。
 で、今、私が持っているのは、和美さんの妹さんの切断頭部。なんだか、トッテモ申し訳ない気がします。

「祭儀部長さん、お願いがあるんですけど」

「はい、何なりと」

「また、これを調理して欲しいんだけど、調理する所を見学させてもらいたいな」

「え?! 構いませんが、大丈夫ですか? 超絶グロいですよ」

「まあ、そうだろうけどね。この子、知り合いの妹さんだからね。最後の最後まで見てあげたいなってね」

「そうですか。ではこちらへ」

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