あと少しのところが足りない。

そらも

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足りなさその24、 なん、にも……?

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「うぅ~ん……今日、昨日の、オレ……おれはっぶくぶくぶくっ…」



顔の半分までお湯の中に段々と潜らせつつ、なんとか自分の左腕にこびりついていた謎の跡――…やっぱりどう見ても『精液の跡』にしか見えなかったモノ…――の正体に辿り着きたくて、オレは必至に今日から昨日にかけての自分の行動を順序良く、頭の中で振り返ってみる。



えと……昨日はやまっちの家に夕方からお邪魔して、それでオレの20歳のバースデーパーティーを大好きなやまっちと二人っきりでお祝いし始めたんだよね。
で、まずはやまっちが1番好きだって言ってた缶ビールをオレが人生初めてのお酒として口にして……うん、すっごくおいしかったのは覚えてる。
その後は、すぐ間置かずに2本目のお酒に突入したはず。
確かに1本目のよりかは記憶が曖昧な感じだけど、これも最後までちゃんと飲んだのは覚えてるよ。

その後3本目のお酒を自分の手に取ったまでは記憶してるけど……そう、手に取ってからのことがさっぱり思い出せなくて。

やまっちが言うには、その3本目を飲み終わったのと同時にオレがそのまま机の上で寝ちゃって、全然まったく起きないオレをやまっちが自分のベッドに運んでくれて……それで朝になったら、オレはやまっちのベッドの上で目を覚ましたんだ。

ちょっとやまっちの掛け布団の匂いに興奮しちゃってオレがついついオイタしちゃいそうになった場面はあったにはあったけど、でもそれはギリギリ未遂(?)で終わったし。

で、それからすぐにお風呂に入ってたっぽいやまっちが部屋に戻ってきて、その後は特におかしなことなんて一切なんにも――…



「………なん、にも……?」



しかしオレは、そこでお湯の中に潜らせていた顔をピタリととめ。
ザプンっと、身体全体を起き上がらせた。



『……? あの、やまっち?』
『…ハッ!!? えっあっ、えっとあっああのですねっ、やっやっと起きたんだな頼人っ…!』
『! …うん? オレなんかいつのまにか寝ちゃってたみたいだけど……あの、やまっち何でそんなにわたわたしてるの…?』
『えっ!? やっ違っ、ぜっ全然わたわたなんてっ…』
『……ああっ!! も、もしかしなくてもっ、オレ昨日なんか知らないうちにやまっちにしちゃってたとか!?』
『!! しっしてないしてないっ、お前はなんにもしてないからっ…!!』
『!? …そ、そうなの…? じゃあよかった…のかな?』
『っ、ああ……』



『っ、き…気にするなって、頼人……は、はは……』
『! ……?』




「そ、うだ……オレじゃなくて、やまっちがなんかおかしかったんだ……」



そう、オレが酔っぱらって爆睡して目覚めてからのやまっちの態度は、ずっとどこかがおかしかった。



『なんていうか――まるで『何か』を隠している、みたいな。』


お風呂に入る前にやまっちのどこかおかしかった雰囲気について疑問を感じていたオレは、でも最終的には、

『やまっちに隠し事がひとつやふたつあったって、オレはやまっちのことずっとずっと大好きなままだもんねっ、へーんだ!!!』

自分をその場で納得させたけれど、さ。



「……ほんとの本当に、やまっちがオレに何か…隠し事をしていたとしたら……」



わからないけど、だってオレが眠る前まではやまっちにおかしなところなんて特になんにもなかった。
それに、あの言葉も何だか引っ掛かる。


『……ああっ!! も、もしかしなくてもっ、オレ昨日なんか知らないうちにやまっちにしちゃってたとか!?』
『!! しっしてないしてないっ、お前はなんにもしてないからっ…!!』



「オレがやまっちになんかしちゃってた!? …っていう問いかけに、『お前は』なんにもしてない……って、やまっち確か言ってたよね? それってつまり……『やまっち』はなにかしたってコト…なの?」



もしかしたら特に意味のない言葉の綾的なモノだったのかもしれないけど……けれどもし、あの言い回しに意味があったと、『お前はなんにもしてない』が、それとは逆の『俺はなにかした』に繋がるのだとしたら。




「やまっち、が……オレに『なにか』をした、の……?」



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