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王国孤児院にて
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しおりを挟む「それでも、ロキは、王国孤児院にいるだけあって、自分で考えることが多いわ。私、このままなら、ロキも、王国の中枢で、働ける試験に、受かると思うの」
「えぇ、無茶言わないでよ」
慌てて首を振った僕に向けて、ルカが、また無言で笑う。
「ロキ、無茶ではありません。そもそもここ、王国孤児院とは、国の中枢に携わっていた人物が、何かの理由で、子供を手放さなくてはいけなくなった時に使う、国一番の孤児院です。遺伝子的に見ても、可能なことです」
「そんなこと言われてもなぁ……」
「でも、ロキも、もうすぐ十六歳。どの職につくか、決めないといけないでしょ?」
「うん……そうだね」
僕は、軽くため息をついた。
このギア王国では、十六歳まで、サポートロボットが、メインコントロールと連携しながら、パートナーに合わせて、勉強のスケジュールを組んでくれる。その後、適切な職について、生活していくことが、ほとんどだ。
ルカは、かなりの例外であり、又、少し特殊と言われているのが、まさにここ、王国孤児院の子供達である。個人に合わせた勉強の他に、国から言い渡された勉強も行う為、国に直接関係のある、仕事につけることが多いのだ。
「ルカは、もう、なんの職につくか、決まったのかい?」
僕の言葉に、ルカは静かに首を振った。
「一番やりたいと思ったのはね、王国図書館で働くことなの」
「え……図書館?」
「そう。図書館。私、いつも、王国図書館に通っていたでしょ? それで思ったの」
僕は驚いて、何も言えなくなった。
だって、図書館では、働く人間は必要ないのだ。本の案内も、貸し出しも、時には閲覧制限がある本の許可も、全て、図書館にいるロボットと、サポートロボットで行えるのだから。
「そんなに驚くことないのに。確かに、必要な業務は、全てロボットで行えるものだと思うし、それに、不便も不満も、感じたことはないわ。でもね、何かが物足りないの。例えば、この本を読むとするでしょ?」
ルカはそう言うと、肩から下げている鞄から、一冊の本を取り出した。どうやら、ヴィーヴル王国について、書かれた本のようだ。
「ロボットは、この本の関連から、お勧めの本や、興味のある本を、紹介してくれるわ。でもね、私はもっと、広い視点で、本を、人に、勧めたいの」
「広い視点で……?」
「そう。この本を読んだ後の、話を聞いて、もっと、世界を、広げていきたいというか。そう。感覚や、感情を話して、一緒に味わって、それで、次の本を、薦めてみたいの。そうしたら、思いもしなかった本と、出会えるかもしれないでしょう?」
ルカが、とても楽しそうに笑った。
凄いな、ルカは。僕は、そんなこと、考えたこともなかった。
「お言葉ですが、ルカ。それは、王国からの許可が下りないかと。なぜなら……」
「言わなくても、分かっているわ。不必要な情報は、一切不要、でしょ?」
チィの言葉を遮って、ルカが、悲しそうに、笑って言う。
その笑顔を見ると、何故か、僕の胸も、締め付けられたような感覚になった。
「ロキ。悲しんでいますね。ルカの悲しみに、共感したのでしょう。共感とは、相手のことを想える、素晴らしい行為です。ですが、それに引きずられて、理性を失ってはいけません」
「うん……分かってる」
チィに向かって、僕は、笑顔をつくって頷いた。
僕はいつも、理性的になることを、目標とされている。人の感情に、敏感なところがあるらしいからだ。
「私は、そんな優しいロキが、好きだけれどね」
優しく笑うルカ。
ルカは、本当にコロコロと表情が変わって、面白い。
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