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オカルトサークルの降霊術 宝石箱編
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しおりを挟むオカルトサークルの降霊術 宝石箱編
「虎之助くん、我がサークルには君の力が必要なんだ!! 君が入ってくれれば歴史に残る実験ができるはずなんだ!!」
大学の講義後、虎之助が帰る準備をしていると、オカルトサークルの部長、神田 秀樹が講義室に入ってきて、虎之助に詰め寄った。
周りに座っていた虎之助の同期は、またか……。といった感じで、とくに気にせず帰りの準備を進める。何人かは、秀樹の姿を見て、顔をしかめた。
オカルトサークルは、その名の通り、科学では解明できないとされる超常現象、心霊や宇宙人や都市伝説、その他諸々について活動しているサークルだ。
そんなサークルが、《キカイ》のメンバーである虎之助に目をつけないはずがない。何度も何度も講義室に勧誘に来ていて、最近では、虎之助が連れている松子が、曰く付きの品なのではないかと詰め寄ることもあり、虎之助の同期の中からは、あまり快く思われていないのだ。
「む? なんだ。また来たのか。前にうちのジムのチラシは渡したろう。確かに専門用語が多く分かりづらかったかもしれないな。まずはうちのジムに来い。うちのジムは学生割引が使えて、お得なんだぞ。それに、うちのジムの提携店で仕える割引だってある」
「またそんな話をそらして!! 良いかい? 今度見つけた品は、本物中の本物だ!! 《キカイ》だって、うちだって、言われていることは変わらないだろう? それに、君が連れている人形だって、一人にすると祟りが起こるから連れているんじゃないかと、うちの仲間が言っていたぞ。そんな人形こそ、我がサークルに必要なのだ!!」
秀樹が松子に向かって手を伸ばす。
そんな秀樹の前から、音羽の手が松子をひったくり、しっかりと胸に抱きかかえた。
「なんだ、君は。確か虎之助くんの彼女だと噂されている、音羽という子だな。ちょっと触れようとしただけなのに、えらく厳重にガードするんだな」
秀樹の言葉に、音羽はキッとした顔で秀樹を睨み付けた。
「女の子に軽々と触れようとするのはやめてもらえません? それに、この子はうちのサークルの専属モデルですから。手を出すなら、部長である私の許可を取って頂かないと」
《そうよ、そうよ!!》
音羽の腕の中で、松子も声を上げる。
「ふむ。君に許可をとるのは一理あるな。今度正式に話し合うとしよう。だがしかし、虎之助くんが我らの仲間になるのは自由!!」
「む? 美味しいプロテイン? プロテインの味に慣れないのなら、最初は牛乳で割ると飲みやすいぞ。牛乳にはタンパク質も含まれているからな。だが、腹を壊す奴もいるから、注意が必要だ。俺は牛乳の栄養素も同時に摂取する為に牛乳で割っているが、運動量が少ないと太るだけだから注意が必要だぞ」
「君は何の話をしているんだい!?」
「虎之助くん、行こ。今日は寄るところがあるんでしょ? 虎之助くんから誘ってくれるなんて、滅多にないから、楽しみにしてるんだから」
苛立ちを隠せない音羽が、虎之助の腕を引く。
「なんだ、音羽。無理な糖質制限は良くないぞ。確かに筋肉をつけるにおいて、糖質を多くとることは好ましくないが、ダイエットにおいてストレスは……」
「はいはい、行きながら聞くから」
音羽に引きずられて、虎之助は講義室を出て行く。
「僕は諦めないからな!!」
秀樹の叫び声が、後ろから聞こえていた。
「全く。あの人もいい加減にして欲しいわよね。松子ちゃんもそう思わない? サークル自体は否定しないわよ? でも、少しでもそういう現象に関わっている噂がある人を無理矢理勧誘したり、不法侵入になるんじゃないかってレベルで、そういう噂がある場所に入り込んだりするのは違うと思うのよ」
《音羽の言うとおりだわ。それに、曰く付きの品にも手を出しているんでしょ? いつかしっぺ返しを受けるわよ》
「む? なんだ。音羽も松子も相変わらず気が合うんだな。だが、二人ともやはり糖質が足りていないのではないか? 少しのチョコレートくらい食べたらどうだ」
「大丈夫。私がやってるのはなんちゃってダイエットだから。お菓子だって食べてるよ。それで、お菓子を買って、みんなと合流して、虎之助くんの育った孤児院に行くのよね。どんなお菓子が良いかしら。小分けになっている方が、喧嘩にならないわよね」
虎之助と、松子を抱いた音羽は、大手のスーパーに入ると、お菓子コーナーに向かう。
「クッキーやチョコレートは鉄板よね。後は何が良いかなぁ。日持ちするかどうかも大事よね。あれ? 虎之助くん、どうしたの?」
虎之助は、何かを見つけたのか、目を輝かせて歩き始める。音羽は不思議に思いながら後を追った。
「音羽、松子、見ろ。プロテインコーナーがあるじゃないか。しかもここに並べてあるプロテインは、大手メーカーだ。俺はジムの提携店で、職員・会員割引を使って購入しているが、ここなら音羽も購入しやすいだろう。む。ちなみに、こっちが、ダイエット用のプロテインだ。この小袋なら、一回一回の量を量らなくても済むぞ。そうだ、これを差し入れにしたら子供達も喜ぶんじゃないのか」
「うーん。高校生くらいで筋トレしている子ならともかく、小学生の子にプロテインはまだ早いんじゃないかな」
「ううむ。子供にプロテインは、確かに賛否両論だ。だが、子供ほど成長期にタンパク質を必要とする。おやつにチョコを食べるより、プロテインの方が健康的じゃないのか」
「あはは。貰って嬉しいのは、チョコレートやクッキーじゃないかな?」
「そうか……。確かにあの頃、おやつのクッキーが争奪戦になっていたな……」
音羽の言葉に、虎之助が納得したように頷いた。
そんな二人の会話を、棚の後ろから聞く二人の影。
「ねぇ!? 今の会話聞いた!? 完全に虎ちゃんとコミュニケーションをとっている上に、ちゃんと誘導までしているよ!? 松子ちゃんもいたら、もうあれ完全に家族じゃん!?」
「ヨーくん、落ち着いて、二人にバレ……」
《バレてるわよ》
ケタケタと笑う松子の声と同時に、虎之助が、棚の上からニュッと顔を出す。
「なんだ。やっすんとヨーくんもここで買っていたのか」
「あっ、二人とも、お疲れ様」
さらに虎之助の後ろから、音羽が顔を出し、ケタケタと笑う松子をよそに、全員で買い物をして、虎之助の出身である孤児院へと向かう。
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