81 / 83
この世界で生きていく
1-2
しおりを挟むルカと、スティブ様は、親子の対面を果たした。
しばらくは、ぎこちなくて、ルカは、ギア王国に、戻らない選択も、考えていたようだけれど、スティブ様と、セラフィ様と、何度も話し合い、一緒に、ギア王国に戻ることになったのだ。
ギア王国を、今よりも良い国にするためには、ルカの力が、必要だと、王族だからといって、縛り付けるようなことはしないと、セラフィ様が説得していたのを、よく覚えている。スティブ様は、ヴィーヴル王国で、ルカと暮らすのも、良いと思っていたようだけれども。
ゆっくり、時間をかけて、ルカとスティブ様、セラフィ様は、途絶えてしまった、家族という関係を、取り戻していったのだ。
ルカの、世界を広げたいという夢は、もっと大きく、羽ばたこうとしている。
そして、僕は……。
「ロキくん、待っていたよ。お疲れ様」
「フールさん。お疲れ様です。まずは、大事な書類を、渡しておきますね」
「ありがとう。リィノと、マスターが、楽しみに待っているよ。今回は、向こうにいる期間が、長かったからね」
「大事な行事が、迫っていますから。外交員として、頑張らないと」
そう言った僕に、フールさんは、ふわふわとした笑顔で、笑いかけてくれる。
そう。僕は、本物の外交員になったのだ。ギア王国と、ヴィーヴル王国を、つなぐために。王国からの、命令ではなく、自分の意思で。
普段の僕は、ギア王国と、ヴィーヴル王国を行き来しながら、生活している。スタウロと、一緒に。
ヴィーヴル王国にいるときは、あのご飯屋さんの、手伝いも、忘れない。スタウロの子供たちが、やんちゃ盛りで、とても忙しいのだ。
「あ!! ロキ、ルカ、着いたのね!!」
新しくなった、レインボーローズの建物に入ると、リィノさんが、パタパタと走ってきて、僕のことを、出迎えてくれた。
リィノさんは、消えない破壊の心と、共に生きる方法を、見つけるために、おじいちゃんと、フールさんのいる、ギア王国の、レインボーローズで、生活をしている。
ロボットを使えば、ヴィーヴル王国でも、生活できると、おじいちゃんが、言っていたけれど、リィノさんは、ゆっくりと、自分と向き合ってから戻りたいと、自分の意思で、生きる場所を、決めた。
そして、それは、フールさんもだ。
ギア王国の、レインボーローズで、ギア王国と、ヴィーヴル王国の人々が、幸せに生きることのできる、努力がしたいと、今も、おじいちゃんの元で、働いている。
「ロキ、ルカ、仕事が終わったら、部屋に来てよ。お姉ちゃんの結婚式に、どのドレスを着ていくか、決まらないの。お姉ちゃんより目立ったら、殺されちゃう。でも、おもいっきり、おしゃれしたくて。ライキがくれた、ドレスとアクセサリーも素敵だし、フールがくれたのも、捨てがたいの」
リィノさんの言葉に、フールさんの眉が、ピクリと動いた。
「リィノ? ライキからも、ドレスとアクセサリーが贈られてきたのかい? それは知らなかったよ。少し、別室で、話そうか」
「ふ、フールさん、落ち着いてください!!」
この笑顔、ノルさんとそっくりだ。リィノさんを、愛するがゆえの笑顔。
だけれど、リィノさんを愛しているのは、ライキさんもで……。
僕は、こっそりと、ため息をついた。
エミリィさんと、ノルさんの結婚が、正式に決まるまで、キラさんと、ノルさんの、バトルの間に入って、大変だったのに……次は、こっちだ。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる