月の影に隠れしモノは

しんいち

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新たな仲間と、…別れ

159 山本姉妹1

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 九月二十九日。アマたち、それに、娘たちが旅立つ一週間前。

 あとわずかでお別れとなると、徐々に寂しい雰囲気ふんいきが漂ってくる。お別れ会ということでもないのだが、今日は美雪と早紀も呼ばれての、いつもより少し豪華な夕食。その食事を終えて少し経った時であった。
 食器も机も片付け完了し、全員、座敷にそろってくつろいでいた。
 他の皆から少し離れて坐っていた沙織と杏奈、環奈…。沙織が、その双子の妹に目配せした。

「みなさん、お話があります」

 突然、沙織が立ち上がった。続いて、杏奈、環奈も。
 三人とも、悲痛な顔をしている。

「あと、一週間で、娘たちは旅立ちます。そして、それと同時に、私たち三人も、ここを出なければなりません」

 沙織の目が赤い。涙をこらえている。杏奈と環奈はうつむき、手でギュッとスカートを握っている。

「私たちは、神子かんこの巫女としてここに来るよう、お爺様から指示されて来ました。そして、その役目を終えたら、すぐに戻ってくるように言われています」

 おそらく、そうなるであろうと思われていたこと。恵美も予告をしていた。しかし、本人の口から実際に告げられると、舞衣もショックである。
 慎也も予感はしていた。が、やはりショックを隠せない。最初は押しかけ女房的に入り込んだ恵美、沙織、杏奈、環奈。しかし、今では無くてはならない存在となっていた。その内の三人が居なくなってしまうというのである。

「嫌だ、母様! 父様と別れないで!」
「嘘よ! なんで!」
「そんなのダメよ!」

 さちうたえみが、それぞれの母親の足元にしがみついて哀願あいがんする。

「私たちも、本当は、ここに居たい! でも…。それは、許されないの…」

 沙織の両目から涙がこぼれた。

「それに、あなたたちには関係ない事でしょ。あなたたちは、旅立ってしまうのだから…」

「関係なくなんか、無いもん! 私たちの父様と母様が、別れちゃうのが嫌なの!」

 涙ぐみながら言うさち。そのさちを、沙織は坐って抱き締めた。
 うたえみは立ち上がり、それぞれ立っている杏奈、環奈にしがみついて、胸に顔を押し付けている。杏奈と環奈はうつむいたまま何も言わずに、それぞれの娘を抱く。

「ごめんねさち。私だって…。別れたくないのに…」

 坐ってさちを抱く沙織の目からは、涙が止まらない。誰も、何も言えない。
 静まり返った中、娘たちが鼻をすする音のみがする…。

「あ、あの!」

 沙織が、さちを抱いたまま、真っ直ぐ慎也の方に向きを変えた。

「また、帰ってきても良いですよね。ここに!」

 慎也も、真っ直ぐ沙織を見た。

「役目を終えたら戻れという指示ですので、一旦は戻ります。でも、その後の事は、まだ聞いていません。お爺様や両親とキチンと話して、また帰ってきます! また帰ってきても良いですよね、私たち!」

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