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龍神様はチョコレートがお好き
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怒り~皆の暖かかさ~
「・・・・ポー・・・・ポー・・・・・・・。」
・・・・ん・・・?・・・・ポーの、声・・・?
「・・・やさん!・・・・ゆ・・・さん・・・・ゆうや・・さん!」
・・・・絵里さん・・・?
俺は、ゆっくりと、目を開けた。
「優矢さん!!気が付きましたか!?」
「ポポポー!」
俺の視界に、絵里さんの顔と、ポーが、映る。
・・・俺・・・・生きてる・・・・?
え・・・!?なんでだ!?
俺は、無理矢理、ガバッと、上半身を、起こした。
「優矢さん、まだ、動いてはいけません!!」
絵里さんが、俺の傍で、俺を、覗き込んでいた。
「ポポポー!」
ポーが、俺の頬に、体をこすりつけてきた。
俺は、周りを見た。
皆が、俺の、部屋にいた。
「どうして・・・・。俺、魂を、取られたはず・・・。一体、何が・・・・。」
「そんなの、こっちが、聞きたいわよ。」
絵里さんの、近くに座っていた、明さんが、言った。
「あんたが、倒れているのを見つけて、全員、ずっと傍にいたのよ。もう、夜中よ。」
明さんが、続ける。
師範と、明さんのおじいさんも、部屋の端に、座っている。
「俺・・・MAKOTOに、魂を、取られて・・・。どうして、生きて・・・。」
「奪われたのは、私が、あんたの、体に入れておいた、ダミーの魂よ。覚えてる?魂取りに、狙われた日。あんたの、胸を触ったの。あの時、あんたの、魂のコアを隠すように、ダミーの、魂の精神物質を、仕込んでおいたの。・・・上手く騙せて、良かった。」
明さんが、言った。
じゃあ、俺の、魂は、無事なのか・・・・。
そう思ったら、突然、怒りが込み上げてきた。
皆が、いることも、気にならないほどに。
父親に対して。キラ研に対して。MAKOTOに対して。そして、自分自身が行った、軽率で、愚かな行為に対して・・・・!
「う・・・うぅ・・・・。」
俺は、叫びたかった。
何か、分からないけれど、とにかく、大声で、叫びたかった。
どんどん、胸が、熱くなっていく。
カタカタと、部屋の小物が、揺れ始めた。
「ポー!!ポー!!」
「魂の暴走!?」
「そうかもね。皆、構えて!」
ポーの叫ぶ声。それに、志乃さんと、明さんの、声がするけれど、そんなの関係ない!
ガタガタと、部屋が揺れる。
その時
俺の体が、突然、暖かいものに、包まれた。
「優矢さん、落ち着いてください!大丈夫ですから!」
絵里さんが、俺を、抱きしめていた。
「大丈夫。大丈夫ですから。」
優しい声。俺を抱きしめる手に、力がこもっていく。苦しいくらいに。
「俺・・・俺・・・・・。」
胸の熱さが、引いていく。
「・・・・俺・・・・。」
「大丈夫、大丈夫ですよ。私が、私たちが、傍にいますから。」
絵里さんが、抱きしめた手の力を、緩めずに言った。
俺の目から、突然、涙が、溢れてきた。
絵里さんが、片手で、俺の頭を、抱えると、絵里さんの肩に、押し付けた。
暖かい・・・・。
俺は、泣いた。
自分の感情を、こんなに、人前で出すなんて、こんなこと、生まれて、初めてだ。
だけど、止まらなかった。
「母さんを、殺したのは、父さんと、MAKOTOだった・・・!MAKOTOは、キラ研の、人間だった!」
俺は、泣きながら、叫んだ。
誰に対してかは、分からない。
だけど、止まらなかった。
絵里さんは、黙って、うなずきながら、俺の背中を、さすっていた。
「俺を・・・俺を守って、母さんは、自ら死んだ!!MAKOTOに、キラ研に、騙されたんだ・・・・!!父さんが、母さんを、信じなかったから・・・!!」
涙が、止まらない。
言葉が、勝手に、次々と、溢れてくる。
「俺が、馬鹿だった!父さんが、俺に、嘘をつくから・・・!どうしても、真実が知りたかったんだ・・・!それで・・・あんな奴を、信じて、のこのこと・・・・!!」
「大丈夫、大丈夫です。優矢さんは、何も、悪くありません。」
絵里さんが、手を止めずに、言った。
「悪いよ!!・・・俺が、変な、魂だから、変な、組織に、狙われた!!それで、母さんが・・・。俺のせいだ!!何もかも、全部!!皆に、守られてばかりで、俺は、何もできなくて。その上、騙されて・・・!!」
怒りと、悲しみが、ごちゃごちゃになる。
俺は、泣きながら、絵里さんの体に、身を任せる。
「ごめんなさい・・・!!俺、また、皆に、迷惑かけて・・・・!!魂取りに、狙われた時も、呪いを、かけられた時も、俺は、何も、できなかった!!・・・守ってもらうばかりで、何も・・・・。その上・・・こんなことに・・・・。」
泣きながら、叫んだ。
絵里さんが、体の位置を変えて、体全体で、俺を、包み込んだ。とても、力強く。
「何もできない?そんなこと、ありませんわ!」
絵里さんが、俺を抱きしめたまま、大きな声を出した。
ビックリした俺は、黙った。
涙も、止まる。
「優矢さん、あなたは、私に、花を、贈ってくれました!私を、勇気づけようと、一生懸命に!それで、どれだけ、私の心が、救われたか!!分かりますか!?」
絵里さんの声が、泣き声に、変わる。
「呪いを、かけられた時、あなたは、自分のことより、私のことを、考えてくれたのです!それが、どれだけ、暖かかったか・・・・!どれだけ、嬉しかったか・・・・!」
泣き叫ぶ、絵里さん。
俺は、頭が、冷静になっていった。
どうしていいか、分からなくなった。
絵里さんは、泣きながら、俺を抱きしめたままだ。
「あなたは、何も、悪くないのです。あなたは、強い人です。自分の運命に、文句の一つも言わず、受け入れて・・・。お母様のことも、知らないふりをして、逃げることも、できました。だけど、あなたは、そのことから、逃げなかった。あなたは、とても、強くて・・・とても、優しい人です。」
俺は、また、涙が溢れてきた。
子供のように、泣いた。
絵里さんに、体を預けて。
絵里さんの、暖かい、ぬくもりを、感じながら。
どれくらい、時間が経ったのか、分からない。
俺は、絵里さんの、腕の中で、段々と、落ち着いてきた。
「・・・絵里さん・・・ありがとう。」
ぽつりと、呟くように、言った。
「お礼を言うのは、私の方です。私も、特殊な魂を持っていて、いつも、守られています。はがゆい気持ちは、痛いほど、分かります。そんな時、優矢さんが、現れてくれて、傍に、いてくれたのです。優矢さん・・・本当に、ありがとうございます。」
絵里さんが、また、ギュッと力を入れて、言ってくれた。
俺は、黙って、うなずいた。
傍にいてくれたのは、俺じゃなくて、絵里さんなのに・・・。
そう、思ったけれど、何も言えずに、深く、息を吐いた。
ゆっくりと、絵里さんが、俺の体を離した。
俺の両肩に、手を置いて、俺を見て、泣き顔で、微笑んでいる。
「少し、落ち着きましたか?」
絵里さんの、優しい声。
また、俺は、黙って、ゆっくりと、うなずいた。
周りの皆も、黙って、俺を、見守ってくれていた。
ポーも、俺の肩の上で、静かに、体を、こすりつけていた。
「優矢さん、ゆっくりで、いいですから、何があったのか、一つずつ、話してください。焦らなくて、大丈夫ですから。」
絵里さんの言葉に、後押しされて、俺は、ポツリ、ポツリと、話し始めた。
占い館を出る前の、MAKOTOの言葉。
父親との、電話のこと。
父親が、嘘をついていると、分かったこと。
どうしても、父親について、母親について、真実が、知りたかったこと。
MAKOTOに、電話したこと。
喫茶店での、会話。
そして、魂のダミーを取られる前に、MAKOTOが、語ったこと。
全てを、皆に、話した。
皆は、遮ることなく、全部、聞いてくれた。
「・・・ごめんねー。」
成二さんが、言った。
「俺、お殿様の、気持ちを、利用したんだー・・・。MAKOTOが、お殿様に、接触することで、必ず、何か情報が、入るって、思ったからさー・・・。」
成二さんが、俺を見ながら、続けた。
「情報さえ、手に入れば、お殿様の気持ちなんて、関係ないって、思ったんだー。本物の魂が、取られなくて、本当に良かったー・・・。俺が、お殿様の命を、危険に、さらすようなこと、したんだよー。」
成二さんは、いつもみたいに、笑っていなかった。
真剣に、俺を、見つめていた。
俺は、驚いた。
「・・・成二さんの、せいじゃないです。俺が・・・頼る人を、間違えたから・・・。」
「本当に、そうよ!!」
俺が、そう言った途端、志乃さんが、大きな声で、言った。
驚いて、志乃さんを、見た。
その顔は、涙で、濡れていた。
「もっと、私たちを、頼ってほしかった!!信じて・・・欲しかった!!優矢さんの、気持ちを、ぶつけてほしかった・・・!!」
大きな、強くて、暖かい声で、志乃さんが、叫んだ。
「その通りですぅ・・・。」
志乃さんの、隣にいた、美桜さんは、泣いていた。
「私たちぃ・・・。確かに、守る者とぉ、守られる者ですけどぉ・・・。それ以前に、クラスメイトでぇ・・・。一緒に、与えられた困難に、立ち向かっていく、仲間じゃないですかぁ・・・。」
ぐすっ、ぐすっ、と美桜さんが、泣く。
「初めて会った時、言っただろ。組織ぐるみの相手じゃ、俺一人じゃ、かなわないって。俺達だって、守り、守られているんだよ。」
達成さんが、美桜さんの、肩に、手を置いて、俺を見据えて、言った。
皆・・・。
俺は、また、泣きそうになった。
「・・・あんたとの、関係が、近くなるのを、避けたかった。あんたに、感情移入してしまって、客観的に、物事が、見れなくなるかもしれないのが、怖かった。だけど、そのせいで、あんたは、私たちを、頼れなかった。・・・ごめんなさい。」
明さんが、今まで、聞いたことのない、優しい声で言った。
そんな、明さんの手を、幸多さんが、黙って、握った。
そして、俺を見て、黙ったまま、力強く、うなずいた。
俺の、心に、暖かさが、広がっていく気がした。
ゆっくりと、俺の頬に、涙が、つたった。
そんな、俺たちを、師範と、明さんのおじいさんが、静かに、優しく、見守っていた。
???
「な・・・・なんなんだ、これはぁ!!」
暗闇の中に、MAKOTOの、叫び声が響いた。
確かに、あの、魂の、持ち主だったはずだ。
間違いない。確認だってした。
それなのに・・・・。
調べてみると、自分が奪った魂は、偽物の、塊(かたまり)だった。
「くそっ・・・!!あいつら・・・守護する者達の、仕業か・・・!!おのれ・・・俺を、馬鹿にしやがって・・・!!」
MAKOTOが、怒りで、声を震わせた。
そのまま、誰かに、電話をする。
「私です。はい。・・・申し訳ありません。どうやら、私は、彼らの力を、見誤っていたようです。・・・はい。お殿様の魂の、回収は、できませんでした。私の正体も、ばれています。えぇ。すぐに、拠点を移します。・・・そうですね。もはや、その手しかないでしょう。歴史を、繰り返しましょう。そして、今度こそ、我らが、勝利しましょう。準備を、進めてください。星蘭町への道は、私が、作ります。」
MAKOTOが、電話を置いた。
「許さないぞ・・・。覚えておけ。俺を、欺いたことを。必ず、後悔させてやる。お殿様だけじゃない。お姫様も、全ての、守護する者達の魂も、奪い尽くしてやる・・・!」
暗闇の中で、MAKOTOが言った。
その声を、聴いている者は、居なかった。
「・・・・ポー・・・・ポー・・・・・・・。」
・・・・ん・・・?・・・・ポーの、声・・・?
「・・・やさん!・・・・ゆ・・・さん・・・・ゆうや・・さん!」
・・・・絵里さん・・・?
俺は、ゆっくりと、目を開けた。
「優矢さん!!気が付きましたか!?」
「ポポポー!」
俺の視界に、絵里さんの顔と、ポーが、映る。
・・・俺・・・・生きてる・・・・?
え・・・!?なんでだ!?
俺は、無理矢理、ガバッと、上半身を、起こした。
「優矢さん、まだ、動いてはいけません!!」
絵里さんが、俺の傍で、俺を、覗き込んでいた。
「ポポポー!」
ポーが、俺の頬に、体をこすりつけてきた。
俺は、周りを見た。
皆が、俺の、部屋にいた。
「どうして・・・・。俺、魂を、取られたはず・・・。一体、何が・・・・。」
「そんなの、こっちが、聞きたいわよ。」
絵里さんの、近くに座っていた、明さんが、言った。
「あんたが、倒れているのを見つけて、全員、ずっと傍にいたのよ。もう、夜中よ。」
明さんが、続ける。
師範と、明さんのおじいさんも、部屋の端に、座っている。
「俺・・・MAKOTOに、魂を、取られて・・・。どうして、生きて・・・。」
「奪われたのは、私が、あんたの、体に入れておいた、ダミーの魂よ。覚えてる?魂取りに、狙われた日。あんたの、胸を触ったの。あの時、あんたの、魂のコアを隠すように、ダミーの、魂の精神物質を、仕込んでおいたの。・・・上手く騙せて、良かった。」
明さんが、言った。
じゃあ、俺の、魂は、無事なのか・・・・。
そう思ったら、突然、怒りが込み上げてきた。
皆が、いることも、気にならないほどに。
父親に対して。キラ研に対して。MAKOTOに対して。そして、自分自身が行った、軽率で、愚かな行為に対して・・・・!
「う・・・うぅ・・・・。」
俺は、叫びたかった。
何か、分からないけれど、とにかく、大声で、叫びたかった。
どんどん、胸が、熱くなっていく。
カタカタと、部屋の小物が、揺れ始めた。
「ポー!!ポー!!」
「魂の暴走!?」
「そうかもね。皆、構えて!」
ポーの叫ぶ声。それに、志乃さんと、明さんの、声がするけれど、そんなの関係ない!
ガタガタと、部屋が揺れる。
その時
俺の体が、突然、暖かいものに、包まれた。
「優矢さん、落ち着いてください!大丈夫ですから!」
絵里さんが、俺を、抱きしめていた。
「大丈夫。大丈夫ですから。」
優しい声。俺を抱きしめる手に、力がこもっていく。苦しいくらいに。
「俺・・・俺・・・・・。」
胸の熱さが、引いていく。
「・・・・俺・・・・。」
「大丈夫、大丈夫ですよ。私が、私たちが、傍にいますから。」
絵里さんが、抱きしめた手の力を、緩めずに言った。
俺の目から、突然、涙が、溢れてきた。
絵里さんが、片手で、俺の頭を、抱えると、絵里さんの肩に、押し付けた。
暖かい・・・・。
俺は、泣いた。
自分の感情を、こんなに、人前で出すなんて、こんなこと、生まれて、初めてだ。
だけど、止まらなかった。
「母さんを、殺したのは、父さんと、MAKOTOだった・・・!MAKOTOは、キラ研の、人間だった!」
俺は、泣きながら、叫んだ。
誰に対してかは、分からない。
だけど、止まらなかった。
絵里さんは、黙って、うなずきながら、俺の背中を、さすっていた。
「俺を・・・俺を守って、母さんは、自ら死んだ!!MAKOTOに、キラ研に、騙されたんだ・・・・!!父さんが、母さんを、信じなかったから・・・!!」
涙が、止まらない。
言葉が、勝手に、次々と、溢れてくる。
「俺が、馬鹿だった!父さんが、俺に、嘘をつくから・・・!どうしても、真実が知りたかったんだ・・・!それで・・・あんな奴を、信じて、のこのこと・・・・!!」
「大丈夫、大丈夫です。優矢さんは、何も、悪くありません。」
絵里さんが、手を止めずに、言った。
「悪いよ!!・・・俺が、変な、魂だから、変な、組織に、狙われた!!それで、母さんが・・・。俺のせいだ!!何もかも、全部!!皆に、守られてばかりで、俺は、何もできなくて。その上、騙されて・・・!!」
怒りと、悲しみが、ごちゃごちゃになる。
俺は、泣きながら、絵里さんの体に、身を任せる。
「ごめんなさい・・・!!俺、また、皆に、迷惑かけて・・・・!!魂取りに、狙われた時も、呪いを、かけられた時も、俺は、何も、できなかった!!・・・守ってもらうばかりで、何も・・・・。その上・・・こんなことに・・・・。」
泣きながら、叫んだ。
絵里さんが、体の位置を変えて、体全体で、俺を、包み込んだ。とても、力強く。
「何もできない?そんなこと、ありませんわ!」
絵里さんが、俺を抱きしめたまま、大きな声を出した。
ビックリした俺は、黙った。
涙も、止まる。
「優矢さん、あなたは、私に、花を、贈ってくれました!私を、勇気づけようと、一生懸命に!それで、どれだけ、私の心が、救われたか!!分かりますか!?」
絵里さんの声が、泣き声に、変わる。
「呪いを、かけられた時、あなたは、自分のことより、私のことを、考えてくれたのです!それが、どれだけ、暖かかったか・・・・!どれだけ、嬉しかったか・・・・!」
泣き叫ぶ、絵里さん。
俺は、頭が、冷静になっていった。
どうしていいか、分からなくなった。
絵里さんは、泣きながら、俺を抱きしめたままだ。
「あなたは、何も、悪くないのです。あなたは、強い人です。自分の運命に、文句の一つも言わず、受け入れて・・・。お母様のことも、知らないふりをして、逃げることも、できました。だけど、あなたは、そのことから、逃げなかった。あなたは、とても、強くて・・・とても、優しい人です。」
俺は、また、涙が溢れてきた。
子供のように、泣いた。
絵里さんに、体を預けて。
絵里さんの、暖かい、ぬくもりを、感じながら。
どれくらい、時間が経ったのか、分からない。
俺は、絵里さんの、腕の中で、段々と、落ち着いてきた。
「・・・絵里さん・・・ありがとう。」
ぽつりと、呟くように、言った。
「お礼を言うのは、私の方です。私も、特殊な魂を持っていて、いつも、守られています。はがゆい気持ちは、痛いほど、分かります。そんな時、優矢さんが、現れてくれて、傍に、いてくれたのです。優矢さん・・・本当に、ありがとうございます。」
絵里さんが、また、ギュッと力を入れて、言ってくれた。
俺は、黙って、うなずいた。
傍にいてくれたのは、俺じゃなくて、絵里さんなのに・・・。
そう、思ったけれど、何も言えずに、深く、息を吐いた。
ゆっくりと、絵里さんが、俺の体を離した。
俺の両肩に、手を置いて、俺を見て、泣き顔で、微笑んでいる。
「少し、落ち着きましたか?」
絵里さんの、優しい声。
また、俺は、黙って、ゆっくりと、うなずいた。
周りの皆も、黙って、俺を、見守ってくれていた。
ポーも、俺の肩の上で、静かに、体を、こすりつけていた。
「優矢さん、ゆっくりで、いいですから、何があったのか、一つずつ、話してください。焦らなくて、大丈夫ですから。」
絵里さんの言葉に、後押しされて、俺は、ポツリ、ポツリと、話し始めた。
占い館を出る前の、MAKOTOの言葉。
父親との、電話のこと。
父親が、嘘をついていると、分かったこと。
どうしても、父親について、母親について、真実が、知りたかったこと。
MAKOTOに、電話したこと。
喫茶店での、会話。
そして、魂のダミーを取られる前に、MAKOTOが、語ったこと。
全てを、皆に、話した。
皆は、遮ることなく、全部、聞いてくれた。
「・・・ごめんねー。」
成二さんが、言った。
「俺、お殿様の、気持ちを、利用したんだー・・・。MAKOTOが、お殿様に、接触することで、必ず、何か情報が、入るって、思ったからさー・・・。」
成二さんが、俺を見ながら、続けた。
「情報さえ、手に入れば、お殿様の気持ちなんて、関係ないって、思ったんだー。本物の魂が、取られなくて、本当に良かったー・・・。俺が、お殿様の命を、危険に、さらすようなこと、したんだよー。」
成二さんは、いつもみたいに、笑っていなかった。
真剣に、俺を、見つめていた。
俺は、驚いた。
「・・・成二さんの、せいじゃないです。俺が・・・頼る人を、間違えたから・・・。」
「本当に、そうよ!!」
俺が、そう言った途端、志乃さんが、大きな声で、言った。
驚いて、志乃さんを、見た。
その顔は、涙で、濡れていた。
「もっと、私たちを、頼ってほしかった!!信じて・・・欲しかった!!優矢さんの、気持ちを、ぶつけてほしかった・・・!!」
大きな、強くて、暖かい声で、志乃さんが、叫んだ。
「その通りですぅ・・・。」
志乃さんの、隣にいた、美桜さんは、泣いていた。
「私たちぃ・・・。確かに、守る者とぉ、守られる者ですけどぉ・・・。それ以前に、クラスメイトでぇ・・・。一緒に、与えられた困難に、立ち向かっていく、仲間じゃないですかぁ・・・。」
ぐすっ、ぐすっ、と美桜さんが、泣く。
「初めて会った時、言っただろ。組織ぐるみの相手じゃ、俺一人じゃ、かなわないって。俺達だって、守り、守られているんだよ。」
達成さんが、美桜さんの、肩に、手を置いて、俺を見据えて、言った。
皆・・・。
俺は、また、泣きそうになった。
「・・・あんたとの、関係が、近くなるのを、避けたかった。あんたに、感情移入してしまって、客観的に、物事が、見れなくなるかもしれないのが、怖かった。だけど、そのせいで、あんたは、私たちを、頼れなかった。・・・ごめんなさい。」
明さんが、今まで、聞いたことのない、優しい声で言った。
そんな、明さんの手を、幸多さんが、黙って、握った。
そして、俺を見て、黙ったまま、力強く、うなずいた。
俺の、心に、暖かさが、広がっていく気がした。
ゆっくりと、俺の頬に、涙が、つたった。
そんな、俺たちを、師範と、明さんのおじいさんが、静かに、優しく、見守っていた。
???
「な・・・・なんなんだ、これはぁ!!」
暗闇の中に、MAKOTOの、叫び声が響いた。
確かに、あの、魂の、持ち主だったはずだ。
間違いない。確認だってした。
それなのに・・・・。
調べてみると、自分が奪った魂は、偽物の、塊(かたまり)だった。
「くそっ・・・!!あいつら・・・守護する者達の、仕業か・・・!!おのれ・・・俺を、馬鹿にしやがって・・・!!」
MAKOTOが、怒りで、声を震わせた。
そのまま、誰かに、電話をする。
「私です。はい。・・・申し訳ありません。どうやら、私は、彼らの力を、見誤っていたようです。・・・はい。お殿様の魂の、回収は、できませんでした。私の正体も、ばれています。えぇ。すぐに、拠点を移します。・・・そうですね。もはや、その手しかないでしょう。歴史を、繰り返しましょう。そして、今度こそ、我らが、勝利しましょう。準備を、進めてください。星蘭町への道は、私が、作ります。」
MAKOTOが、電話を置いた。
「許さないぞ・・・。覚えておけ。俺を、欺いたことを。必ず、後悔させてやる。お殿様だけじゃない。お姫様も、全ての、守護する者達の魂も、奪い尽くしてやる・・・!」
暗闇の中で、MAKOTOが言った。
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