11 / 39
心霊スポットの奥の奥
1-1
しおりを挟む心霊スポットの奥の奥
「……で、その今から行くところが、相当やばいとこでさ。女の人を見たとか、男の人を見たとか、子供を見たとか、とにかく証言が凄いんだって。しかも、そこへ行ってから、おかしくなって行方不明になった人も多いって」
「やー!! こわーい!! まっ、でも、この前別の大学の子も行ったって行ってたよ」
とある大学生の男女四人が、車の中で楽しく話している。
ノリで仲間と心霊スポットに行く。よくあることだ。大体、何もなくて、がっかりしながらもどこかホッとする。それが大学での話題作りにできる。
「えーっと、このトンネルを抜けて……もう使われていない道の方に入ったら、廃墟があるんだってさ。元ホテルかなんからしいけど」
「あ、あれじゃない?」
それらしき廃墟を見つけた四人は、車から降りる。
「くらっ……。スマホスマホ」
スマホでライトをつけて、中に進む。廃墟の中は、散らかっているが、元のホテルの原型が分かるようになっていた。壊れた古い机やソファが積んであり、カウンターの奥には、扉。壁には多くの落書きがあり、まさに《廃墟の心霊スポット》だ。
「ここって、フロントだよね。わっ、ねぇ、見て見て! 黒電話! はじめて見たかも」
「うわぁ、ほんとだ。それに、周りに散らばってる紙の束もそのままなのかな? 割と中は綺麗だよね。でも落書きが多いなー。やっぱり有名どころは、来る奴らも多いんだろうな」
「階段の上、ライトが届かないから余計に不気味。ガラスが散乱してるっぽいから、上には上がらない方が良いかなぁ」
四人は、わいわいと話しながら、スマホで写真を撮って盛り上がる。
その時。
《ジリリリ……ジリリリ……》
「へっ!?」
「きゃあ!?」
突然鳴り響いた、聞き慣れない音に、四人は驚いて叫んだ。
「えっ!? これ、黒電話が鳴ってるの!?」
一人が、黒電話を指さす。
黒電話が、振動しながら、音を鳴らしていた。
「どういうことだよ……電気なんか、通ってないだろ……?」
その瞬間、風が吹いて、周りに散らばっていた紙が舞った。その紙が、一人の足に絡みつくように、張り付いてくる。
「ひぃぃ!!」
「ね、ねえ、この紙に書いてあるのって……」
四人のうち、一人の女性が、震えながら紙を拾い上げた。
「やっぱり……。私の名前って、キラキラネームだから、すぐ分かった……。ねぇ……ここに書いてある、《ご予約のお客様》ってところに……」
女性の手と足は、ガタガタと震え、声も絞り出すように、紙を三人に差し出した。
「うそ……だろ……」
《ご予約のお客様》の箇所に書いてあったのは、四人のフルネームと、年齢、さらには住所と電話番号まで。
「う、うああああ!」
一人の男性がパニックになると、その紙を、ビリビリに破り捨てた。そしてそのまま、四人は逃げるように、その場を後にしたのだった。
これで、終わりのはずだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
黄泉津役所
浅井 ことは
キャラ文芸
高校入学を機にアルバイトを始めようと面接に行った井筒丈史。
だが行った先は普通の役所のようで普通ではない役所。
一度はアルバイトを断るものの、結局働くことに。
ただの役所でそうではなさそうなお役所バイト。
一体何をさせられるのか……
【完結】あやかし団地 管理人見習い日誌
双月ねむる
キャラ文芸
就活全滅で「自分には社会性がない」と思い込む凛は、遠縁の親戚に紹介され、昭和レトロな巨大団地・さくらヶ丘第一団地の『管理人見習い』として住み込みで働くことに。しかしその団地には、中庭の「靴鳴らし」、エレベーター表示盤に棲む狐など、団地限定あやかし達が当たり前のように暮らしていた。
最初は逃げ腰の凛だったが、すねた空き部屋や、ベランダの風鈴が告げるSOSなど、人とあやかしのトラブルに巻き込まれながら、少しずつ『共同体』に関わる勇気を取り戻していく。
明治かんなぎ少女の冥契 五百年の時を超えて、あなたに愛を
花籠しずく
キャラ文芸
――ですが、わたくしは生まれました。あなたに会うために。
月のものが来るようになってから、琥珀は不思議な夢を見る。誰かに探されている夢。きっと大切な人だったことは分かるのに、目が覚めると朧気で何も思い出せない。婚約者である志貴の言いなりの人形になる生活をし、生家とは会うと脅され、心が疲弊していたある日、家からひとり抜け出すと、妖魔のようなものに出会う。呪術師である志貴に、一時祓ってもらいはしたが、不思議と心が痛む。夢に美しい男が現れ、声に導かれるようにして、ある山のふもとの、廃れた神社の中に入ると、そこには苦しそうに蹲るあの妖魔がいた。琥珀はそれが夢に現れた、蘿月という男だと直感する。全身が黒い靄で包まれた彼の、靄を払う方法を、どうしてか琥珀は知っていた。口づけをし、息を吹き込むように、生きて、と願った。
帰ってすぐに志貴に殴られ、月のものがはじまっていたことが志貴にばれる。琥珀を穢そうとする志貴の様子に恐ろしさを覚えて、助けてと叫んだその瞬間、闇を裂くようにして、蘿月が現れた。
「琥珀は、俺が五百年待ち望んだ花嫁だ」
これは、時を超えて紡がれる愛の物語。そして虐げられた少女が、愛を知り、愛のために生きる自由を選ぶ物語。
※R-15っぽいゆるい性描写があります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる