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『元の世界』へ戻る
39 女王の苦悩
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さあ、こうなりますと、次は反撃・報復ですよ。やられた分はしっかりやり返さなければなりません。こっちに非は一切なく、完全な向こうからの侵略行為でしたからね。
報復の方法? それも良いのがあるんですよ…。
異世界転移の儀式。この際、通常は、転移者の着ていた衣服を剥ぎ取って焼却処分、そして体も聖水で洗い清められます。これは、異世界からのウイルスを持ち込まないためのものでした。
でも、私たち3人は今回、戻ってきてこれをやっていなかったのですよ。バタバタでしたからね。
結果、向こうで流行していた、あの凶悪な殺人ウイルスを持ちこんでしまいました・・・。
いや、もう、焦りまくりましたよ。こっちで今流行っているのと比べて、危険度はケタ違い。空気感染しますからね。こんなのまでもが流行り始めたら、この国は本当に終わり。アウトです!
大慌ての大慌て。王城外へは漏れ出ないように必死で抑え込みました。
が、全員の治療はしていません。ある、意図をもって…。
感染者を完全隔離しながら死なない程度に引き継がせ、ウイルスを保持するようにしています。
そうです。報復に使うつもりなんですよ。極悪な私の発案です。
だってね。
なんてったって、同じことを向こうからやってきたのですよ。文句言われる筋合いはありませんよね。
たとえ、こっちのウイルスの方が格段に凶悪だったとしても。
(もともと兵器として開発されたものだからね・・・)
でも、チェリル女王にこの計画を話すと、頷いてくれませんでした。
「非人道的だ」なんて言って・・・。
確かに、非人道的ではあります。これは間違いありません。
しかし、やられたら、その分の反撃はしておかなければ、敵はつけあがります。それは、将来的に国民を危険にさらすことにもなるのです。
それに、何より、一方的に国土を蹂躙され、財産や家族親族の命を奪われた国民は絶対納得しませんよ。
ヘレーナも、そのことを女王に説いてくれます。彼女も私の計画に賛成なのです。
それでも女王は嫌がります。
なんでよ?
博愛主義者??だから?
非人道的だなんて、本心??
嘘よ~!!
チェリル女王、そんな聖人じゃないよね。自分の身が一番のワガママジコチュウさんですよ。
ヘレーナが略奪集団を全員首チョンパの皆殺しにしたときだって、私と一緒に一部始終を眺めていながら、咎めもせずに平然としてたんだから!
今回だって同じこと。何も、女王自ら報復を実行せよとは言わないよ。「任せるわ」と言うだけで良い。あとは部下がするんだから。
なのに、何で不許可なのよ!!
これは、明らかにオカシイ・・・。
チェリル様に忠実なはずのヘレーナも、私の不審に同意です。
彼女は口ではチェリル様を「素晴らしい御方」としか言いませんが、実際のところ褒められない面も多々あることを十分心得ているのです。
二人掛かりで厳しく問い詰めてみると、女王は渋々白状しました。
彼女は、他人の自分に対する悪意に敏感です。
大勢の人に恨まれれば、その悪意が襲ってくる。たとえそれが、遠く離れた敵国民であってもです。
悪意にうなされて発狂しそうなるのだそうです。
これを聞いて、やっと私もヘレーナも、彼女の思考が理解出来たのでした。
だから彼女は、あんなに王位に就くのを嫌がってたんです……。
報復の方法? それも良いのがあるんですよ…。
異世界転移の儀式。この際、通常は、転移者の着ていた衣服を剥ぎ取って焼却処分、そして体も聖水で洗い清められます。これは、異世界からのウイルスを持ち込まないためのものでした。
でも、私たち3人は今回、戻ってきてこれをやっていなかったのですよ。バタバタでしたからね。
結果、向こうで流行していた、あの凶悪な殺人ウイルスを持ちこんでしまいました・・・。
いや、もう、焦りまくりましたよ。こっちで今流行っているのと比べて、危険度はケタ違い。空気感染しますからね。こんなのまでもが流行り始めたら、この国は本当に終わり。アウトです!
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が、全員の治療はしていません。ある、意図をもって…。
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そうです。報復に使うつもりなんですよ。極悪な私の発案です。
だってね。
なんてったって、同じことを向こうからやってきたのですよ。文句言われる筋合いはありませんよね。
たとえ、こっちのウイルスの方が格段に凶悪だったとしても。
(もともと兵器として開発されたものだからね・・・)
でも、チェリル女王にこの計画を話すと、頷いてくれませんでした。
「非人道的だ」なんて言って・・・。
確かに、非人道的ではあります。これは間違いありません。
しかし、やられたら、その分の反撃はしておかなければ、敵はつけあがります。それは、将来的に国民を危険にさらすことにもなるのです。
それに、何より、一方的に国土を蹂躙され、財産や家族親族の命を奪われた国民は絶対納得しませんよ。
ヘレーナも、そのことを女王に説いてくれます。彼女も私の計画に賛成なのです。
それでも女王は嫌がります。
なんでよ?
博愛主義者??だから?
非人道的だなんて、本心??
嘘よ~!!
チェリル女王、そんな聖人じゃないよね。自分の身が一番のワガママジコチュウさんですよ。
ヘレーナが略奪集団を全員首チョンパの皆殺しにしたときだって、私と一緒に一部始終を眺めていながら、咎めもせずに平然としてたんだから!
今回だって同じこと。何も、女王自ら報復を実行せよとは言わないよ。「任せるわ」と言うだけで良い。あとは部下がするんだから。
なのに、何で不許可なのよ!!
これは、明らかにオカシイ・・・。
チェリル様に忠実なはずのヘレーナも、私の不審に同意です。
彼女は口ではチェリル様を「素晴らしい御方」としか言いませんが、実際のところ褒められない面も多々あることを十分心得ているのです。
二人掛かりで厳しく問い詰めてみると、女王は渋々白状しました。
彼女は、他人の自分に対する悪意に敏感です。
大勢の人に恨まれれば、その悪意が襲ってくる。たとえそれが、遠く離れた敵国民であってもです。
悪意にうなされて発狂しそうなるのだそうです。
これを聞いて、やっと私もヘレーナも、彼女の思考が理解出来たのでした。
だから彼女は、あんなに王位に就くのを嫌がってたんです……。
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