龍神様はチョコレートがお好き

Emi 松原

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龍神様はチョコレートがお好き

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占い~生まれた疑問~

 次の日の休み、俺たちは、占い館・MAKOTOの前に、立っていた。
 本格的な、占いなんて、初めてだ。
 占い館の外装は、とても神秘的な雰囲気で、つくられていた。紫を、基盤としている。
 それにしても・・・・。
 俺は、自分の隣で、ニコニコする絵里さんを、横目で見た。
 一日並んでも、見てもらえるか分からない、そんな場所を、一日、貸切るなんて、本当に、白川財閥って、凄いんだな・・・。
 そんなことを、考えていると、占い館から、一人の、男の人が出てきた。
 長身で、細身、優しい顔立ちで、スーツを着ていて、想像していた、占い師と、全然違った。(俺は、顔を隠して、口元だけ見えている、そんな、女の人をイメージしていた。)
「ようこそ。白川絵里様。歓迎します。私が、占い館・MAKOTOで、占い師を、している、MAKOTOと、申します。」
「突然の申し出を、受けてくださって、ありがとうございます。有名な、占師さんに、お会いすることができて、光栄です。今日は、よろしくお願いします。」
 絵里さんと、MAKOTOさんが、挨拶を交わす。
「では、どうぞ中へ。」
 占い館の中へ、入った。
 中は、待合スペースが広くて、色々な、小物が、沢山あった。
 さらに奥に、占ってもらう、部屋があるようだ。
「では、白川様から、どうぞ。ご友人方は、しばらくお待ちください。」
「はい。私は、婚約者と、占ってもらいますわ。」
 そう言うと、俺を見る。
 俺は、緊張しながら、うなずく。
 そして、絵里さんと、礼さんの、三人で、占う部屋に入る。(礼さんは、鑑定をしない、執事ということで、特別に、三人での入室が許可された。)
 俺は、絵里さんの隣に、座った。
 目の前には、紫色のテーブルクロスがかかった、机。その上には、カードが、高く積んである。タロットカードというやつだろうか。
 ポーが、しばらく、不思議そうに、周りを見渡していたが、寝てしまった。
 怒った声で、鳴かないということは、この人は、呪いをかけた人じゃ、ないのだろうか。
「では、鑑定を始めます。何か、占ってほしいことは、ありますか?」
MAKOTOさんが、急に真剣な顔になって、なんだか不思議な、雰囲気になった。
「そうですわね。白川財閥の今後と、私と、婚約者の、優矢さんの、未来について、お願いしますわ。」
 絵里さんが、微笑んで言った。
「分かりました。では、二人のカードを、導き出します。」
 俺は、驚くものを、見た。
 MAKOTOさんが、手を動かすと、カードが何枚か、勝手に、山から抜き出て、俺たちの前で、背中を見せて、浮いているのだ。
 まるで、志乃さんの、戦う時のようだ。
「白川財閥の、今後の運命から。」
 MAKOTOさんが、手のひらを返すと、一枚のカードが、めくれた。
「これは、繁栄を意味する、カードです。白川財閥は、今後も、積極的に活動していくことで、どんどん成功をしていくでしょう。」
「まぁ、そうですか。嬉しいですわ。」
 微笑んだまま、絵里さんが言う。
「白川様自身も、周りから、頼りにされていて、信頼も得ています。ただ、少し、健康に、気になるカードが、出ています。」
 また、カードがめくれる。
「外に出て、多くの人と会い、色々なものを見ることが、心身に影響を与えるようです。ですが、仕事運が、今、とても良い時期なので、なるべく、家の中で、できる仕事をして、人付き合いを、最小限にすることで、健康も守れます。」
「そうなのですね。」
 絵里さんは、全く、表情を崩さずに、言った。
 色々なものを見るって、俺たちのことかな?
 ふと、そんなことを、思った。
「次に、中山様。」
「は・・・はい。」
 また、カードが、一枚めくれる。
「人付き合いが、あまり得意ではないようですね。人間関係・・・特に、お父様との、不仲が、出ています。そして、お母様について、何か、真実を、お父様は、隠していて、中山様は、それを、信じているようです。ですが、真実を知ってしまえば、お父様と、さらに不仲になるという、暗示が、出ています。」
「え・・・?母親は、病気で死んだのですが・・・・。」
「ここで、真実を言うことは、できません。未来を、幸せに導くのが、占い師の役目。真実を知ることで、お父様と衝突をすることは、良い未来を呼びません。」
 ・・・MAKOTOさんには、その、隠されている真実が、分かるのだろうか。
 また、カードが、めくれる。
「さて、お二人の相性ですが、優矢さんが、少し、引け目を感じているようですね。婚約者と言われても、しっくりきていないのでは、ないでしょうか。」
「まぁ、そうなのですか?」
 絵里さんが、微笑んだまま、俺を見た。
「そ・・そうですね・・・。」
 俺は、素直に、うなずいた。
「ですが、お二人の、相性は、とても良いのです。心より、もっと深い、魂が、お互いを求めています。どうやら、二人は、前世からの、繋がりが、あるようですね。活動的な絵里さんの、サポート役の資質を、優矢さんは、持っています。前世では、その立場が、逆だったようです。優矢さんが、前に出すぎずに、絵里さんが引っ張っていくことが、今世の二人が、上手くいくコツです。」
 ・・・当たってる・・・?前世では、俺はお殿様で、絵里さんは、お姫様だった。
 きっと、その時は、お殿様の方が、偉かったのだろうから、今と、立場が逆になっていても、おかしくない。
 それに、今、俺は、絵里さんに、引っ張ってもらっている。
 絵里さんと、MAKOTOさんが、笑いながら話しているが、俺の耳には、入っていなかった。
 俺は、父親が、隠しているという真実が、どうしても気になった。
「ありがとうございました。とても、有意義な時間でしたわ。」
 絵里さんの言葉で、俺は、我に返った。
「こちらこそ。もし、また何か相談がありましたら、電話相談も、受け付けています。電話相談の、曜日が書いた、名刺です。どうぞ。」
 俺と、絵里さんは、一枚ずつ、名刺をもらう。
 絵里さんが、先に部屋を出ようとした。後に続こうとしたら、
「どうしても、真実が知りたければ、お電話を。」
 MAKOTOさんが、俺にだけ、聞こえたであろう、小さな声で、言った。
 俺は、何も反応できず、部屋を出た。

