女子切腹同好会

しんいち

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7 次期会長?!

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「い、いやいや、私が次の会長だなんて!
だから、私は切腹なんてしませんってば!!」

「大丈夫よ、会長になったからって、必ずしも切腹しなくてもよいのよ。歴代には、切腹せずに引退した会長も居るわ。会員も、みんながみんな切腹する訳じゃないわよ。
で、会長がするのは、これの管理」

 美紀さんが出したのは、カギ……。

「なんですか、これ?」

「これは、女子切腹同好会の活動場所である『会館』のカギ。合鍵を作るのは禁止よ。これを管理するのが会長の役目。
私が死んだ後は、これをあなたが管理して次に伝えて欲しいの。
特典として、歴代会員の切腹動画や資料が見放題!
内臓ドバドバで、すっごいよ。見たいでしょ」

「そ、それは……、興味なくはないですが…。でも、これって犯罪になりません?自殺幇助とか、死体遺棄とか、場合によっては殺人って……」

「大丈夫よ。その辺の処理は、全部事務局が完璧にこなしてくれるわ」

「事務局・・・ですか?」

「そう。私たちとは別に、事務局があるの」

「会員とは、別に?」

「そうよ。でも、その正体は不明。詮索してはいけないことになっている。
会館の普段の管理は事務局がして、会員が自由に使用できるのは土曜と日曜。他の時に使用したい場合はあらかじめ予約して、事務局の許可が必要」

 正体不明…。会員の二人以外にも、関わっている人がいる……。
 これって、どう考えたって、そっちが黒幕ですよね。スッゴク胡散臭うさんくさそうなんですけど!

「会員の責務としては、秘密の絶対厳守。それから、事務局について詮索しないこと。それを守れば事務局は私たちを守ってくれて十分な裏工作をしてくれるし、何か必要な物があれば調達もしてくれるの」

「裏工作……」

「ダメよ、詮索しちゃ。消されるわよ。切腹後の遺体の後始末もしている組織よ。人を消すくらい何でもないコトよ」

「け、消す……。それって、殺されるってことですよね……」

「さあ、どうかしらねえ。消えちゃうんですってよ」

 美紀さん、シレッと答えますが…。
 いやいや、消えちゃうって、それ、間違いなく殺されるってことですよ!
 こ、怖い……。

 そして、こんな重大な秘密を知ってしまった私。これって、もう絶対後戻りできないヤツですよね。
 「やっぱり退会します」なんて言ったら、すぐに抹殺される……。

「まあ、あんまり怖がらせてもダメよね。
大丈夫よ。秘密厳守と詮索しないだけのことなんだから。それを守れば、事務局は私たちの補佐役であり、守護者でもあるのよ。気軽に頼って良いわよ。
直で会ったことはないけど、あっちの少なくとも連絡担当者は、女性みたいだしね…」

 会員も女性限定だから事務局も皆女性なんでしょうか。いや、会員が女性だけだから、女性が連絡を担当してるだけかもしれませんよね。
 こんな秘密を知った以上、普通に開放されるはずがありません。私、トンデモナイコトに巻き込まれてしまいました。
 ですが、「内臓を見たい」という欲求を抑えきれないというのも事実です。ホント、ゴメンナサイ。私ってば、正真正銘のド変態です。

 もうこうなったら後戻りは出来ない。じゃあ、グジグジ言って不安がっていても仕様の無いコト。思いっきり楽しんだ方が勝ちです。私、基本、ポジティブなんです!
 分かりました。もう良いですよ。それならそれで、やりたいこと、存分にさせてもらいます!
 会長になれば、資料も見放題だ!なるようになれ!!

 ・・・なんてことになりました。


「あ、ちなみにね。あなたをこの会に近づけていった二人の女性も、会の関係者みたいよ。
私もあなたと同じで、あの二人に引き込まれたようなモノだからね。
その他にも市立図書館の司書の誰かとか、市役所の方とか、警察関係とか、結構あちこちに関係者がいるみたいだから、うっかり秘密を洩らすと、すぐに事務局にバレるよ。
そして、これ以上の詮索も御法度ごはっと。会の機構に関する質問は受け付けないからね」

 う…、私を会に近づけた二人の女性って…? あ、学校の保健の先生! それに市立病院の女医さんだ…。
 更に市の図書館にも? 市役所や警察? そんなに、あちこちに関係者が居る?
 ホント、うかつに秘密を口に出来ません。かなり凄い組織みたいです…。

 私は最初っから誘導されていました。たぶん、身元やなんかも詳しく調べられていて、逃げることは不可能でしょう。
 まあ、吹っ切れてしまった私には、もうどうでも良いのですが…。
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