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帰還、そして出産
66 異能力2
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祥子は、次に舞衣を見る。
「おう、面白い。思念伝達の力じゃな」
「思念伝達?」
「今風に言うと、テレパシーというやつか。口に出さなくとも、心の中で話ができるぞ。
但し、良く見知ったものじゃないと難しいだろうな」
(へー)
と頷く舞衣に、にじり寄る祥子。
舞衣は後ずさる。
(やるの?あれを…)
祥子は舞衣の肩をつかみ、唇を合わせた。
分かっていても、やはり抵抗がある。バタつく舞衣。
……祥子が離れた。
「試してみよ」
同性からのキスから解放された舞衣は微妙な表情。口を手で押さえながら頷き、慎也を見て、念じた。
…『聞こえますか?慎也さん』
慎也の心の中に、舞衣の言葉が響いた。慎也も口に出さずに念じてみる。
…『聞こえるよ。はっきりと』
二人は笑い合った。
「何じゃ、何を話しとる?」
「たぶんですね~。今日のセックス、どんな風にしようか~って! イテ!」
余計なことを言って、恵美は三度目の拳骨を食らった。
「次は沙織かの」
祥子に見つめられ、たじろぐ沙織。祥子はニヤリと笑った。
「面白い!」
そして、いきなり沙織に吸い付いた。
「ふ~!」
バタつく沙織……。
しかし、意外なことに沙織でなく、祥子の方が倒れそうになり、床に手を着いた。
「おのれ、恩知らずめ。力を引き出してやったのに、ワラワから、気を吸うとは…」
「だって、何か吸い取られそうな気がして…。思わず、逆に吸い込んだだけです!」
「其方の力は、気を吸うだけではないぞよ。いわゆる淫魔の力じゃな。淫気を発して男をその気にさせて虜にし、交合させる。交合したら最後、繋がっている間は其方に逆らえぬ。後は、その隙に気を吸いたい放題じゃな」
「わおっ、沙織~、女として最強の力じゃない~」
恵美は沙織にすり寄り、沙織の肩をポンポン叩く。
「いや~ん、そんなのいらない~っ」
「「お、お姉様が淫魔……」」
双子は両手で口を押えて、シンクロしながら軽蔑の眼差しを向ける…。
沙織は、その視線にたじろいだ。
「そ、そんな目で見ないでよ~。絶対、使いませんからね!」
「何を言う、もったいない。だが、主殿には、使うなよ」
「だから、使いませんってば!」
毎度のごとく不満顔の沙織は放っておき、祥子は杏奈と環奈の方に向きを変えた。
「次は双子じゃな。残念ながら、今のところ、あまり大きな力は見えぬの。ただ、二人同士であれば互いの通信が出来るな」
祥子ににじり寄られ、二人は後ずさる。
「こら、逃げるな」
「だ、だって。あまり大きな力が無いんじゃ…」
「やらなくても良いじゃないですか…」
そんな二人に、非情にも、舞衣から笑顔の指令が下る。
「杏奈ちゃん、環奈ちゃん。してもらいなさい!」
「舞衣様のお言いつけでは…」
「仕方ありません……」
二人は、舞衣には逆らわない。拒否を諦めて、トボトボと前へ戻る。
右の杏奈が先に捕まり、祥子に唇を奪われた。
舌を入れられて、目を白黒させている。
慎也は、ふと思った。彼女たちには、キスをするのを避けていたが…。
(女同士だから、ファーストキスには含まれないよな…)
杏奈は、ガクッと崩れ、床に手を着いた。
すぐ、環奈が引き寄せられ、また唇を奪われた。環奈もガクッと崩れた…。 が、
「イテ! 主殿、何をする」
今度は恵美ではなく、祥子が慎也の拳骨を頭に食らった。
「吸ったでしょ。どさくさに紛れて、気を…」
「吸いましたよね」
しっかりと祥子の様子を見ていた沙織も、同調した。
慎也は気を操る力を有しているので、気の流れを感じることが出来るのだ。つい今しがた、その力を得た沙織も同様。但し、気を操ると言っても、慎也は発する方、沙織は吸う方の専門であるが…。
「良いではないか。そこの女がワラワの気を吸い取ったからじゃぞ。若くて生気が溢れている二人から、少しだけ分けてもらっただけじゃ」
頭をさすり、沙織を指差しながら抗議する祥子を、慎也と沙織は白い目で見た。
