159 / 167
新たな仲間と、…別れ
159 山本姉妹1
しおりを挟む
九月二十九日。アマたち、それに、娘たちが旅立つ一週間前。
あと僅かでお別れとなると、徐々に寂しい雰囲気が漂ってくる。お別れ会ということでもないのだが、今日は美雪と早紀も呼ばれての、いつもより少し豪華な夕食。その食事を終えて少し経った時であった。
食器も机も片付け完了し、全員、座敷に揃って寛いでいた。
他の皆から少し離れて坐っていた沙織と杏奈、環奈…。沙織が、その双子の妹に目配せした。
「みなさん、お話があります」
突然、沙織が立ち上がった。続いて、杏奈、環奈も。
三人とも、悲痛な顔をしている。
「あと、一週間で、娘たちは旅立ちます。そして、それと同時に、私たち三人も、ここを出なければなりません」
沙織の目が赤い。涙をこらえている。杏奈と環奈は俯き、手でギュッとスカートを握っている。
「私たちは、神子の巫女としてここに来るよう、お爺様から指示されて来ました。そして、その役目を終えたら、すぐに戻ってくるように言われています」
おそらく、そうなるであろうと思われていたこと。恵美も予告をしていた。しかし、本人の口から実際に告げられると、舞衣もショックである。
慎也も予感はしていた。が、やはりショックを隠せない。最初は押しかけ女房的に入り込んだ恵美、沙織、杏奈、環奈。しかし、今では無くてはならない存在となっていた。その内の三人が居なくなってしまうというのである。
「嫌だ、母様! 父様と別れないで!」
「嘘よ! なんで!」
「そんなのダメよ!」
幸、歌、咲が、それぞれの母親の足元にしがみついて哀願する。
「私たちも、本当は、ここに居たい! でも…。それは、許されないの…」
沙織の両目から涙が零れた。
「それに、あなたたちには関係ない事でしょ。あなたたちは、旅立ってしまうのだから…」
「関係なくなんか、無いもん! 私たちの父様と母様が、別れちゃうのが嫌なの!」
涙ぐみながら言う幸。その幸を、沙織は坐って抱き締めた。
歌と咲は立ち上がり、それぞれ立っている杏奈、環奈にしがみついて、胸に顔を押し付けている。杏奈と環奈は俯いたまま何も言わずに、それぞれの娘を抱く。
「ごめんね幸。私だって…。別れたくないのに…」
坐って幸を抱く沙織の目からは、涙が止まらない。誰も、何も言えない。
静まり返った中、娘たちが鼻を啜る音のみがする…。
「あ、あの!」
沙織が、幸を抱いたまま、真っ直ぐ慎也の方に向きを変えた。
「また、帰ってきても良いですよね。ここに!」
慎也も、真っ直ぐ沙織を見た。
「役目を終えたら戻れという指示ですので、一旦は戻ります。でも、その後の事は、まだ聞いていません。お爺様や両親とキチンと話して、また帰ってきます! また帰ってきても良いですよね、私たち!」
あと僅かでお別れとなると、徐々に寂しい雰囲気が漂ってくる。お別れ会ということでもないのだが、今日は美雪と早紀も呼ばれての、いつもより少し豪華な夕食。その食事を終えて少し経った時であった。
食器も机も片付け完了し、全員、座敷に揃って寛いでいた。
他の皆から少し離れて坐っていた沙織と杏奈、環奈…。沙織が、その双子の妹に目配せした。
「みなさん、お話があります」
突然、沙織が立ち上がった。続いて、杏奈、環奈も。
三人とも、悲痛な顔をしている。
「あと、一週間で、娘たちは旅立ちます。そして、それと同時に、私たち三人も、ここを出なければなりません」
沙織の目が赤い。涙をこらえている。杏奈と環奈は俯き、手でギュッとスカートを握っている。
「私たちは、神子の巫女としてここに来るよう、お爺様から指示されて来ました。そして、その役目を終えたら、すぐに戻ってくるように言われています」
おそらく、そうなるであろうと思われていたこと。恵美も予告をしていた。しかし、本人の口から実際に告げられると、舞衣もショックである。
慎也も予感はしていた。が、やはりショックを隠せない。最初は押しかけ女房的に入り込んだ恵美、沙織、杏奈、環奈。しかし、今では無くてはならない存在となっていた。その内の三人が居なくなってしまうというのである。
「嫌だ、母様! 父様と別れないで!」
「嘘よ! なんで!」
「そんなのダメよ!」
幸、歌、咲が、それぞれの母親の足元にしがみついて哀願する。
「私たちも、本当は、ここに居たい! でも…。それは、許されないの…」
沙織の両目から涙が零れた。
「それに、あなたたちには関係ない事でしょ。あなたたちは、旅立ってしまうのだから…」
「関係なくなんか、無いもん! 私たちの父様と母様が、別れちゃうのが嫌なの!」
涙ぐみながら言う幸。その幸を、沙織は坐って抱き締めた。
歌と咲は立ち上がり、それぞれ立っている杏奈、環奈にしがみついて、胸に顔を押し付けている。杏奈と環奈は俯いたまま何も言わずに、それぞれの娘を抱く。
「ごめんね幸。私だって…。別れたくないのに…」
坐って幸を抱く沙織の目からは、涙が止まらない。誰も、何も言えない。
静まり返った中、娘たちが鼻を啜る音のみがする…。
「あ、あの!」
沙織が、幸を抱いたまま、真っ直ぐ慎也の方に向きを変えた。
「また、帰ってきても良いですよね。ここに!」
慎也も、真っ直ぐ沙織を見た。
「役目を終えたら戻れという指示ですので、一旦は戻ります。でも、その後の事は、まだ聞いていません。お爺様や両親とキチンと話して、また帰ってきます! また帰ってきても良いですよね、私たち!」
1
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる