7 / 45
残虐非道なる異世界生活
7 麗しき戦闘狂
しおりを挟む
さて、それで、ですね。その今日のお仕事なんですが…。
基本的に私ってば解剖実験体ですが、不死を生かしてということで、その他にも求められる仕事があります。
最近は、こっちの方が多くなってきているかも。実は、こちらの方は、少なくない謝礼金が支払われているみたいなんですね。
…あ、謝礼金。当然、私の懐には何にも入りませんよ、奴隷の身分ですから。ムゴイですよね。
これからする私の仕事。侯爵家ご令嬢のお相手です。
楽そうな仕事じゃないかって?
冗談じゃありませんよ!
この御令嬢、お名前をレンカ・ストンヒルといい、若くて目鼻立ちも整った超絶的美人さんですが、ハッキリ言って狂人です。
『麗しき戦闘狂』と呼ばれているような最凶女。
そんな人の剣や、槍の相手をするのです。
なんで侯爵令嬢がそんなことってね、この王国、国内の治安は安定していますが、敵対国があるのですね。
戦争になれば、領地を持つ貴族(…子爵以上)は自兵を率いて戦わなければならない。
お嬢様は武門で有名な侯爵家の一人娘。この国では女性であっても爵位を受け継げます。次期侯爵様な訳です。
で、お家柄、その戦うことにとても熱心な方ということみたいです。
しかし、お相手ったってですね。私、剣や槍なんて、経験ないですからね。事前にヘレーナから少し教えてもらいましたが、完全素人です。
おまけに、お嬢様を傷つけてはいけないというコトで、私に与えられるのは模擬刀や、刃の無い槍。対するお嬢様の使うのは本物の武器。
これじゃあ、完全にやられ放題ですよ。
つまるところ、どうすれば効率的に敵兵を殺せるかってことの実験台な訳ですね。
惨殺したって生き返りますからね。罪悪感なく、やりたい放題できるってことです。
ひっどい・・・。
さて、今、その美しき御令嬢と向かい合っています。ヘレーナより少し若い?26歳か…。ホントに綺麗なヒトですよ。
場所は御屋敷の庭、屋外です。
外でするのは、血で汚れるからですね。私から出る血で…。
私が持たされているのは槍? 勿論、刃は無いから、タダの棒の様なモノ…。
で、お嬢様は剣。それも、真剣。
ヘレーナに教えられました。普通なら、槍と剣の場合は槍が優位。突いて相手を間合いに入れなければ良いのです。
「さあ、遠慮なく来なさい」
美人お嬢様の、美声でのお言葉です。遠慮なんかしませんよ~。
とにかく、必死で突きまくり!
でも、相手はプロ。あっと言う間に剣でいなされ、間合いにスッと入られてしまう。
そして、グサッと胸を一突き…。
「ゲフッ、ぐ、ぐうう……」
鋭い剣は深々と突き刺さり、確実に私の心臓を貫いています。
すっと抜かれると、勢いよく血が噴き出す。口からもゴフッと血を吐きます。
普通、これはアウト。おしまい。もう戦えない。
でも、今日は意識して自己治癒を止めなくてよいと言われているのです。だから、すぐに傷は塞がってゆく…。
服は血みどろでも、あっと言う間に完全復活。
「おおお~! あなたホントに凄いわね。じゃあ、2回戦よ」
と、再度…。やはり敵うはずなく、槍を跳ね飛ばされ、今度は左肩から斜めにバッサリ袈裟懸け…。
3回戦はお腹を横へザックリ斬られ、グチュグチュ腸がはみ出る。その上、仰向けに押し倒され、止めに胸をズブズブっと一突き…。
何度も何度も一方的にヤラレ続ける。武器を槍から剣と盾に変えさせてもらっても同じこと。
少しくらいは仕返ししたいけど、無理です~!!
結局、なんやかんやで13回も「殺され」ました。
いや、体の方は治りますけどね。着ている服は真っ赤に染まり、ズッタズタのボッロボロ…。
トンデモナイ状態ですよ。
このままでは馬車を汚してしまう為、その場で新しい服に着替えさせられ、馬車に乗せられました。
「今日は、良い体験ができたわ。アリガトウ。またよろしくね」
なんて、血塗れ戦闘狂令嬢(…というか、殺人狂令嬢だ!)は、ニッコリ最高の笑顔で送り出してくれます。が、まただなんて、冗談じゃないですよ~。
まあ、私に拒否権なんてありません。近いうちに再度呼ばれそうです。
「お疲れさまでした。たいへんでしたね」
帰りの馬車の中、ヘレーナが濡らしたタオルで私の顔をぬぐってくれます。
手足の血は先に拭きましたが、顔にも付いていたんですね。
いや、それよりも、ですね。「殺され」ても私は「生き返り」ますが、それからある程度時間が経つと尋常じゃない疲労感が襲ってくるのです。その時間が来たようで…。
この疲労感から回復するには、何かを食べないといけません。エネルギー不足による疲労ということなんですね。
十分に心得てくれているヘレーナは、大きいサンドイッチを私の口へ。私はムシャムシャガツガツ、フードファイターの如く次々貪り食べます。
しかし、何と言っても今日は13回分…。どんだけ食べても足りないよ~。それに、ヘレーナがボソッと一言。
「明日も、あのお嬢様に呼ばれていますので、よろしくね」
ああ、やっぱりまた…。
でも、明日って、そんな続けて・・・。
基本的に私ってば解剖実験体ですが、不死を生かしてということで、その他にも求められる仕事があります。
最近は、こっちの方が多くなってきているかも。実は、こちらの方は、少なくない謝礼金が支払われているみたいなんですね。
…あ、謝礼金。当然、私の懐には何にも入りませんよ、奴隷の身分ですから。ムゴイですよね。
これからする私の仕事。侯爵家ご令嬢のお相手です。
楽そうな仕事じゃないかって?
冗談じゃありませんよ!
この御令嬢、お名前をレンカ・ストンヒルといい、若くて目鼻立ちも整った超絶的美人さんですが、ハッキリ言って狂人です。
『麗しき戦闘狂』と呼ばれているような最凶女。
そんな人の剣や、槍の相手をするのです。
なんで侯爵令嬢がそんなことってね、この王国、国内の治安は安定していますが、敵対国があるのですね。
戦争になれば、領地を持つ貴族(…子爵以上)は自兵を率いて戦わなければならない。
お嬢様は武門で有名な侯爵家の一人娘。この国では女性であっても爵位を受け継げます。次期侯爵様な訳です。
で、お家柄、その戦うことにとても熱心な方ということみたいです。
しかし、お相手ったってですね。私、剣や槍なんて、経験ないですからね。事前にヘレーナから少し教えてもらいましたが、完全素人です。
おまけに、お嬢様を傷つけてはいけないというコトで、私に与えられるのは模擬刀や、刃の無い槍。対するお嬢様の使うのは本物の武器。
これじゃあ、完全にやられ放題ですよ。
つまるところ、どうすれば効率的に敵兵を殺せるかってことの実験台な訳ですね。
惨殺したって生き返りますからね。罪悪感なく、やりたい放題できるってことです。
ひっどい・・・。
さて、今、その美しき御令嬢と向かい合っています。ヘレーナより少し若い?26歳か…。ホントに綺麗なヒトですよ。
場所は御屋敷の庭、屋外です。
外でするのは、血で汚れるからですね。私から出る血で…。
私が持たされているのは槍? 勿論、刃は無いから、タダの棒の様なモノ…。
で、お嬢様は剣。それも、真剣。
ヘレーナに教えられました。普通なら、槍と剣の場合は槍が優位。突いて相手を間合いに入れなければ良いのです。
「さあ、遠慮なく来なさい」
美人お嬢様の、美声でのお言葉です。遠慮なんかしませんよ~。
とにかく、必死で突きまくり!
でも、相手はプロ。あっと言う間に剣でいなされ、間合いにスッと入られてしまう。
そして、グサッと胸を一突き…。
「ゲフッ、ぐ、ぐうう……」
鋭い剣は深々と突き刺さり、確実に私の心臓を貫いています。
すっと抜かれると、勢いよく血が噴き出す。口からもゴフッと血を吐きます。
普通、これはアウト。おしまい。もう戦えない。
でも、今日は意識して自己治癒を止めなくてよいと言われているのです。だから、すぐに傷は塞がってゆく…。
服は血みどろでも、あっと言う間に完全復活。
「おおお~! あなたホントに凄いわね。じゃあ、2回戦よ」
と、再度…。やはり敵うはずなく、槍を跳ね飛ばされ、今度は左肩から斜めにバッサリ袈裟懸け…。
3回戦はお腹を横へザックリ斬られ、グチュグチュ腸がはみ出る。その上、仰向けに押し倒され、止めに胸をズブズブっと一突き…。
何度も何度も一方的にヤラレ続ける。武器を槍から剣と盾に変えさせてもらっても同じこと。
少しくらいは仕返ししたいけど、無理です~!!
結局、なんやかんやで13回も「殺され」ました。
いや、体の方は治りますけどね。着ている服は真っ赤に染まり、ズッタズタのボッロボロ…。
トンデモナイ状態ですよ。
このままでは馬車を汚してしまう為、その場で新しい服に着替えさせられ、馬車に乗せられました。
「今日は、良い体験ができたわ。アリガトウ。またよろしくね」
なんて、血塗れ戦闘狂令嬢(…というか、殺人狂令嬢だ!)は、ニッコリ最高の笑顔で送り出してくれます。が、まただなんて、冗談じゃないですよ~。
まあ、私に拒否権なんてありません。近いうちに再度呼ばれそうです。
「お疲れさまでした。たいへんでしたね」
帰りの馬車の中、ヘレーナが濡らしたタオルで私の顔をぬぐってくれます。
手足の血は先に拭きましたが、顔にも付いていたんですね。
いや、それよりも、ですね。「殺され」ても私は「生き返り」ますが、それからある程度時間が経つと尋常じゃない疲労感が襲ってくるのです。その時間が来たようで…。
この疲労感から回復するには、何かを食べないといけません。エネルギー不足による疲労ということなんですね。
十分に心得てくれているヘレーナは、大きいサンドイッチを私の口へ。私はムシャムシャガツガツ、フードファイターの如く次々貪り食べます。
しかし、何と言っても今日は13回分…。どんだけ食べても足りないよ~。それに、ヘレーナがボソッと一言。
「明日も、あのお嬢様に呼ばれていますので、よろしくね」
ああ、やっぱりまた…。
でも、明日って、そんな続けて・・・。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる