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狩り
しおりを挟む「ダメ」ジュリエッタに一刀両断された。
「でも、タロが……」
「あのねえトウヤ、分かっているでしょ? 私達だって肉なんて殆ど食べられないのよ。小屋にいるのは死の冬への蓄えなの。犬にやる余裕はないわ」
「死の冬」橙夜の疑問に答えたのは、ほわっと聞いていたアイオーンだ。
彼女は鼻にかけている眼鏡のズレを直す。
「死の冬とはぁ、神様がこの世界に与えた罰なのぉ。かつてこのアースノアにはぁ古代魔法帝国というぅ星まで飛んで行けた凄い文明があったんだけどぉ、その傲慢が神々の逆鱗に触れ一夜で滅んでしまったのぉ。それ以来ぃ、この世界の冬は厳しくなりぃ、その間人間もエルフもドワーフも外にさえ出られなくなり、毎年沢山の凍死者とぉ餓死者を出すのぉ、何とそれがぁ、もう三〇〇〇年近く続いているのよぉ」
その時人間とエルフ達は袂を分かち、交流も途絶えたのだ、とアイオーンは補足した。
「ちなみにぃ、私がジュリちゃんとぉ一緒にいるのはぁ、私がぁ変わり者だからなのぉ」
アイオーンはにこにこしているが、橙夜はそれどころではない。
『死の冬』そんな物が来る前に何とか現代日本に帰らないとならない。文化も習慣も違う異世界で長く生き抜けると考える程橙夜は自惚れていなかった。
エレクトラ。
脳裏に浮かぶのは赤い髪の不思議なエルフだ。
早く彼女を捜さないといけない。
だがその前にタロだ。このままでは数日と持たないだろう。
「はあ」そう訴えると、ジュリエッタはため息を吐いた。
「あたしの鶏はあげられないけれども……外で狩る分にはいいんじゃない?」
橙夜は意味が分からず目を瞬かせる。
「だから、鳥がほしいなら自分で狩りをしなさい」
「あ」と橙夜はようやく飲み込んだ。確かにこの小屋の周辺は森だ、大自然だ。鳥などうろつけば見つけられるだろう。しかし……。
「狩る自信がないって顔ね、あーもう、分かったあたしも行ったげる」
ジュリエッタは己の金髪をわしゃわしゃとかいた。
「ありがとう、ジュリエッタ。恩に着るよ」
橙夜が涙を溜めて頭を下げると、
「あ、あんたの為じゃないんだからね! あんたがこの小屋にいられるのはスミカの力が貴重だから、あんたはおまけだから、それにタロも折角助けたんだし……勘違いしないでよね!」
と、ありがたいツンデレワードが振って来た。
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