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襲撃
131 沙織の懺悔2
しおりを挟む「何か、意外です。舞衣さんって、虫も殺せないような人かと思ってましたから」
「そう? 私も、結構、壮絶な経験してるからね。
アイドル時代は、妬み、嫉み、嫌がらせのオンパレード。
それから仙界に神隠しに遭って、無理やりセックスさせられて」
「それは、私も…」
「ははは、そうね。 その時デカチンを無理やり入れられて」
「それ、私も今日経験しました!」
「ほんと、痛いのよね、あれ! デカい奴に限って、また無理やり入れてくるし!」
コクコクと頷く沙織。
「で、その後アソコを刃物で刺されて、その状態で無理やり犯されて裂けてしまって、内臓も出ちゃって、瀕死の状態…」
舞衣の衝撃告白にびっくりして、言葉も無く、舞衣を見つめる沙織。
「それを助けてくれたのが慎也さん。その時は、まだ治癒の力も弱くてね。短時間で完治は無理。時間までにセックスしないと、あの人が死んじゃうことになるのにお構いなしで……。
で、普通のセックスは無理だからって、そ、その……。内緒よ!」
舞衣は顔を沙織の耳に近づけ、小声で言う。
「アナルでしてもらって…」
「えっ!」
「絶対内緒よ! 私からお願いしたの。で、龍に人が頭からかじられるのを真近で見て、その返り血たっぷり浴びて……。その十日くらい後のことね、あなたたちが神隠しで来たのは」
……。
「あなたたちが帰ったあと、私と祥子さんが帰れない理由に、慎也さんが気付いたの。もう妊娠しているからだって…。龍の祝部の子を妊娠しないと帰れないのに、私は前にした儀式で妊娠してしまっていたの。で、お腹切って子宮を出して、中絶。
私、自分の赤ちゃん殺しちゃってるのよね。殺人といえば、私の方よ」
「そんな、殺人だなんて! 赤ちゃんって言っても、まだ形もない状態でしょ!」
「まあね。でも、一つの命としては同じよ」
沙織は俯いた。
「さっき、祥子さんが切腹したことあるって言っていたのは、もしかして」
「ああ、そんなこと言ってたの? それは、その時のことよ。彼女、自分でいきなりお腹切りだして、びっくりしちゃった」
「うわ~。あの人らしい……」
「私はね。自分で出来なかった。慎也さんにやってもらったの。だって、切腹よ! でも、今は後悔してる。祥子さんみたいに、自分ですべきだったって。望んだもので無かったにせよ、私の体に宿った、私の赤ちゃんだったのに」
舞衣は少し涙ぐんでいた。その舞衣を見つめる沙織。
―――
襖の外では…。
恵美が中の二人の話をこっそりと聞いていた。
そこへ慎也も心配で様子を見に来て、恵美と鉢合わせ…。
恵美は人差し指を一本、自分の顔の前に立て、「静かに」のポーズをとる。
二人で、そっと中に聞き耳を立てる。
―――
「ちょっとネタバラシしちゃうと、さっきの命の話。半分は慎也さんから聞いた話なのよね」
「えっ。そうなんだ…」
「仙界でね。祥子さんが鳥を処理するのを見てね。…で、食事前に『頂きます』って言うのは、命を頂きますってことだって」
「へ~」
―――
襖の外…。
沙織が発した感心の声を聞きながら、恵美が肘で慎也をつついて小声で囁く。
「さ~すが~」
慎也は少々照れる。が、部屋の中からは、余計な一言が…。
「あんなでも、やっぱり宮司さんよね」
(あ、あんなでもって……)
思わず、ずっこけそうになる慎也に、恵美は、手で口を押えて笑いを堪えていた。
―――
部屋の中では二人の会話が続いている。
「もうすぐ夕御飯よ。お腹減っちゃった。沙織さんは、気を吸い過ぎて入らない?」
「いやだ、そんな話も聞きました? もしかして…」
「あ、ゴメン。鼻血も聞いちゃった」
「恵美のやつ~!」
旗色が悪くなってきそうで、恵美は指で向こうへ行こうの合図。襖の外の二人は、中の舞衣と沙織に気付かれないよう、その場を離れた。
「心配になって来たけど、舞衣さんに先越されちゃった~。さすが正妻様ですね~」
実は、杏奈と環奈、それに娘たちに付きまとわれて、早く来たくてもなかなか来られなかったのだが…。
「あの~、今晩のセックス~、沙織だけってのはダメですか~?」
「えっ、それは、俺に決定権は無い…。みんなで話し合ってよ」
「了解で~す。あ、それから~、沙織は、鬼の『太っいの』無理やり突っ込まれて、アソコが痛いみたいですので~。やさしく治療してあげてくださいね~」
恵美も、余計な一言(?)を添え、ウインクして祥子・杏奈・環奈のところへ走っていった。
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