女子切腹同好会 ~2有香と女子大生四人の“切腹”編・3樹神奉寧団編~

しんいち

文字の大きさ
57 / 76
樹神奉寧団編

57 樹神奉寧団編 生贄になる女子

しおりを挟む
 翌日月曜日は、百合が来てくれる日!

 ・・・だったのですが、私の出した無理な要望での混乱で、少し延期。百合が来るのは2日後になりました。

 その代わりとして、百合が私の要望の生贄を連れて来るんですって!
 生贄は、女子切腹同好会の新会員だそうです。入会して即切腹することになっちゃったかな。ゴメンね。
 2日遅れたのは、生贄になってくれる子の身辺整理の都合でしょうね。

 生贄解体は、同好会会長として百合も手伝ってくれるとのこと。
 やった~。百合との共同作業だよ~。



 水曜日夕刻。百合が生贄になってくれる子を連れて来ました。が……。
 ゲゲ、なんて子を連れて来たのよ・・・。

 私も、よ~っく知っている子。
 高校の同級生で、同じクラス。眼鏡をかけた超真面目な子。成績優秀で誰にも優しくて上品で人望があるクラス委員長、木藤きとう麻衣まい。将来の生徒会長だなんて言われる子よ。

 美紀さんもそうでしたけどね、そんな優秀な子を次々送るの、ヤバくない? 学校の偏差値も下がるよね。
 あ、その分、私みたいなオバカも処分して釣り合い取ってるのか・・・。

「新瀬さん。いや、斎巫きのかんなぎ様、お久しぶりです」

「え、ええ、お久しぶりっていうか・・・。あ、あの・・・、いいの?木藤さん」

「いいのって? あ、身を捧げることに関してのことかな?
大丈夫です。チャンと理解して来ています。今日は、よろしくお願いします」

 ええ~っと、よろしくってね…。
 “身を捧げる”ってのは、死んじゃうってことなんだよ?
 ホント、分かってる??

 とにかく、どういう経緯でこうなったか、彼女はどう理解しているのか、それを知りたい。
 それに、今まで気にもしていなかったけど、木藤きとうって・・・。
 緒方先生の旧姓は紀藤きとうで、鬼頭きとうの一族だった。じゃあ、彼女も?

 まだここは、私の自室の方。儀式殿ではありません。
 彼女を部屋の中に独り待たせて、私は百合の手を引っ張って一旦廊下へ出ます。

「どういうことよ、これ!」

「いや~、それがね・・・」

 百合の返答によりますと・・・、彼女、私が斎巫になったことを知り、私と仲の良かった百合に相談してきたのですって。「私も教団の為、世の中の為に、身を捧げたい」って…。

 彼女も想像通りの鬼頭血縁者……。
 ただ、分家である木藤家の、更に分家の分家で、既に親族扱いはされていないとか。鬼頭一族としての教団からの特典も一切なく、完全な一般の家扱いになっているみたいです。
 この為に、教団に関する正確な情報も伝わっていないみたい。
 彼女の認識としては、自分の家も本来は教団に関わりがある家であり、教団は自然災害を押さえる非常に重要な儀式を日々執り行っている団体(これ、デマなんだけど・・・)で、可能な限り自分も協力しなければならない・・・なんて感じ。
 「身を捧げたい」ってのは「命を」という意味で言ったのではなくて、「教団の仕事をしたい」って意味で言ったみたいですね、最初は・・・。

 いや、まあね。どこで繋がっているか分かんないような私よりは、遥かに血統良いんでしょう。
 私なんかが斎巫になれたくらいだから、彼女にもその可能性はあったはず。というか、彼女の方が斎巫に相応ふさわしいと言えますよ。
 何が間違ってこんなことになってしまったのか、全く訳が分かりませんけどね……。

 百合は百合で、「有香が全く関係ない状態から教主に見初められて斎巫にまでされてしまって、大変な目にあっている」なんて吹き込んだらしい。
 だから、本来なら、自分がしなければならなかったことを私が無理やりさせられてしまっているんだなんて思いこんでいる?!
 ということで、変に思い詰めてしまった彼女を百合が更に焚きつけて、生贄を承諾させてしまったということみたいです。真の意味での“身を捧げる”ことに同意したのですよ。

 いやでもね、普通それで、自分の命を差し出しますか?!
 百合ってば、どんなふうに焚きつけたの?
 彼女も彼女だよ。何でそれで生贄になるなんてのを承諾できる?
 全くもって理解不能!!

 しかし、それを言ったら私が「切腹したい」なんて願うのも、他人には絶対理解できない事でしょう。
 彼女には、自分が犠牲になりたいなんてマゾっぽい感性があるのかもしれませんしね。

 いや、それにですね、これは私がイチャモン付ける話ではありません。私が生贄を望んで、その結果来てくれたのが彼女なんです。感謝すべき話ですよ。
 ありがたく、彼女の命とその肉体、頂戴致しましょう。


 部屋に戻ると、木藤さん、首を傾げてる。

「何の話だったの?」

「あ、い、いえ。ホントに良いのかなって思って、ちょっと百合に確認をね・・・」

「あら、百合だなんて名前呼びの仲なんですね。じゃあ、私も麻衣って呼んでもらえませんか?」

 まあ、それは全然かまいませんけどね。あなた、もう死んじゃうんでしょうに。今更呼び方ナンテネ・・・。

「分かりました、麻衣さん。それでは、宜しくお願いします。
で、麻衣さんは切腹するってことで良いですか?」

「う~ん、呼び捨てでよいのにな・・・。
あ、切腹しろと仰せでしたらしますけど、実はあまり自信がなくて……。もし可能でしたら、お二人に解体して頂けるほうが嬉しいんですけど…」

 “さん”づけに不満みたいですが、そんなコト、もうどうでもよいよ。
 私たちで解体ってことは、生体解剖みたいな感じでバラせばよいということですね。
 うん、それも悪くないというか、それ最高。オッケーです。

「あと、命を捧げる前に、どうしても教えて欲しいことがあるんですけど…」

 教えて欲しいこと? なんですか?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...