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龍神様はチョコレートがお好き
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特別な魂の持ち主~突然の引っ越し~
俺の名前は、中山(なかやま)優(ゆう)矢(や)。
来年から、高校生になる、どこにでもいる容姿の、普通の男だ。
性格は、はっきり言って、暗い。
だけど、特に、何かのオタクというわけでもなく、どこにでもいる、普通の、暗い人間だ。
いや、俺は、「普通」では、ないのかもしれない。
俺には、いつも、人には見えないものが見えたり、寝ていたら、金縛りにあって、体を押さえつけられたり、外では、黒いものに、追いかけられたりする。
そのことを、信じてくれていたのは、三年前に、病気で死んだ、母親だけだった。父親は、知ってか知らずか、その話題に、触れることはなかった。
ここ最近、そんな現象は、どんどん増えていき、俺は、日常生活にも、支障がでるようになってしまった。
先週、学校帰りに、何人もの、黒い影に、追いかけられた俺は、外に出るのも怖くなって、今、引きこもりのような、状況になっている。不思議なことに、数少ない、俺の友人たちに、その黒い影は、見えなかったらしい。
そんな俺を、見かねたのか、父親は、俺に隠れて、どこかに、頻繁に、連絡をとるようになった。
そして、高校受験の時期、俺は、父親に、呼び出された。
父親と、あまりまともに、話したことのない俺は、机を挟んで座る、父親を見ながら、緊張していた。
「優矢、お前に、話さないといけないことがある。お前を苦しめる、数々の、現象についてだ。まず、これを読んでほしい。」
俺は、黙って、父親が差し出してきた、絵本を受け取った。
そして、だいぶ古くなっている、表紙をめくって、読み始めた。
そんな俺を、父親は、黙って見つめていた。
星蘭・・・自然神・・・お殿様・・・子供向けの、絵本のようにしか、思えなかった。
読み終わった俺は、本を閉じると、黙って父親に渡した。
すると、父親は、重々しく、口を開いた。
「優矢、この話は、信じられないかもしれないが、この本にでてくる、不思議な魂を持った、お殿様・・・。お前は、その魂の、生まれ変わりだ。お前の周りに、人ならずものが、集まってくるのも、お前の持つ、魂のせいだ。」
「・・・・・・・・。」
俺は、何も言えなかった。言えるわけがない。理解が、追いつかない。
星蘭なんて、聞いたこともないし、ましてや、俺が、絵本に出てくる、お殿様の、生まれ変わりなんて、非現実的すぎる。
だけど、俺は、自分の周りの、その、「非現実的な人ならずもの」に、苦しめられているという事実がある。
俺は、黙ったまま、父親の言葉を待った。
「星蘭は、今は、星蘭町と呼ばれ、その絵本に出てくる、神社も全て実在する。そして、お前の、魂を守る、力をもつ人たちも、存在している。星蘭町は、普通の世界から、少し外れている。そして、この星蘭町が、父さんと母さん、そして、お前の故郷だ。」
「えっ・・・・。」
俺は、自分の故郷の話を、聞いたことがなかった。
突然聞かされた、その話に、俺は、ますます混乱した。
「お前が、生まれたとき、父さんは、忠告を受けていた。だが、父さんは、それを信じず、星蘭町を出た。ここしばらく、父さんは、光龍神社の、現神主さんと、光龍神社の隣にある、龍野派道場の、師範の人と、何度も話し合った。そして、決断しなければならなかった。お前が、ちゃんと、守られた場所で、お前の魂を、守ることのできる人たちと、お前が、自分の魂を、自分で、守れるようになるまで、暮らさなければいけないと。」
「は・・・?じゃあ、その星蘭町って所に、引っ越すの?」
「ああ。だが、移り住むのは、お前だけだ。父さんは、町に、戻ることが、できないんだ。」
町に、戻ることができない・・・?どういうことだ・・・?
