お供え物は、プロテイン

Emi 松原

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心霊スポットの奥の奥

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                              心霊スポットの奥の奥
                                        
「……で、その今から行くところが、相当やばいとこでさ。女の人を見たとか、男の人を見たとか、子供を見たとか、とにかく証言が凄いんだって。しかも、そこへ行ってから、おかしくなって行方不明になった人も多いって」
「やー!! こわーい!! まっ、でも、この前別の大学の子も行ったって行ってたよ」
 とある大学生の男女四人が、車の中で楽しく話している。
 ノリで仲間と心霊スポットに行く。よくあることだ。大体、何もなくて、がっかりしながらもどこかホッとする。それが大学での話題作りにできる。
「えーっと、このトンネルを抜けて……もう使われていない道の方に入ったら、廃墟があるんだってさ。元ホテルかなんからしいけど」
「あ、あれじゃない?」
 それらしき廃墟を見つけた四人は、車から降りる。
「くらっ……。スマホスマホ」
 スマホでライトをつけて、中に進む。廃墟の中は、散らかっているが、元のホテルの原型が分かるようになっていた。壊れた古い机やソファが積んであり、カウンターの奥には、扉。壁には多くの落書きがあり、まさに《廃墟の心霊スポット》だ。
「ここって、フロントだよね。わっ、ねぇ、見て見て! 黒電話! はじめて見たかも」
「うわぁ、ほんとだ。それに、周りに散らばってる紙の束もそのままなのかな? 割と中は綺麗だよね。でも落書きが多いなー。やっぱり有名どころは、来る奴らも多いんだろうな」
「階段の上、ライトが届かないから余計に不気味。ガラスが散乱してるっぽいから、上には上がらない方が良いかなぁ」
 四人は、わいわいと話しながら、スマホで写真を撮って盛り上がる。
 その時。

《ジリリリ……ジリリリ……》

「へっ!?」
「きゃあ!?」
 突然鳴り響いた、聞き慣れない音に、四人は驚いて叫んだ。
「えっ!? これ、黒電話が鳴ってるの!?」
 一人が、黒電話を指さす。
 黒電話が、振動しながら、音を鳴らしていた。
「どういうことだよ……電気なんか、通ってないだろ……?」
 その瞬間、風が吹いて、周りに散らばっていた紙が舞った。その紙が、一人の足に絡みつくように、張り付いてくる。
「ひぃぃ!!」
「ね、ねえ、この紙に書いてあるのって……」
 四人のうち、一人の女性が、震えながら紙を拾い上げた。
「やっぱり……。私の名前って、キラキラネームだから、すぐ分かった……。ねぇ……ここに書いてある、《ご予約のお客様》ってところに……」
 女性の手と足は、ガタガタと震え、声も絞り出すように、紙を三人に差し出した。
「うそ……だろ……」
 《ご予約のお客様》の箇所に書いてあったのは、四人のフルネームと、年齢、さらには住所と電話番号まで。
「う、うああああ!」
 一人の男性がパニックになると、その紙を、ビリビリに破り捨てた。そしてそのまま、四人は逃げるように、その場を後にしたのだった。

 これで、終わりのはずだった。

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