この世界で生きていく

Emi 松原

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三つの種族の歴史物語~人族に伝わる絵本より~

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                  三つの種族の歴史物語~人族に伝わる絵本より~


 むかし、むかし。このギア王国には、人族、龍人族、精霊族の三つの種族が住んでいました。

 異世界人から知識を得て、知能が高い人族。

 龍の加護を受け、龍と共に生き、身体能力が高い龍人族。

 自然の精霊の加護を受け、自然の魔法が使える精霊族。

 この三つの種族は、ギア王国で仲良く楽しく、お互い助け合って暮らしていました。

 そんな時、大変な出来事が起きたのです。

 人族の知能、龍人族の身体能力、精霊族の魔力を持った、破壊の限りを尽くす、後に破壊神と呼ばれる者が現れたのです。

 その破壊神は、ギア王国で破壊の限りを尽くし、大人も、子供も関係なく、攻撃を繰り返し、沢山の命が失われました。

 人族は、その知能で指揮をとり、創り上げたロボットを使い。

 龍人族は、龍に乗り、その身体能力で、武器を使い。

 精霊族は、その魔力で、自然の治癒魔法を使い。

 それぞれの力を生かして、力の限り戦いました。

 しかし、全く歯が立たず、破壊神は、つぎつぎと、破壊を、続けました。

 そこで、破壊神に対抗するために、三つの種族は協力して、一つの宝玉を創り上げました。

 全知全能と言われる、この宝玉を使った戦いは、多くの犠牲を出しながら、三日三晩続き、ついに、三つの種族は、協力して、破壊神を封印することに、成功したのです。


 しかし、次の争いが待っていました。


 この全知全能の宝玉を、どの種族の、誰が持つかです。

 この宝玉は、上手く使えば、全ての、生きとし生けるものが、幸せになるでしょう。ですが、悪い方向に使えば、全てを、支配できてしまうものでもあるのです。

 この宝玉は、一番知能が高い、人族が持つべきでした。

 龍人族は、仲間意識が強いが故、好戦的です。いつ戦争を起こすかわかりません。

 精霊族は、他の種族に感心が薄く、こちらも、いつ、心ない戦争を起こすか、わかりません。

 だからこそ、知能が高く、周りを見ることができる、人族が、持つべきだったのです。

  それなのに、他の二つの種族は、人族が宝玉を持つことを、受け入れられませんでした。

  人族はその頃、機械化が進み、国も発展していました。

  そんな光景に、二つの種族は、嫉妬したのでしょう。

 そして、人族と、二つの種族は、決別したのです。

 その後、龍人族と、精霊族の、二つの種族は、人族の言葉を無視して、勝手に、宝玉を封印し、ギア王国から遠く離れた、山を越え、森を越えた場所に、新たな国を、創りました。

 それが、ヴィーヴル王国です。

 封印したとはいえ、ヴィーヴル王国は、全知全能の宝玉を持っている、危険な国なのです。


  そして、まだ、課題が残っています。


 あの破壊神の封印は、永遠ではありません。

 いつか、封印は弱まり、放っておくと、封印が解けてしまうのです。

 だからその時は、またあの宝玉を使い、破壊神を、封印しなければならないのです。

 人族は、共に戦うことを望んでいますが、二つの種族は、そうではないでしょう。


 世界の平和を、人族は、いつでも、祈っているのです。
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