「じゃ、じゃあ、俺は、どうなるの?」
「お前は、光龍神社に、住まわせてもらうことになった。光龍神社は、全ての神社を、束ねる、中枢。それに、お前を守る、自然神からの加護を受けた一人が、その神社にいる。光龍明(あかる)さんと言って、お前と、同い年だ。明さんは、その絵本に出てくる、巫女様の、生まれ変わりだそうだ。それに、光龍神社の隣にある、龍野派道場の跡取りで、龍神の加護を受けた、男の子もいる。その子もお前と同い年だ。・・・師範が言うには、全ての神社で、年齢が近く、強い加護を受けた人達が、いるそうだ。その人たちが、お前を守ってくれるはずだ。友人にも、なってくれるだろう。」
「ちょ・・・・ちょっと、急に、そんなこと言われても・・・・・・。」
俺は、動揺を隠せなかった。
俺がさっき読まされたのは、絵本だ。作り話のはずだ。
それなのに・・・・。
つまり、俺が、不思議な魂を持った、お殿様の生まれ変わりで、絵本に出てくる、生まれ変わりの人たちも、実在していると、父親は言っている。
俺と、父親の間に、沈黙が流れる。
父親は、冗談を言うような、人じゃない。バリバリの、現実主義者のはずだ。
「とにかく・・・・これは、決定したことなんだ。お前も、これ以上、苦しみたくないだろう。それに、お前が、これ以上、結界の外にいるのは、危険だとも言われた。」
俺は、何も言わずに、うつむいた。
そんな俺の目の前に、父親が、学校のパンフレットを、出してきた。
クラウンアカデミー・・・・
俺は、黙って、そのパンフレットを読んだ。
星(せい)蘭(らん)町(ちょう)は、篤(あつ)森(もり)山という山に囲まれた、自然豊かな町。あと、この町には、超が沢山つく、桁外れの、お金持ちたちが、多く住んでいる。
町の、一番の特徴は、五つの、大きな、歴史ある神社が、町の端に建っていること。この神社を、線で結ぶと、星の形になることから、星蘭町という名前である。
クラウンアカデミーは、そんな、お金持ちの人達が通う、中高一貫で、私立の、超お坊ちゃま、お嬢様校。
「一流」の、人間になるための、設備が整っている。
そして、この学校がある場所は、絵本に出てくる、お城の跡地・・・。
俺が、パンフレットから分かったのは、これくらいだ。
パンフレットを閉じて、父親を見る。
「・・・お前には、この学校に、通ってもらう。この学校は、特殊な学校だが、お前の学力なら、努力すれば、合格することができるはずだ。」
「なんで・・・・わざわざ、こんな学校に・・・?普通の、学校は、ないの?」
「普通の学校も、ある。だが、この学校の場所が、一番安全なんだ。それに、明さんと、龍野派道場の男の子も、この学校に、通っている。これほど、安全な環境はないんだ。」
「ちょっと・・・。俺、全く、状況が、分からないんだけど。」
「・・・お前の魂は、人ならずものを引き寄せ、目に見えない力を利用する者たちに、その魂を狙われる。さっきも言ったが、父さんも、そんな話、信じなかった。だから、お前と、母さんをつれて、町を出た。だが・・・お前は、日に日に、人ならずものに、苦しめられ、このままだと、お前が壊れてしまう。お前が、一番分かっているだろう。離れて暮らすのは、父さんだって嫌だ。だが、お前を、守るためなんだ。分かってくれ。」
「・・・・・・。」
俺は、それ以上、何も言うことができなかった。
こうして俺は、問答無用で、クラウンアカデミーを受験することになり、日々勉強に追われ、なんとか、無事に、合格することができた。
そして、新学期が始まる直前、慌ただしく、引っ越しの準備がされて、俺は光龍神社に、移り住むことになったのだった。
俺の名前は、中山(なかやま)優(ゆう)矢(や)。
来年から、高校生になる、どこにでもいる容姿の、普通の男だ。
性格は、はっきり言って、暗い。
だけど、特に、何かのオタクというわけでもなく、どこにでもいる、普通の、暗い人間だ。
いや、俺は、「普通」では、ないのかもしれない。
俺には、いつも、人には見えないものが見えたり、寝ていたら、金縛りにあって、体を押さえつけられたり、外では、黒いものに、追いかけられたりする。
そのことを、信じてくれていたのは、三年前に、病気で死んだ、母親だけだった。父親は、知ってか知らずか、その話題に、触れることはなかった。
ここ最近、そんな現象は、どんどん増えていき、俺は、日常生活にも、支障がでるようになってしまった。
先週、学校帰りに、何人もの、黒い影に、追いかけられた俺は、外に出るのも怖くなって、今、引きこもりのような、状況になっている。不思議なことに、数少ない、俺の友人たちに、その黒い影は、見えなかったらしい。
そんな俺を、見かねたのか、父親は、俺に隠れて、どこかに、頻繁に、連絡をとるようになった。
そして、高校受験の時期、俺は、父親に、呼び出された。
父親と、あまりまともに、話したことのない俺は、机を挟んで座る、父親を見ながら、緊張していた。
「優矢、お前に、話さないといけないことがある。お前を苦しめる、数々の、現象についてだ。まず、これを読んでほしい。」
俺は、黙って、父親が差し出してきた、絵本を受け取った。
そして、だいぶ古くなっている、表紙をめくって、読み始めた。
そんな俺を、父親は、黙って見つめていた。
星蘭・・・自然神・・・お殿様・・・子供向けの、絵本のようにしか、思えなかった。
読み終わった俺は、本を閉じると、黙って父親に渡した。
すると、父親は、重々しく、口を開いた。
「優矢、この話は、信じられないかもしれないが、この本にでてくる、不思議な魂を持った、お殿様・・・。お前は、その魂の、生まれ変わりだ。お前の周りに、人ならずものが、集まってくるのも、お前の持つ、魂のせいだ。」
「・・・・・・・・。」
俺は、何も言えなかった。言えるわけがない。理解が、追いつかない。
星蘭なんて、聞いたこともないし、ましてや、俺が、絵本に出てくる、お殿様の、生まれ変わりなんて、非現実的すぎる。
だけど、俺は、自分の周りの、その、「非現実的な人ならずもの」に、苦しめられているという事実がある。
俺は、黙ったまま、父親の言葉を待った。
「星蘭は、今は、星蘭町と呼ばれ、その絵本に出てくる、神社も全て実在する。そして、お前の、魂を守る、力をもつ人たちも、存在している。星蘭町は、普通の世界から、少し外れている。そして、この星蘭町が、父さんと母さん、そして、お前の故郷だ。」
「えっ・・・・。」
俺は、自分の故郷の話を、聞いたことがなかった。
突然聞かされた、その話に、俺は、ますます混乱した。
「お前が、生まれたとき、父さんは、忠告を受けていた。だが、父さんは、それを信じず、星蘭町を出た。ここしばらく、父さんは、光龍神社の、現神主さんと、光龍神社の隣にある、龍野派道場の、師範の人と、何度も話し合った。そして、決断しなければならなかった。お前が、ちゃんと、守られた場所で、お前の魂を、守ることのできる人たちと、お前が、自分の魂を、自分で、守れるようになるまで、暮らさなければいけないと。」
「は・・・?じゃあ、その星蘭町って所に、引っ越すの?」
「ああ。だが、移り住むのは、お前だけだ。父さんは、町に、戻ることが、できないんだ。」
町に、戻ることができない・・・?どういうことだ・・・?
「じゃ、じゃあ、俺は、どうなるの?」
「お前は、光龍神社に、住まわせてもらうことになった。光龍神社は、全ての神社を、束ねる、中枢。それに、お前を守る、自然神からの加護を受けた一人が、その神社にいる。光龍明(あかる)さんと言って、お前と、同い年だ。明さんは、その絵本に出てくる、巫女様の、生まれ変わりだそうだ。それに、光龍神社の隣にある、龍野派道場の跡取りで、龍神の加護を受けた、男の子もいる。その子もお前と同い年だ。・・・師範が言うには、全ての神社で、年齢が近く、強い加護を受けた人達が、いるそうだ。その人たちが、お前を守ってくれるはずだ。友人にも、なってくれるだろう。」
「ちょ・・・・ちょっと、急に、そんなこと言われても・・・・・・。」
俺は、動揺を隠せなかった。
俺がさっき読まされたのは、絵本だ。作り話のはずだ。
それなのに・・・・。
つまり、俺が、不思議な魂を持った、お殿様の生まれ変わりで、絵本に出てくる、生まれ変わりの人たちも、実在していると、父親は言っている。
俺と、父親の間に、沈黙が流れる。
父親は、冗談を言うような、人じゃない。バリバリの、現実主義者のはずだ。
「とにかく・・・・これは、決定したことなんだ。お前も、これ以上、苦しみたくないだろう。それに、お前が、これ以上、結界の外にいるのは、危険だとも言われた。」
俺は、何も言わずに、うつむいた。
そんな俺の目の前に、父親が、学校のパンフレットを、出してきた。
クラウンアカデミー・・・・
俺は、黙って、そのパンフレットを読んだ。
星(せい)蘭(らん)町(ちょう)は、篤(あつ)森(もり)山という山に囲まれた、自然豊かな町。あと、この町には、超が沢山つく、桁外れの、お金持ちたちが、多く住んでいる。
町の、一番の特徴は、五つの、大きな、歴史ある神社が、町の端に建っていること。この神社を、線で結ぶと、星の形になることから、星蘭町という名前である。
クラウンアカデミーは、そんな、お金持ちの人達が通う、中高一貫で、私立の、超お坊ちゃま、お嬢様校。
「一流」の、人間になるための、設備が整っている。
そして、この学校がある場所は、絵本に出てくる、お城の跡地・・・。
俺が、パンフレットから分かったのは、これくらいだ。
パンフレットを閉じて、父親を見る。
「・・・お前には、この学校に、通ってもらう。この学校は、特殊な学校だが、お前の学力なら、努力すれば、合格することができるはずだ。」
「なんで・・・・わざわざ、こんな学校に・・・?普通の、学校は、ないの?」
「普通の学校も、ある。だが、この学校の場所が、一番安全なんだ。それに、明さんと、龍野派道場の男の子も、この学校に、通っている。これほど、安全な環境はないんだ。」
「ちょっと・・・。俺、全く、状況が、分からないんだけど。」
「・・・お前の魂は、人ならずものを引き寄せ、目に見えない力を利用する者たちに、その魂を狙われる。さっきも言ったが、父さんも、そんな話、信じなかった。だから、お前と、母さんをつれて、町を出た。だが・・・お前は、日に日に、人ならずものに、苦しめられ、このままだと、お前が壊れてしまう。お前が、一番分かっているだろう。離れて暮らすのは、父さんだって嫌だ。だが、お前を、守るためなんだ。分かってくれ。」
「・・・・・・。」
俺は、それ以上、何も言うことができなかった。
こうして俺は、問答無用で、クラウンアカデミーを受験することになり、日々勉強に追われ、なんとか、無事に、合格することができた。
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