 最後に、明さんと、幸多さんが、占ってもらっている間、俺たちは、車で待っていた。
 皆は、今回の、呪いのことには、まだ、触れずに、占いで、何を言われたかを、わいわいと、話していた。
 だけど俺は、真実のことが気になって、黙って、下を向いていた。
「私、達成に、積極的に、アピールすることが、大事だと、言われましたぁ。」
 美桜さんが、嬉しそうに、達成さんに、くっつこうとする。押しのける、達成さん。
「僕、一生、食べ物に、困らないってー。そりゃ、豊作の神様の、加護を受けてるもんねー。でも、的を得てたねー。」
 成二さんが、クスクス笑う。
「それでー、お殿様は、どうだったー?」
 成二さんの声で、俺は、我に返った。
「あ・・・あの・・・父親との、不仲を指摘されて・・・・。」
「へー。当たってるねー。お殿様のお父さん、お母さんのことで、星蘭町から、永久追放されちゃったしねー。」
「成二!!」
 志乃さんが、怒った声で、成二さんを、制した。
「え・・・・?」
 母親のことで、永久追放?なんのことだ?
 そういえば・・・・・。
 父親は、ここに帰ることができないと、言っていた。ここに来た日も、途中までしか、俺のことを、送らなかった。
 一体、どういうことなんだ・・・?
 俺は、詳しく知りたくて、成二さんに、聞こうとしたけれど、慌ただしく、車のドアが開いて、ビックリした。
「絵里さん!早く、光龍神社に、明を、連れて帰ってくれ!!」
 幸多さんの、叫ぶような声が、聞こえた。
 その声の方を見た俺は、固まった。
 明さんが、幸多さんの腕の中で、ぐったりと、倒れていたのだ。
「明さん!!礼、急いでください!!」
 絵里さんが、叫んだ。
「一体、どうしたっていうの!?まさか、攻撃されたの!?」
 車が、早いスピードで走る中、志乃さんが、幸多さんに、大きな声で言った。
「攻撃は、されていないはずなんだ!だから、原因が分からない!!早く、恒夫さんと、【龍神の間】行くのが、最善だ!!」
 幸多さんが、大声で返す。
 こんな、幸多さん、初めて見る・・・・。
 いつも、冷静で、寡黙なのに・・・。
 でも、なんで、明さんは・・・・。
 明さんは、幸多さんの腕の中で、呼吸が荒く、苦しそうだ。
 俺は、自分のことと、明さんのことで、頭が大混乱していた。

【龍神の間】
「・・・・・?・・・ここは・・・。」
「明、起きたかい?」
「・・・・おじいさま・・・私・・・。」
「そのまま、寝ていなさい。今、地龍様が、癒しの力を、使ってくださっている。」
「・・・・・・。」
 明は、【龍神の間】に敷かれた布団に、寝かされていた。
「私・・・どうして・・・・。」
 明が、頭を押さえた。
「幸多が、占い館での、話をしてくれた。前世で起こった悲劇が、二人の間で、次は起きないように、今を大事に、前世から続く、しがらみから、離れることが、幸せの秘訣だ。そう言われた途端、明は、頭を押さえて、倒れたらしい。一体、何が、あったんだい?」
 恒夫が、明の傍に座り、頭を撫でながら、言った。
「・・・・・。」
 恒夫の質問に答えず、何かを考えるように、黙って、身を任せる明。
「前世の記憶が、蘇ったようだな。」
 水龍が、静かに言った。
 明が、ゆっくりと、うなずく。涙が、頬をつたった。
「私・・・皆が、大好きだったんです・・・。だから、全員を、守りたかった・・・。でも、それは、叶わなかった・・・。だから、今度こそ、皆を守りたくて・・・。また、ここに、生まれてきたんですね・・・・。」
「その通りだ。お前は、自分の愛する者たちを、目の前で失った。そして、残った、愛する者たちを、守るために、命を引き換えにした。そして、待っていた。再び、殿様が、この世に生まれる事を。愛した者たちが、集まってくるのを。動乱に、また、立ち向かうことを、決意して。」
 水龍が、淡々と、言った。
 明が、涙を流しながら、うなずいた。
「次こそ、全員を守ろうと・・・。死ぬ直前に、自分自身で、誓ったんです・・・。」
 明の頭を、優しく撫でる、恒夫。
「それが、占い師の言葉で、蘇ったんだね。何か、占い師の力を、感じたかい?」
 恒夫の言葉に、明は、ゆっくりと、うなずいた。
「なんだか、無理矢理、魂の奥から・・・何かが、引き出される、感覚がしました。そして、映像が、どんどん、流れ込んできました・・・。」
「そうか・・・。」
 恒夫は、それ以上何も言わず、明の頭を、撫で続けた。
「これで、大丈夫だ。」
 地龍が、深い声で言った。
「地龍様、ありがとうございます。」
 恒夫が、地龍に、頭を下げた。
「ありがとうございます、地龍様・・・。体が、とても、軽くなりました。」
 明が、布団の中で、言った。
「おじいさま・・・私には・・・前世の誓いを変えて・・・この動乱から、逃げる道も、あるのでしょうか・・・。」
 明が、天井を見ながら、ぽつりと言った。
「明、子供の頃から、教えてきたはずだ。今を、大事に生きなさいと。自分の、本当の気持ちを、大事にしなさいと。それが、どんな道でも、明が、選んだ道ならば、それが正しいことなのだと。」
 恒夫が、優しく言った。
「私の、本当の気持ち・・・。」
 明が、つぶやいた。
「そんなことを、話している場合か。あの少年が、占い師と、相伝の言葉で、父親が、星蘭から、永久追放されたことを、知ってしまった。このまま放っておいて、もしも、負の感情が爆発したら、この星蘭が、どうなるか、分からないぞ。」
 火龍が、言った。
「・・・成二が・・・?」
 明の顔が、青ざめた。
「明、大丈夫。今日は、ゆっくりとお休み。明日も、休みだ。明日の夕方、皆には、召集をかけておる。それまで、自分のことを、考えておくれ。」
 恒夫が、あやすように、言った。

 光龍神社に帰って、すぐに、明さんは、【龍神の間】に、運ばれた。
 話は、明日の、夕方になった。
 明さんが、心配だったけれど、俺は、どうしていいか、分からなかった。
 自分の部屋を、うろうろしながら、ずっと、考え事をしていた。
 MAKOTOさんと、成二さんの言葉・・・。
 母親は、確かに、病気で死んだ。看取ったのだから、間違いない・・・。はず・・・。
 ・・・なぜ、父親は、星蘭町に、帰れないんだ・・・?永久追放って、どういうことなんだ・・・?母親が関係しているって、なんだ・・・?真実って、なんだ・・・・?
 悩んだ末、俺は、携帯電話を、手に取った。
 しばらく、立ったまま、携帯電話を、見つめていた。
 やっぱり、師範か、明さんのおじいさんに、聞くべきか・・・?
 だけど、明さんが、あんなことになっている今、聞くべきでは、ない気がする。
 俺は、決心して、ダイヤルを押した。
 何度か、呼び出し音が鳴った後、久しぶりに、父親の声が、聞こえた。
「もしもし、優矢か?突然、どうしたんだ?」
「・・・父さん・・・。なんで、父さんは、星蘭町に来られないの・・・?」
「どうした、突然。」
「・・・・・。」
「・・・誰かに、何か、言われたのか?」
「・・・・知りたいんだ。」
 俺は、はっきりと、そう言った。
「星蘭町は、普通の世界から、外れた場所にある。そのせいで、昔からの、厳しい決まりがあるんだ。父さんは、前にも話した通り、星蘭町を出た。それが、その厳しい決まりを破ったと、誤解されただけだ。」
「決まりって・・・?」
「それは・・・。きっと、星蘭を捨てたと、思われたのだろう・・・。」
「じゃあ、そのことと、母さんが死んだのは、関係ある?」
 一瞬、父親が、息を呑んだ気がした。
「・・・母さんは、病気だった。お前も、看取っただろう?」
「・・・聞いたこと、なかったね・・・。母さんは、なんの、病気だったの?」
「それは・・・医者も、原因不明だと・・・。優矢、お前、何か、考えすぎているんじゃないのか。」
 父親の声が、怒ったような、声になった。
 これ以上、聞いても無駄か・・・。
 さらに、不仲になる・・・。占いが、当たったな。
 俺は、黙って、電話を切った。
 父親は、何か隠している。
 話してみて、そう確信した。
 やっぱり、師範か、明さんのおじいさんに、聞いてみようか・・・。それとも・・・成二さんに聞くのは、どうだろうか・・・。成二さんは、隠し事なんかしないで、言いたいことを、言ってくれるだろう・・・。だけど・・・成二さんとは、二人きりで、話す関係ではないし・・。それに、志乃さんが、怒ったことを、考えると、はぐらかされるかもしれないし・・・。

 俺は、ポケットから、名刺を取り出した。

???
「はい。計画は、順調です。」
 暗闇で、男が、言った。
「お殿様を、混乱させることは、簡単でした。後は、どういう行動に出るか、じっくりと、観察します。・・・えぇ、勿論、その時は、確実に、手に入れます。それと、光龍神社を、守護する者にも、揺さぶりと、混乱を、与えました。・・・はい。これで、光龍神社に、打撃を与えられたら、万々歳です。仲間割れが、起きることも、考えられますね。我らの、悲願の日は、近いです。・・・人形は、始末します。相手は、人形の情報を、知っている。下手に手を出すと、我々の計画が、台無しになってはいけないので。・・・はい。では、また。」
 男が、不敵な笑みを、浮かべた。
「力を持つ者と言っても、所詮は、まだ、子供。我々が、星蘭町を制圧し、力を手に入れる日は、近い・・・。」
 男が、手を振った。
 一枚のカードが、男の前で、浮かんでいる。
「なるほど。やはり、思った通りに、なりそうだな。二人で、話をすることを、楽しみにしているよ、お殿様。」
 男は、そう呟くと、暗闇に消えて行った。

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