月の影に隠れしモノは

しんいち

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襲撃

109 養老山事件 …種付け…

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 亜希子は困っていた。たせろと言われても、どうすれば良いのか。かく、殺気立って来ている鬼に提案する。

「あ、あの……。男の人は繊細ですので、気分が乗らないとたないですから、もしよろしければ、私が元気にさせますけど……」

「なんじゃと。お前ならこの役立たずマラを使えるように出来るというか? ならば、やってみよ。出来なければ、二人まとめて八つ裂きじゃ」

「は、はい。では、あの……。動けるようにしてもらえませんか?」

「よかろう。但し不審な行動をとれば、すぐに殺すぞ!」

 女鬼に見詰められ、鬼の目が再び赤く光った。と同時に、亜希子は動けるようになった。
 徹の金縛りは既に解かれ、裸に剥かれている。さっきまで徹にまたがっていたタエが、たないと癇癪かんしゃくをおこし、あちこち鋭い爪で傷をつけていた。
 亜希子は傷だらけの徹に抱き着いて、キスをする。

「安心して。大丈夫だから。私だけを見ていれば良いの。ここにいるのは私だけと思いなさい! 私が、必ずあなたを守る!私以外のことを考えちゃダメ!」

 しっかりと徹を抱き締めながら、亜希子は再び唇を重ね、舌を入れた。そして、そのままで服を脱いで裸になってゆく。



 対岸の早紀は、非常に困惑していた。
 ちょうど鬼がこっちの方角に顔を向けるような格好になっていて、全く動けない。草叢くさむらに隠れ、カメラのレンズだけそこから出して、ファインダー越しに様子をのぞき見している状態。
 吐き気を催す惨殺場面のあとに……、濃厚なラブシーンが始まってしまう……。
 亜希子はスタイル上々の美魔女。同性の早紀から見ても綺麗だ。その彼女が、裸になって男と抱き合う。
 こういうシーンに免疫のない早紀は赤くなりながら、シャッターを切っていった。

(…これは盗撮じゃないよ。記録だからね。記録!)



 亜希子は徹を下にし、男根を口にくわえた。
 チュパチュパと、いやらしく音を立ててしゃぶる。
 すぐに大きく硬くなってきたソレを、亜希子は一旦、自分の股間に挿入させた。
 上になって大きく腰を動かしながら、女鬼に手招きする。
 タエが近づく。
 亜希子は股間からヌチョッと抜き出し、徹とキスしながら場所を空けた。
 タエが嬉々として袴を脱いで徹にまたがり、自らの股間に、屹立きつりつしている徹のソレを差し込んだ。そして激しく腰を振る。
 亜希子は唇を重ねたまま徹の手を取り、自分の乳房に当てさせた。

「あ、亜希子さん……。う、出る!」

「うお。入ってくる! 子種汁が入ってくる!」

 タエは歓喜の声を上げ、体をのけぞらせた。そして少し余韻を味わい、徹から離れた。
 手で股間を押さえている。せっかくの精液を一滴もこぼさないようにしているようだ。

「よし、次は我の番じゃ」

 カルが駆け寄るように近づいてきて、徹の男根を見て怒りだす。

「何じゃ、小さくなってしまって居るではないか。早くたせよ!」

「えっ、続けてですか? 少しお待ちを……」

 亜希子は慌てて徹にまたがり、両手を取って、自分の乳房をもませた。

「もう一度よ! 根性入れてたせなさい!」

「そう言われましても、続けてなんて……」

「情けないこと言ってちゃダメ! 死にたいの!」

 亜希子は逆向きに徹にまたがり、自分の秘所を顔に押し付けてめさせる。同時に、徹の男根をくわえ込んで必死に口を上下させる…。
 何とか回復してきたソレ。亜希子は再度向きを変え、いったん自分の股間に押し込んで腰を振り、硬くさせてゆく……。
 亜希子は手招きしてから、徹のモノを自分の股間から抜き出した。
 徹と唇を重ねながら場所を空けると、すぐに袴を脱いだカルがまたがって、徹のソレを自分の股間に差し込んだ。そして気持ちよさそうに腰を振る。
 タエは相変わらず、余韻に浸りながら目を閉じて自分の股間をもんでいる……。

 その時だ! 草叢くさむらから、恵美が飛び出したのは。
 恵美は少し前に到着し、様子をうかがっていた。チャンスとみて、飛び出したのだ。
 背後から音を立てず急接近する。
 手に持っていた金剛杖は、仕込み杖。抜刀して、直刀の刀となっていた…。その刀で、徹にまたがってヨガっていたカルの背中を、右上から斜め下に斬り裂いた。

「ぎゃー!」

 叫び声と共に、カルが飛び上がった。茶色の着物ごと、背中がザックリと斬れ、血に染まってゆく。
 斬られたカルは、うめきながら転がり倒れた。
 亜希子と徹も驚き、いずりながら逃げて、カルから距離を取った。

 タエは、股を広げてだらしなく股間をもんでいた……。が、いきなりの事態に、その姿勢のまま呆然ぼうぜんだ。
 恵美は、すぐに振り返り、そのタエに斬りかかる…。
 タエも我に返った。すんでのところでかわし、近くに置いてあった刀を取って抜いた。
 恵美の再度の打ち込みを、刀で受け、押し返す。恵美はその力で押され、後ろへ二メートルほど飛び下がった。

「なんて馬鹿力…」

 鬼の力は強い。おまけに、手にしているのは肉厚のゴツイ日本刀。対して、恵美は仕込み杖を抜いた細い直刀。明らかに分が悪い。

「よくも姉者を! 脳天から真っ二つに断ち割ってくれるわ!」

 上段から、物凄ものすごい勢いで恵美に打ち込んでくる。
 恵美の刀では受けきれない。やむなく、再度後ろに飛び退く。
 そして、タエの刀が空を斬ったのと同時に踏み込んで斬りつけた。
 が、相手も只者ただものではない。器用に刀を返し、恵美の打ち込みを受け止めた。

(…このままでは、マズイ。刀身が持たない…)

 恵美のひたいに、汗がにじむ。
 タエがニヤッと笑った。

(…こいつ、本気で私を真っ二つにする気だ)

 押されながらの鍔迫つばぜり合い…。仕込みつえの刀とは言え、小さなつばは付いている。が、タエの怪力で、追いつめられる。背後に迫る崖…。はずしてけ下がることも出来ない状態となってしまった。
 もうこれ以上は無理だ。刀が折れれば、そのままザックリ押し斬られてしまう…。いや、それ以前に、この怪力、押し負けてしまう。
 タエの刀が徐々に恵美のひたいに近づく。

(もうダメだ…)

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