「少しだけって…」
「けっこう吸ってましたよね…」
祥子は明後日を向いて、しらばっくれた。
「おう、面白い。思念伝達の力じゃな」
「思念伝達?」
「今風に言うと、テレパシーというやつか。口に出さなくとも、心の中で話ができるぞ。
但し、良く見知ったものじゃないと難しいだろうな」
(へー)
と頷く舞衣に、にじり寄る祥子。
舞衣は後ずさる。
(やるの?あれを…)
祥子は舞衣の肩をつかみ、唇を合わせた。
分かっていても、やはり抵抗がある。バタつく舞衣。
……祥子が離れた。
「試してみよ」
同性からのキスから解放された舞衣は微妙な表情。口を手で押さえながら頷き、慎也を見て、念じた。
…『聞こえますか?慎也さん』
慎也の心の中に、舞衣の言葉が響いた。慎也も口に出さずに念じてみる。
…『聞こえるよ。はっきりと』
二人は笑い合った。
「何じゃ、何を話しとる?」
「たぶんですね~。今日のセックス、どんな風にしようか~って! イテ!」
余計なことを言って、恵美は三度目の拳骨を食らった。
「次は沙織かの」
祥子に見つめられ、たじろぐ沙織。祥子はニヤリと笑った。
「面白い!」
そして、いきなり沙織に吸い付いた。
「ふ~!」
バタつく沙織……。
しかし、意外なことに沙織でなく、祥子の方が倒れそうになり、床に手を着いた。
「おのれ、恩知らずめ。力を引き出してやったのに、ワラワから、気を吸うとは…」
「だって、何か吸い取られそうな気がして…。思わず、逆に吸い込んだだけです!」
「其方の力は、気を吸うだけではないぞよ。いわゆる淫魔の力じゃな。淫気を発して男をその気にさせて虜にし、交合させる。交合したら最後、繋がっている間は其方に逆らえぬ。後は、その隙に気を吸いたい放題じゃな」
「わおっ、沙織~、女として最強の力じゃない~」
恵美は沙織にすり寄り、沙織の肩をポンポン叩く。
「いや~ん、そんなのいらない~っ」
「「お、お姉様が淫魔……」」
双子は両手で口を押えて、シンクロしながら軽蔑の眼差しを向ける…。
沙織は、その視線にたじろいだ。
「そ、そんな目で見ないでよ~。絶対、使いませんからね!」
「何を言う、もったいない。だが、主殿には、使うなよ」
「だから、使いませんってば!」
毎度のごとく不満顔の沙織は放っておき、祥子は杏奈と環奈の方に向きを変えた。
「次は双子じゃな。残念ながら、今のところ、あまり大きな力は見えぬの。ただ、二人同士であれば互いの通信が出来るな」
祥子ににじり寄られ、二人は後ずさる。
「こら、逃げるな」
「だ、だって。あまり大きな力が無いんじゃ…」
「やらなくても良いじゃないですか…」
そんな二人に、非情にも、舞衣から笑顔の指令が下る。
「杏奈ちゃん、環奈ちゃん。してもらいなさい!」
「舞衣様のお言いつけでは…」
「仕方ありません……」
二人は、舞衣には逆らわない。拒否を諦めて、トボトボと前へ戻る。
右の杏奈が先に捕まり、祥子に唇を奪われた。
舌を入れられて、目を白黒させている。
慎也は、ふと思った。彼女たちには、キスをするのを避けていたが…。
(女同士だから、ファーストキスには含まれないよな…)
杏奈は、ガクッと崩れ、床に手を着いた。
すぐ、環奈が引き寄せられ、また唇を奪われた。環奈もガクッと崩れた…。 が、
「イテ! 主殿、何をする」
今度は恵美ではなく、祥子が慎也の拳骨を頭に食らった。
「吸ったでしょ。どさくさに紛れて、気を…」
「吸いましたよね」
しっかりと祥子の様子を見ていた沙織も、同調した。
慎也は気を操る力を有しているので、気の流れを感じることが出来るのだ。つい今しがた、その力を得た沙織も同様。但し、気を操ると言っても、慎也は発する方、沙織は吸う方の専門であるが…。
「良いではないか。そこの女がワラワの気を吸い取ったからじゃぞ。若くて生気が溢れている二人から、少しだけ分けてもらっただけじゃ」
頭をさすり、沙織を指差しながら抗議する祥子を、慎也と沙織は白い目で見た。
「少しだけって…」
「けっこう吸ってましたよね…」
祥子は明後日を向いて、しらばっくれた。
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