この世界で生きていく

Emi 松原

文字の大きさ
27 / 83
魔法と、年老いた龍との出会い

1-1

しおりを挟む


 魔法と、老いた龍との出会い  



「ふぁ……」
 窓から差し込む朝日で、僕は、目を覚ました。
「ロキ、おはよう。私も、さっき起きたの。朝日が、とても気持ちいいわ」
 ルカが、窓辺に立って、うーんっと、体を伸ばしている。
「ロキ、おはようございます。環境が変わりましたが、睡眠に問題はありませんでした。今日の予定は、ノルさんの酒場で、朝食時に、ライキさんと、エミリィさんと合流し、ルカと一緒に、魔法の勉強です」
「うん……そうだね」
 チィの言葉に、返事をしながら、僕も、ルカのように、大きく体を伸ばしてみた。
 窓から差し込む、あたたかい光。あれ? いつもギア王国では、窓の外は、どうなっていたっけ。
 そんなことを考えながら、僕とルカは、朝の支度をして、ノルさんの酒場へと向かう。

「やぁ、おはよう。昨日は、よく眠れたかい?」
 酒場の扉を開くと、ノルさんが、けだるそうだけれど、笑顔で迎えてくれた。
 ライキさんと、エミリィさんは、もう酒場にいて、エミリィさんは、昨日以上に、不機嫌そうに、サラダのようなものを、口に運んでいる。
「はい。ゆっくり眠れました。それにしても、皆さん、早いんですね。もしかして、待たせてしまいましたか?」
 僕と一緒に、カウンター席に座りながら、ルカが聞いた。
「いや。龍人族は、龍の世話があるからな。朝が、早いんだ。ノルさんの店も、朝早くから、夜中までやっているしな。エミリィが、朝に弱いだけだ」
「自然と共に、生きていると言われている、精霊族も、早寝早起きのはずなんだけれどなぁ。俺と、エミリィは、なんにも考えてないからな」
 ライキさんの言葉に、ノルさんが笑う。手には、昨日と同じ、葉巻を持っている。
「さて、朝ご飯も、適当に作っちゃって良いかな?」
 ノルさんの言葉に、僕とルカは、同時に頷いた。
 不思議だ。朝食を待っているだけなのに、何故か、心がワクワクする。
 さっきも、少し考えたけれど、ギア王国で、僕はこの時間、何を考えていただろうか。
 起きたときに、チィが、予定を教えてくれるのは、いつも通りだったけれど……。
 考えていたら、ノルさんが、目の前に、また、沢山の料理を置いてくれる。
「朝だから、食べやすいものを考えたけれど、足りなかったら、遠慮なく言ってくれな」
 ノルさんが、僕とルカに、笑って言ってくれた。
 僕とルカは、昨日の夜と同じように、その綺麗な料理に目を奪われ、二人で、顔を見合わせて、少し笑うと、同時に食べ始める。
「わぁ、このパン、とても甘くて美味しいです!!」
 ルカが、嬉しそうにあげた声に、僕は、驚いて、ルカの方を見た。
 だって、昨日、自分でも言っていたように、ルカは、甘いものが苦手だ。昨日は、ギア王国にはない、果物だったから、僕と同じように、苦手なものも、美味しく感じたのかもしれないけれど、今日は、パンだ。これは、苦手に感じると思うのだけれど……。
 そんな僕に、ルカが、笑いかける。
「あのね、このパン、いつも、ギア王国で食べていた甘みと、全く違う甘さを感じるの」
「お、流石、感覚が鋭いな。このパンに入っているのは、ヴィーヴル王国の側にある、森でしかとれない、花の蜜を使っているんだ。この花の蜜は美味しいから、他の動物も集まってくる。だから、多くの量は出回らないんだよ」
 ノルさんの説明に、ルカが、感心したように頷いた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~

白黒 キリン
ファンタジー
前世で重度の病人だった少年が、普人と変わらないくらい貧弱な身体に生まれた竜人族の少年ヤーウェルトとして転生する。ひたすらにマイペースに前世で諦めていたささやかな幸せを噛み締め、面倒くさい奴に絡まれたら鋼の精神力と図太い神経と植物の力を借りて圧倒し、面倒事に巻き込まれたら頼れる家族や仲間と植物の力を借りて撃破して、時に周囲を振り回しながら生きていく。 タイトルロゴは美風慶伍 様作で副題無し版です。 小説家になろうでも公開しています。 https://ncode.syosetu.com/n5715cb/ カクヨムでも公開してします。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887026500 ●現状あれこれ ・2021/02/21 完結 ・2020/12/16 累計1000000ポイント達成 ・2020/12/15 300話達成 ・2020/10/05 お気に入り700達成 ・2020/09/02 累計ポイント900000達成 ・2020/04/26 累計ポイント800000達成 ・2019/11/16 累計ポイント700000達成 ・2019/10/12 200話達成 ・2019/08/25 お気に入り登録者数600達成 ・2019/06/08 累計ポイント600000達成 ・2019/04/20 累計ポイント550000達成 ・2019/02/14 累計ポイント500000達成 ・2019/02/04 ブックマーク500達成

処理中です...